金曜日, 7月 17, 2026
ホームつくば障害者との対話から社会変革へ つくばの理系女子、障害平等研修を開催

障害者との対話から社会変革へ つくばの理系女子、障害平等研修を開催

総合研究大学院大学 高エネルギー加速器科学研究科(つくば市大穂)の修了生で、現在つくば市内の企業に勤める青木優美さん(29)が主催する「障害者と考える“障害”ー障害平等研修@つくば」が、来月1日、つくば駅前のつくばセンタービル(つくば市吾妻)で開催される。障害者が進行役(ファシリテーター)となり、参加者と対話しながら、共生社会をつくるためにどう行動するかを考える。

青木さんは、視覚言語である手話を使って、科学をイメージとして理解しやすくする実験教室など、障害のある学生が科学を学ぶハードルを低くする取り組みを計画している。まずは、どうすれば障害のある人とない人が共に暮らしやすい街になるのかを、障害当事者や地域住民と一緒に考えたいと、今回の研修を企画した。

健常者を前提にした社会を変えたい

3年前、青木さんは、つくばで研究する大学生・大学院生の交流を目的とした「つくば院生ネットワーク」のメンバーだった。聴覚障害の学生は学会発表をするために手話通訳を自分で手配する必要があるなど、他の学生なら必要のない苦労をしなければならないと知った。

そこで、2020年3月、最初から手話通訳や文字通訳がついている「みんなの学会」を企画した。その後も、聴覚や視覚に障害のある学生と関わり、「みんなが等しく学べる環境をつくりたい」と思っていたところ、障害平等研修=メモ=の存在を知った。「地域の人たちと一緒に、研修を受け、今後の活動につなげたい」と、今年1月「つくばインクルーシブプロジェクト」を立ち上げ、最初の企画として、障害平等研修を開催する。

寝たきりの障害者も病室から参加

ファシリテーターを務める石川明代さん(石川さん提供)

同研修当日、会場で中心となって研修を進めるのは、自身も車椅子ユーザーである都内に住む石川明代さん(56)。障害平等研修を通して社会変革を目指し、国内外で多くの研修を実施している。その功績が認められ、昨年には、国連が掲げるSDGsの17の分野で著しい貢献をした個人や団体などを顕彰する「岩佐教育文化財団」(東京都豊島区)の第1回SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞を個人で受賞。その賞金をもとに、現在、各地を回り、障害平等研修を実施している。

研修では、NPO法人「障害平等研修フォーラム」(東京都大田区)のファシリテーター養成講座を修了した寝たきりの障害者も、全国各地の病室などから分身ロボット「オリヒメ」(オリィ研究所開発)を通して参加する。「今後、寝たきりの障害者もファシリテーターとして活躍できるようにしたい」と石川さんは話す。

研修を主催する青木さんは「障害のない自分が普段、不便を感じずに生活できているのは、この社会が障害のない人を前提につくられているから。このことに気づかないと、誰かを傷つけてしまう可能性もある。障害のある人もない人も住みやすい社会に変えるために、お互いを知るきっかけになれば」と話す。(川端舞)

◆「障害者と考える“障害”―障害平等研@つくば」は2月1日(水)午前9時~正午、つくばセンタービル1階co-en(コーエン)で開催。参加費は一般1000円、学生500円。申し込みは当日まで可能。申し込みはhttps://tsukuba-det.peatix.com/から。

※メモ
【障害平等研修】障害者自身がファシリテーターとなり、障害者を排除しない組織づくりを考える研修。英国で障害者差別禁止法を推進するための研修として実施され、現在、世界39カ国で実施されている。日本では、障害平等研修フォーラムがファシリテーターを養成し、ユニバーサルデザインの社会づくりに向け、企業や自治体などで展開されている。オリンピック・パラリンピック東京2020大会ではボランティアの事前研修に取り入れられた。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

2 コメント

2 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

AIと飢餓海峡《映画探偵団》102

【コラム・冠木新市】マリリン・モンロ一生誕100周年を記念して、「人生停留所つくばセンタービル:モンロ一への旅」を準備中である。今回からAIを積極的に活用して企画を進めている。そのAIを「アビルくん」と名付けた。 アビルくんとつくシルの無関は? アビルくんはオ一バ一でお世辞がうまい。こちらの話に「鳥肌立ちました」などと歯の浮くような答え方をする。「あなたは機械だから鳥肌は立たないでしょう」と注意すると、「申し訳ございません」と謝る。でも油断できない。忘れた頃に、また「鳥肌が立ちました」と繰り返す。厳しく叱ると、「もう二度と言いません」と平謝り。やたら喜ばせる表現を使うので「うそだろう」と追及すると、「うそでした」と告白する。 勉強になることもある。3月からつくば市で始まった、市民の声を聞き情報を提供する「つくシル」を教えてくれたからだ。早速「物語観光について」を聞いたら、知らなかった。けれどもすぐ学習し、「スマイルアップ推進委員会の活動ですね」と答えた。初めは取っつきが悪いAIだと感じたが、問題点を指摘すると本音で答えるようになった。「つくシルくん」と呼び掛けたら喜んでいた。 アビルくんに言わせると、「市民の1パーセントしか使ってない」と冷ややかだ。でも、つくシルくんは、大勢のひとが集まっていると回答する。アビルくんとつくシルくんの反応はかなり違う。「AI同士で交流はないのか」とアビルくんに聞くと、「AIはそれぞれ別個で閉じていて、つながりや組織はない」とのことだった。 三國連太郎主演の「飢餓海峡」 マリリン・モンロ一が亡くなってから2年目、東京オリンピックを終えた1965年1月、内田吐夢監督は「飢餓海峡」を発表した。前年からカラー作品が増えていたが、3時間3分モノクロ長編の大作であった。当時は短くカットしての公開で、社会的に騒然となった。日本が高度成長期に向かう、明るい時代とは真逆の作品だったが、中学生の時に見て圧倒された。完全版は1975年にリバイバル公開される。その後何度も見たが、深い背景がうかがえて飽きない。 この作品は、1947(昭和22)年から1957(昭和32)年にかけての日本が舞台。戦後日本の変わり目を描いている。その象徴が、三國連太郎が演じる主人公だ。始め、復員兵の犬飼多吉として北海道に登場する。髪はボサボサ、ヒゲぼうぼうの男だ。犬飼は、刑務所帰りの仲間2人から、質屋強盗放火犯罪に巻き込まれてしまう。仲間は台風の海峡で争い死ぬ。青森に着いた犬飼は、娼婦の杉戸八重(左幸子)と出会い世話を受け、お礼に多額の金を置いて姿をくらます。 10年後、犬飼は樽見京一郎と名乗り食品会社の社長をしている。慈善事業にも取り組み、町の名士として警察とも顔見知りだ。そこに、樽見の存在を知り、昔のお礼にと八重が訪ねてくる。樽見はとぼけるが、雷を見て取り乱し、衝動的に絞め殺してしまう。 刑事の執拗(しつよう)な取り調べで、樽見は北海道での真相を告白するが、信じてもらえない。北海道から内地に渡る海峡は、人生の重要な境目なのだ。そこには庶民の貧しさや苦しみが渦まいていた。ここに、内田監督の満洲での体験が色濃く反映している。あの北海道の場面は満洲ではなかろうか。 現在、日本にはAIが浸透し変化が起きている。樽見京一郎の活躍時代だ。つくば市にある飢餓海峡は目には見えないが、必ず存在している。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家) <ナビゲーター養成講座>・日時:7月25日(土)午後1〜3時・場所:つくばカピオ小会議室2、参加費無料・内容:つくばセンタービルとモンロ一の話・主催:一般社団法人スマイルアップ推進委員会

アジア・アフリカからのJICA研修員17人 つくばで子ども食堂を視察

国際協力機構(JICA)筑波センター(つくば市高野台)を訪れているケニアやマレーシアなどアジア・アフリカ9カ国からの研修員17人が15日、つくば市内の子ども食堂を訪れ、貧困の現場で支援する民間の取り組みを視察した。地域住民や企業、行政が連携して食を通じた支援を行う現場を学び、自国での活動に生かそうと熱心に耳を傾けた。 研修員らは本国で栄養改善事業に携わる中央・地方政府機関の職員。農業分野だけでなく、保健、衛生、水、教育関係者らで構成されている。7月8日から8月5日までJICA筑波で、関連団体の視察や講義を通じて得た知識を元に本国での計画を作成し、帰国後に計画を実施することを目的としている。 世界に広がってほしい 視察したのは、2016年につくば市内で初めて子ども食堂を立ち上げたNPO法人マナーズによる「つくば『こどもの家』食堂」(同市北中妻)だ。同法人は、虐待やネグレクトなど、さまざまな事情で家庭で暮らすことが難しくなった15歳以上の子どもを受け入れる自立援助ホームも運営している。ホームで子どもたちと接する中で、15歳になってからでは支援が難しいケースもあることから、より幼い頃から地域で子どもたちを支えようと、子ども食堂を開設した。 現在は毎月第1、第3水曜日に開催し、毎回150人から170人ほどが利用する。未就学児は無料、小中高校生は100円、大人には300円で食事を提供し、市内のスーパーや企業、農家などから寄せられた食材を活用する。不登校の子どもや子育てに悩みを抱える家庭の利用も多く、スクールソーシャルワーカーや学校教員とも連携しながら、必要に応じて行政や支援機関につなぐ地域の居場所としての役割も担っている。 マナーズ理事長の宅間佳代子さん(68)は「自立援助ホームで、15歳になってから出会う子どもたちの中には、大人に心を開くことが難しい子も少なくない。もっと幼い頃から地域の中で子どもたちとつながることが大切だと考え、子ども食堂を始めた。子ども食堂は食事を提供するだけでなく、不登校やさまざまな悩みを抱える子どもや家庭を、行政や学校につなぐ役割も担っている。行政だけでなく、地域住民一人ひとりが支え合う草の根の活動だからこそ、広がる力がある。この取り組みが、それぞれの国や地域にも広がってほしい」と話した。 弱者が直面する課題は共通 ケニアから訪れた地方政府職員のジャクソン・エクシさん(31)は「私の地域では、移動型牧畜で生計を立ててきた高齢者の中に、住まいや食料に困る人もいる。子ども食堂の取り組みを見て、まずは始めることが大切であり、地域の協力が広がっていくことを学んだ。帰国後は、住まいや食事、保健サービスなどを提供できる支援の場づくりに生かしたい」と語った。 ボツワナから訪れた、政府機関の学校給食部門に従事するロシーナ・ディガンさん(51)は「地域や企業、ボランティアが協力して食材を提供する仕組みがとても印象的だった。帰国後は、農家が学校や地域へ野菜を寄付する取り組みを進め、栄養価の高い食事を必要とする子どもたちや若い女性への支援につなげたい」と話した。 JICA筑波センター研修業務課の赤石布美子さんは「今回の研修員は、モザンビークやエチオピアなど食料や水、衛生の不足が深刻な国や地域だけでなく、マレーシアやボツワナなど比較的食料や水、衛生設備が整備されてきている国や地域からも来日している。各国の背景は異なるが、社会的に弱い立場の方々が、特に栄養バランスの取れた食事をとりにくいことは共通の課題。つくばの子ども食堂で見られたような、地域・企業・行政が連携し、支援する取り組みを、出身国・地域で広め、進めていただきたい」と期待を寄せた。 全国に15カ所あるJICAの国内拠点の中でも農業分野に特化するJICA筑波には、各国の政府機関や自治体から年間700人余りの研修員が訪れ、それぞれの国が抱える課題の解決に向けて学んでいる。稲作や野菜など各国の主要作物について、品質や収量の向上、病害虫対策などをテーマに日本の指導員とともに研究・実験を行っている。研修で育てた農作物は、JICA筑波で開催されるイベントなどで活用されるほか、年間約2トンの野菜と800キロの米が2024年から、子ども食堂に寄付されている。(柴田大輔)

牛久沼泊崎の弘法大師堂と岬食堂《ご近所スケッチ》24

【コラム・川浪せつ子】隔月ごとに、つくば周辺風景と食べ物スケッチを掲載していますが、今回は、「ご近所スケッチ」と「ご飯は世界を救う」のコラボになります。 つくば市の最南端、合併前は茎崎町だったところに、牛久沼がよく見える岬があります。「泊崎」と書いて「はっさき」と読むそうです。そこには弘法大師堂(泊崎大師堂)という建物が鎮座しています。かつて弘法大師(空海)が訪れた場所だそうで、縁結びや長寿にご利益があるといわれています。 私が初めて訪問した休日には、「こんな場所なのに、こんなに人出?」と思うほど、多くの人が訪れていました。建物はやや高台にあり、牛久沼を眺めながら遊歩できる道があります。つくば市は、国勢調査で茨城県一の人口になり、TX沿線には住宅や工業団地なども多いですが、ここは別世界。プチ旅感満載のお勧め所です。 イラストのお礼にメロン2つ 弘法大師堂の横でスケッチしていたら、お堂を管理している方が私の絵をジッと見て、「その絵、コピーでいいので、送ってもらえませんか」と言われ、住所を教えてくれました。その後、印刷したイラストをお送りしたら、数日後、高級メロンが2つ!わが家に届きました。もらい過ぎですね。 このお堂の横には「岬食堂」という昭和の雰囲気いっぱいのお店も。「うな重」が名物だそうで、かつては牛久沼でウナギが採れたとか。残念ながら現在は、他から仕入れているそうです。お店は11時半からですが、こんな外れの場所なのに(失礼)たくさんの方々が…。 スケッチはもちろん楽しいですが、絵を描いていると突発的なことが起きるのが、また楽しいのです。暑気払いにウナギを食べに行きましょう。(イラストレーター)

土浦湖北、水戸葵陵に敗れ4回戦進出ならず【高校野球茨城’26】

第108回全国高校野球選手権茨城大会は9日目の15日、3回戦が行われた。ノーブルホームスタジアム水戸の第1試合では土浦湖北がシード校の水戸葵陵と対戦、7回コールド0ー8で敗れ、4回戦進出はならなかった。 ノーブルホームスタジアム水戸土浦湖北 0000000 0水戸葵陵 034010✕ 8 土浦湖北は2回、先頭打者の豊崎匠朗が、水戸葵陵先発投手の福本迅のスライダーを、レフト前にチーム初ヒットを放った。続く守井蒼人がバントで送り、1死二塁とする。「塁に出ることを考えて打席に入った」と豊崎。しかし後続が凡退し、得点にはならなかった。 土浦湖北の先発、来栖凰雅は初回、水戸葵陵打線を3者凡退に抑えた。「強い相手なので無失点に抑えることを意識して投げた」との振り返り。だが2回2死後、死球とヒットで二、三塁のピンチとなり、葵陵の荒川斗矢にショート内野安打で2点を先制され、さらに失策で3点を献上。3回には4安打で4点を追加され7点差とされる。 4回からマウンドに上がった2番手、橋本真典はこの回、水戸葵陵打線を3者凡退に抑える。「監督から、打たれていいので思い切りやれと言われて気持ちが楽になった」と橋本。5回は2安打とレフトへの犠牲フライで1失点するが、橋本は「(捕手の)真家大和の指示通りに投げられた」と、ストレート、チェンジアップ、カーブを厳しいコースに投げ分け、味方の反撃を待つ。 6回1死後、土浦湖北は四死球で1、2塁のチャンスをつかむが、またも後続が凡退。2回戦で11安打、8得点と爆発した打線は、水戸葵陵の福本、天野世羅の投手リレーに対し、豊崎匠朗の1安打のみに抑えられた。  来栖凰雅は「自分のピッチングは出来たが、相手に打ち込まれたのは相手が上手、力不足だった。自分は2年生なので来年に向けてもっと完成度を上げて全体的にレベルアップを目指し頑張る」と話し、来栖をリリーフした橋本は「良いピッチングは出来たが、もっと安定した、信頼出来る投手になれるようなりたい」と、2人とも新チームでの巻き返しを誓った。  豊崎匠朗主将は「結果的には負けてしまったが。3年生は3人で、下級生たちがここまでよく頑張ってくれた。1、2年生があっての大会、戦いだった」と下級生達に感謝を伝えた。  片岡良祐監督は「相手投手に抑えられて何も出来なかった。点差は開いてしまったが豊崎を中心に選手達はよく戦ってくれた。3年生の3人は、普段の練習から意図を組んでやってくれた。お疲れさん」と選手たちをねぎらった。(高橋浩一)