廃校となった小学校跡地を「文化芸術創造拠点」として利活用するための試行事業が11日、つくば市水守の旧田水山(たみやま)小学校で始まった。「つくばアートラボ2022-23~田水山でつくる~」で、3人のアーティストが滞在制作を行う。11日は登校日として一般公開型のワークショップが開かれ、12日にはアトリエトークが行われる。
参加アーティストとテーマは、相澤万亀子さん「おりがみインスタレーション」、大井真希さん「枝と毛糸で生まれる田水山の“こだま”」、河津晃平さん「廃校の洗浄と観察」の3つ。昨年11月に公募をし、書類審査とプレゼンテーション審査により選出された。
会場は旧教室棟2階の3教室で行われ、ワークショップに集まったのは、地域の児童や保護者たち36人。相澤さんのおりがみは「広報つくば」を使って、簡単な蝶を折り、一緒に影絵遊びをする。その後、蝶はオープンアトリエの展示作品に取り付け、作品「ゆめ」を完成させる。展示空間を含めて全体を作品として表現するインスタレーションだ。
会場では、見学者らが作品制作を見守りながら、旧小学校の利用について語り合う姿も見られた。
つくば市では、同市文化芸術審議会への諮問を経て、田水山小跡地を「文化芸術創造拠点」として新たに利活用する検討に着手、昨年にはサウンディング型(対話型)市場調査を実施するなどしてきた。市文化芸術課によれば、創造拠点のコンセプトは「出会う・つながる・創造する」。今回はこれを基礎に、人々の出会いからつながりが生まれ、田水山地域において創作する過程で、ひらめきを得て、アートを広げていくことを推進していくトライアルとして計画されたそう。
拠点整備は今年度が試行段階で、23年度に基本・実施設計、24年度に発注、25年度に施設整備となる予定だ。旧田水山小教室棟は1995年築、鉄筋コンクリート3階建て、延床面積2510平方メートル。新耐震の建物だが現在、水道施設が壊れるなどしており、補修をしたり、新たにエレベーター設営するなどのリノベーション費用が見込まれるという。
担当する文化芸術課、佐藤真紀文化振興係長は「廃校を利活用して、文化や芸術の拠点になるようにこの事業を推進していきたい。地域の人々との交流にも利用できるような空間も作り、有効な計画にしたい」と述べた。(榎田智司)