つくば市二の宮にある県営の都市公園、洞峰公園(約20ヘクタール)について、つくば市が16日付で「無償譲渡に向け正式に協議を開始したい」と県に文書で依頼したのを受けて、大井川和彦知事は21日の定例記者会見で「つくば市からの今回の申し出に、しっかりと意向を尊重する形で話を進めたい」と話した。今後のスケジュールについては「条例改正が必要なので最短でも7月かなと感じている」との見通しを示した。
1月31日までに市から文書による正式な回答が無かったことから進めるとしていた、グランピング施設を公園内の野球場に建設するための事前協議手続きについては「(事業者に)とりあえずストップしていただく」とした。
会見で大井川知事は「(つくば市が無償譲渡を受けることを)決めていただいたからには、スピーディーに、いつまでに譲渡を行うのか、その辺についてもしっかり詰めて、なるべく早くつくば市の意向を実現するよう努力していきたい」とした。
議会での無償譲渡の手続きについて大井川知事は「条例の改正を、お互い、市と県とそれぞれでやらなければならない」とした。その上で「所有権の移転は7月のタイミングになるのかなと思っている。それまでに細かい様々な手続き、あるいはスケジュール感なども調整していく必要がある」と説明した。
県都市整備課によると、新年度の洞峰公園の維持管理については前年度と同じ約9000万円の指定管理料を計上するという。
洞峰公園の無償譲渡をめぐっては、大井川知事が昨年12月の記者会見で「つくば市が自ら公園を管理するのであれば、県としては洞峰公園を無償で市に移したい」「今後のつくば市側の出方を注視したい」などと述べ、大きく動き出した。五十嵐立青つくば市長は同8日の記者会見で、県から無償で公園の譲渡を受け市が管理することも選択肢の一つだと応じ、今月14日、市議会に説明し、16日、県に正式な文書を出した。
一方、市が無償譲渡を受ける場合、新たに市が負担する費用として、維持管理費が年間約1億5000万円、体育館や温水プールなどの大規模修繕費が2027年度までに年平均7800万円、年間で合計約2億2800万円かかることが想定されるほか、28年度以降の大規模修繕にいくらかかるかは不明であることから、市は議会や市民にさらなる説明が求められる。(鈴木宏子)