【コラム・浅井和幸】つまるところ疲労とは、作業、行為の継続です。重労働や難しいことを考えると疲れると捉えられがちですが、違います。ゴールデンウイーク中に車の運転を長時間すると、目も疲れますし、腰や膝が痛くなりますよね。これは、同じ距離を見続けるとか、同じ姿勢を取り続けることで疲れるのです。
寝過ぎても腰が痛くなったり、褥瘡(じょくそう)が出来たりします。なので、寝返りをうてない方の解除をヘルパーさんがする必要があります。これと同じように、嫌なことを考え続けても疲れます。
何もせずに横になっていようが、リラックスできる椅子に座っていようが、嫌な仕事を続けたり、嫌な人のことを考え続けると疲れがたまります。そんなときは、ゆっくり寝ているよりも、嫌な考えを無理やりなくそうとはせずに放っておきます。そして、凝った料理を作るとか、掃除をするとか、おしゃべりをするとか、おいしいスイーツを味わうとか、別のことをするとよいでしょう。
また、嫌なことを考え続けても、疲れて飽きたり眠くなったりして、止まりやすいですが、好きなことややりがいのある事は続けられてしまいます。これは、疲れを感じることに対する感度が鈍くなって、余計に疲れがたまってしまう「マスキング効果」といって、危険なことにつながることがあります。
好きなゲームをしていたら、食事やトイレも忘れていたという経験をしたことはないでしょうか。嫌な仕事や勉強を続けるとよくないことは理解しやすいですが、好きであったりやりがいがあったりして疲労がたまり、それに気づかず心の病に至ることもありますし、最悪のケースに至ることもある事実は見落とされがちです。
ヘンテコな踊り、結構おすすめ
じゃあ、疲れを取るには何をすればよいのかとなります。旅行に行けばよいのか?(実は旅行は疲れるので疲労回復には向かないという部分もあります)人生を一変するようなすべてを打ち込めるような素晴らしい趣味を持てばよいのか?(そんなことが出来るはずがないだろうと言われます)
いえいえ、気分転換、神経や筋肉の疲労回復は、今とは別のことをすれば何をしてもよいです。近くばかり見ているのであれば遠くを見て、一点を見ているのであれば周りを見回し、腕立て伏せで疲れたのであれば走ればよいのです。
私は小さな畑を借りているのですが、草刈りが結構大変なんです。柄のついた大きめの道具で草刈りをしていると、息が切れて腰が痛くなってきます。そこで、しゃがんで手で小さな雑草を抜きます。今度は膝が痛くなってくるので、また柄のついた道具を使って…。
そう、草刈りの休憩で草刈りをするのです。それで疲れたら、木陰で空を見上げて、ゆっくりと呼吸をします。
最近、深呼吸をしたり、空を見上げたりしていないであれば、してみてください。それだけで、ほんの少しの休息になります。あと、ヘンテコな踊りを踊ってもよいですよ。ヘンテコな踊り、結構おすすめです。(精神保健福祉士)