世界の野生ランを収集、保存する国立科学博物館 筑波実験植物園(つくば市天久保)で「世界のランと出会う つくば蘭展」が22日から開催される。今年は、ツユクサの遺伝子を導入し開発された「青いラン」が特別公開されるほか、同館がコレクションする3000種余りのランの中から現在咲いている約200種が展示される。
29日まで。同展は1980年代に始まり、コロナ以前は毎年9000人余りが訪れてきた。
青いランは石原産業(大阪市、田中健一会長)と千葉大学が共同開発した。監修する同博物館研究員の遊川知久さん(61)によると、2012年に初めて花をつけた第1世代に続く第2世代にあたる。遊川さんは青いランについて「極めてまれ。花の品種改良をする人にとって、人生を賭ける人もいるほど。『夢』みたいなもの」と希少性を伝える。
ランの謎に迫るセミナー開催
期間中に開くオンラインセミナーでは、展示される各種のランを専門家がオンラインで解説する「つくば蘭展ラン♪らん♪ガイド」を27日午後7時から、ランを取り巻く最先端の科学技術を解説する「バイオテクノロジーでランを未来へ」を29日午後1時から、それぞれ同館の公式YouTubeチャンネルでライブ配信する。オンラインセミナーはコロナ禍をきっかけに始まった。
対面企画として22日午後1時から植物園内研修展示館3階セミナー室で、遊川さんが絶滅の危機にあるランをめぐる最新研究を紹介する。遊川さんによると、ランは絶滅の恐れのある種が最も多い仲間の一つ。実に、日本のランの3分の1ほどが絶滅危惧種であるという。セミナーでは「ランがなぜ、特異的に絶滅の渦に巻き込まれているのか、その謎解きをしてみたい」と言い、「話の中で意外性が出てくるはず。ランのことをよく知らなかった方々に聞いてもらいたい。『ランってこんな植物だったの?』という発見があると思う」と参加を呼び掛ける。
同館広報の田中庸照さん(36)は「国内外を含めてこれだけの種類のランが見られる機会は少ないと思う。毎年開催時期が少しずつ違うので、咲いている種類も異なる。毎年来られている方にも楽しんでいただけるはず」と話す。(柴田大輔)
◆企画展「世界のランと出会う つくば蘭展」は22日(日)から29日(日)まで、つくば市天久保4-1-1、国立科学博物館 筑波実験植物園で開催。会期中は無休。開園時間は午前9時~午後4時30分▷期間中はパンフレットやランをモチーフとしたぬり絵の無料配布、平日に限り先着100人に青いランのポストカードがプレゼントされる。会期中の平日午前9時から11時の間に限り、熱帯資源植物温室と多目的温室で三脚と一脚を使っての写真撮影が可能▷入園料は一般320円(税込み)、高校生以下と65歳以上は無料。問い合わせは電話029-851-5159(同園)。詳細はイベントホームページまで。