金曜日, 3月 20, 2026
ホームつくば「むすびつくば」4月から民間施設に 不登校支援でつくば市

「むすびつくば」4月から民間施設に 不登校支援でつくば市

不登校児童生徒の学習支援施設運営事業者の選定をめぐる迷走から、つくば市が認定NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所(小野村哲理事長)と協働で運営してきた不登校学習支援施設「むすびつくば」が4月の新年度から、民間フリースクールの一つとして運営されることが分かった。

23年度は現在地のまま

小野村理事長は(63)は同施設ついて、4月から「むすびつくばライズ学園」として仕切り直すと話した。同市谷田部地域で20年間続けていたライズ学園の名称を入れた形だ。開所日時はこれまでと同じ週4日(月、火、木、金)午前10時~午後3時。現在は週2日のコースで各20人、計40人程度を受け入れているが、市が他の民間フリースクールを運営する事業者と利用者の補助を23年度から開始するなど、市全体のサポート体制が充実することから、登録定員を30人程度とし、希望があれば相談の上で週4日の通所を受け付ける。

同市は4月から、事業者のリヴォルヴに対し運営費の一部を補助する。利用者に対しては月2万円を上限に利用料の一部を補助する。場所は、23年度は激変緩和のため現在の市産業振興センター(同市吾妻)で継続するが、24年度以降は新たな場所に移るという。

同市の不登校支援をめぐっては、2021年12月に市が実施した「むすびつくば」の運営事業者の選定で、20年10月から同施設を運営していたリヴォルヴが2位となり、新規のトライグループが1位となった。選定結果に対し、むすびつくばの保護者会がリヴォルヴによる運営継続を五十嵐立青市長らに陳情。五十嵐市長は「現在の利用者や保護者に多大な不安を与えてしまった」などと謝罪し、22年度は約2300万円を追加計上して、「むすびつくば」のリヴォルヴによる運営を産業振興センターで継続した。トライは場所を移して、同市研究学園のトライ研究学園駅前校で新たに支援事業を開始するという異例の決着を図っていた。

一方、むすびつくばの一部の保護者などから、市内の不登校児童生徒すべてを公平に支援するよう求める要望が出ていたことなどから、市は昨年5月、今後の市の不登校支援のあり方について検討する「市不登校に関する児童生徒支援検討会議」を設置した。今後の支援策として昨年10月、校内フリースクールを小中学校全校に設置する、民間の支援事業者と不登校児童生徒の保護者の両方に運営費や利用料を補助するーなどの案を示し、14日開会した3月議会に民間フリースクール事業者と利用者への補助事業として約7300万円などを提案していた。

利用には月謝制と補助制度併用

これまでは無料で利用できたが新年度からは月謝制になる。市は、不登校児童生徒の保護者の経済的負担の軽減などを目的に新たな補助制度を設ける施策を明らかにしており、週4日通所の場合、補助金額の上限2万円を超えた月謝は利用者負担となる。

民間フリースクール運営者への補助額は経費の2分の1となる見込みで、24年度以降の場所について小野村理事長は「利便性の高い場所は望めないだろう」とした上で、「考えていた以上に幅広い支援策が検討されていることは進展だと思う」と公表された施策を評価する。一方「(市と民間による)公民協働で不登校の支援にあたる事業の事業者に採択され、教育分野における協働事業の草分けとなれればとの思いで臨んだものの、教育局と十分な協議と調整を図ることができず、協働に関する認識の違いを感じた」とも振り返る。

小野村理事長は「雨降って地固まる。これからはもっと多くの時間を子どもたちと向き合う時間に当てたいと思う」と述べ、「不登校の心に寄り添い、育ち・学びを支えるという姿勢に変わりはない。これからも子どもたちのサポートに取り組んでいきたい」と意気込みを語った。

むすびつくばの保護者会代表だった庄司里奈さんは「市が示した民間施設運営者と保護者への支援は全国に類を見ない先進的な策で、ぜひ実現してほしい」とする一方、「不登校児童生徒と保護者の現実は厳しく、当事者が声を上げていかないと変わらないと感じている」とし、保護者の塩見直子さんは「多くの市民が身近な問題として快く署名に応じてくれたことが支援策につながったと思う。賛同してくださった皆さんにお礼を言いたい」と話す。(橋立多美)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

8 コメント

8 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

学校給食に金属製ナット混入 つくば市の義務教育学校

つくば市は19日、市内の義務教育学校で同日出された学校給食に異物が混入していたと発表した。教職員が職員室で給食を食べようとご飯のふたを開けたところ、直径8ミリほどの金属製のナットが混入していた。 同校の他の教職員や生徒、同日ご飯が提供された他校からもほかに異物混入の報告は無く、健康被害も報告されていないという。 市健康教育課によると、同日午後0時45分ごろ、教職員が個別の器に入ったご飯のふたを開けたところ、端の方に直径8ミリほどのナットが混入していた。 同市でのご飯の調理は、給食センターとは別に、米飯納入業者が炊飯工場でご飯を炊き、一人分をそれぞれ個別の器に入れ、ふたをして各学校の配膳室に配送している。配送された給食は、職員が配膳室から各教室や職員室などに運んでいるという。 どうして混入したかについて同課は、米飯納入業者が経緯を調査したが、19日時点で不明だとしている。 市は同日、ご飯の提供を受けた市内の各学校の保護者にお詫びの通知文を出した。

「人生という旅を楽しんで」 日本国際学園大学で卒業式

日本国際学園大学つくばキャンパス(つくば市吾妻、橋本綱夫学長)で19日、卒業式が催された。同キャンパスで学んだ49人の卒業生を前に橋本学長は「人生百年時代の中で、皆さんはこれから80年先の未来に向けて歩むことになる。80年前のことを考えると時代が大きく変わってきたことがよくわかる。これから苦難が待ち受けているかも知れないが、人生という旅を楽しんで欲しい」とエールを送った。 卒業生を代表して経営情報学部人文科学専攻の朝妻翔さん(22)は「大学の4年間で自分ができることは積極的に挑戦し、成長すること、そして一人で解決しようとするのでなく周囲の人の助けを借りることの大切さを学んだ。自分が気づかないことでも他の人の客観的な視点が必要なこともある。SNSやオンラインゲームで簡単に世界とつながれる時代だからこそ信頼できる関係を築くことが大事だと思う」と答辞を述べた。 式典では、同学部情報・デザイン専攻の伊藤祥一郎さんが橋本学長から学位記の授与を受けた。さらに優秀な成績や功績があった卒業生に褒賞が授与され、同学部人文科学専攻の朝妻翔さんと情報・デザイン専攻4年の伊藤祥一郎さんにそれぞれ学長賞が、佐藤緑咲さんに前身の東京家政学院創立者、大江スミの名を冠した大江賞が贈られた。 取手市出身の卒業生、千葉譲さん(22)は「4年間は授業とアルバイトに追われて忙しかったが、無事に卒業出来てよかった。これからはバスの運転手になるので、社会人として頑張っていきたい」と語った。 同大は1990年、東京家政学院大筑波短期大学として開学。96年に4年制の筑波女子大学になり、2005年に男女共学の筑波学院大学になった。大学の運営は19年度に東京家政学院から学校法人の筑波学院大学に移り、23年からは学校法人名を日本国際学園に変更した。一昨年からは姉妹法人の東北外語学園(仙台市、橋本理事長)が運営する仙台市の東北外語観光専門学校に新たに日本国際学園大学の仙台キャンパスを設置した。 つくばキャンパスは、経営情報学部ビジネスデザイン学科に、国際教養モデル、現代ビジネスモデル、公務員モデル、AI・情報モデル、コンテンツデザインモデルの五つがあり、各モデルから選択し専門の学びを深めることができる。外国人留学生は日本文化ビジネスモデルで学ぶことができる。(榎田智司)

土浦の新小学1年生に黄色い帽子を寄付 JA水郷つくば

新年度に土浦市内の市立小学校と義務教育学校に入学する全ての新小学1年生に向けて、JA水郷つくば(土浦市小岩田西、池田正組合長)が883個の黄色い交通安全帽子を土浦市に寄付し、18日同市役所で寄贈式が催された。池田組合長から安藤真理子市長に目録などが手渡された。 交通安全帽子の寄付は同JAが地域貢献活動の一環で1977年から始め、今年で49年目となる。以前は男子がキャップ型、女子はハット型と性別で形が異なっていたが、2024年度から性別を問わず共通のハット型とした。 式典でJA水郷つくばの池田組合長は「この事業が始まった時は農協が合併する前だった。自分が入所した頃からやっていることなので感慨深い。小学1年生は、黄色い帽子をかぶっているのが知れ渡っているので、運転手も気をつけてくれる。今後も支援を続けていきたい」と話し「帽子ではなくヘルメットという声もあったが従来通り黄色い帽子となった」と付け加えた。 寄付を受けた土浦市の安藤真理子市長は「交通安全は市としても大事なことなので、長い期間寄付を続けていただき大変感謝している。子供たちには毎日元気に登下校してもらいたい」と述べた。 寄贈式では土浦市が1976年から毎年、入学祝い品として新1年生に無料で贈呈しているランドセルも用意された。ランドセルも今春から性別に関係なくジェンダーレスの薄い茶色になる(25年5月2日付)。 新小学1年生に対するJA水郷つくばの交通安全帽子の寄付は、土浦市のほか、管轄する龍ケ崎、牛久、かすみがうら、利根、美浦、阿見の7市町村全ての公立小学校と義務教育学校に対して行われる。(榎田智司)

つくばエクスプレスの車窓から《ご近所スケッチ》22

【コラム・川浪せつ子】今回はつくばエクスプレス(TX)の窓から見えた筑波山とつくば市内の絵です。TXは2005年8月に開通しました。都内からつくば市に引っ越してきた私は、それまで乗用車でJR荒川沖駅まで行き、常磐線で東京に通いました。免許証を持っていなかったので、教習所に通わねばならず、いろいろ大変でした。 TXは待ち望んだ電車でした。今は都心部から帰るとき、TXに乗り、筑波山が見えると心が休まります。車窓からの風景は穏やかで、都会の喧騒(けんそう)を忘れさせてくれ、地方の良さをつくづく感じます。つくば市に来てよかったと、しみじみ思うときです。 交通の便は良くなったものの、つくば市の「景観の方はどうかしら?」と思っていました。そんなとき2月に「つくば市景観講演会」という市主催の企画があったので、参加してみました。建築業界の隅っこで仕事をしていますが、これまで景観のことはあまり考えず、受けた仕事をこなしているだけの生活でした。 「便利」だけでなく「景観」も 「つくば市の景観100」「つくば景観ルートマップ」という冊子、ご覧になったことありますか? 少し前に発行されたものですが、時々見て、絵を描く資料にしていました。つくば市とその周辺部には、ステキな自然や景観がたくさんあります。 電車も通り、人口も増え、便利にはなったものの、それは景観の悪化につながっているのだと、今回の企画で感じました。仕事で「あれ?こんなのいいの?」と思うような看板を描いたこともありましたが、ソレです。「再生エネルギー」の太陽光発電パネルが、筑波山に造られたこともありました。コレ、禁止なんじゃないの? 大学の先生の話も面白かったです。先生+市民の協力で、街を再生・進化させた事例など。 上の絵のように、つくば市はまだ開発中ですが、「便利」だけでなく「景観」も、「住みやすい街」には大切と思いました。(イラストレーター)