水曜日, 11月 4, 2026
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つくばの宿舎で「区切り」の慰霊祭 震災12年

東日本大震災から12年の11日、つくば市並木の公務員宿舎で、福島県双葉町からの避難者ら約30人による慰霊祭が開かれた。2020年以来となる。双葉町は、原発事故による避難指示で、全町民が避難を余儀なくされてきた。

この日、双葉町出身の谷津田光治さん(81)と妻の美保子さんが暮らす自宅前に設けられた祭壇に、集まった一人ずつが線香をたむけ、手を合わせた。参列したのは同町から避難してきた住民のほか、毎週火曜日に近所の公園で行われるグラウンドゴルフや、以前行われていた月命日や夏祭りなどに参加し、親睦を深めてきた同市内の学生や地域住民たち。この日は、現在他県に暮らす人も多数訪れ、旧交を温めた。

慰霊祭に参加した双葉町の人々とつくば市民ら

宿舎には、双葉町民を中心に、福島から避難してきた47世帯が暮らしてきた。同町民による自治会も発足し、避難先に新たな地域社会を築いてきた。近年は、同市内や周辺地域、福島県などへ転居する世帯が増え、現在は谷津田さん夫妻を含めて4世帯が暮らしている。谷津田さんも今月末でつくばを後にし、故郷に近い南相馬市へと転居する。

交流の筑波大学関係者らも参列

運動の指導などを通じて谷津田さんらと交流し、学生にも避難者との交流の機会を設けてきた筑波大学名誉教授で体操コーチング論が専門の長谷川聖修さん(66)は「12年間本当にお世話になりました。福島の皆さんとはこの場所がなければ出会うことがなかった。慰霊祭ということでは一区切りがつくけれど、これからもよろしくお願いします」と気持ちを述べた。

長谷川さんの教え子で、北海道から参加した工藤実里さん(25)は、学生時代の交流を思い返しながら、「会いたい、帰ってきたいと思える場所。これまで皆さんが築き、守ってきた場所で出会えたことに感謝の気持ちでいっぱいです。ここでの経験は財産。これからも色々な形で関わりたい」と話すと、涙を拭った。

秋田県から訪れた高橋康彦さんは自身の結婚を報告した。かつて月命日の際に振る舞われたカレーライスの思い出に触れながら、「長谷川先生のゼミ生として体操で関わり、皆さんと会う日常が人生の楽しみでした。今日は、皆さんにハッピーニュースを届けることができた。これからもいいニュースを届けられたら」と笑顔で語った。

2017年から、毎週グラウンドゴルフに参加するつくば市の柄津玲子さん(86)は「避難者の方の講演を聞いたのが参加のきっかけ。大切な出会いをたくさんいただきました」とこれまでを振り返った。

地震が起きた午後2時46分を前に、参列者に向けて谷津田さんは「私の知人にも津波で亡くなった人がいます」と震災当時を振り返るとともに、つくばでの12年間を思い返しながら今回の慰霊祭を「一つの区切り」とした。その上で、「「皆様、12年間の御礼を申し上げます。今後も、皆様が元気で、長くお付き合いをしていただけることを切に願っています」と参列者に呼びかけた。

宿舎に暮らす他の住民も、茨城県内外への転居を予定している。昨年3月の時点で、つくば市内には112人の双葉町からの避難者が暮らしていた。(柴田大輔)

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