本格的な受験シーズンの幕開けとなる、大学入学共通テストが14日、全国で始まった。試験は15日までの2日間で、初日に地理歴史・公民、国語、外国語、2日目は数学と理科が実施される。会場となる筑波大学(つくば市天王台)では、昨年とほぼ同数の6457人が受験を予定していた。全国の志願者数は、前年度比で3.4%減の51万2581人と年々減少が続く中で、県内では昨年とほぼ横ばいの1万2923人となっている。
「普段の実力を」
午前8時、気温5度を下回る曇り空のもと、コートやジャンパーに身を包む受験生たちが、試験会場となる筑波大学に集まり始めた。
会場前でバスを降りた藤代高校3年の池田航大さんは「これまでにやるべきことはやってきた。本番ではその成果を出せるように、しっかり臨みたい」と気持ちを引き締め、土浦市から来た鈴木康太さんは「昨夜はしっかり寝て、朝ごはんも食べてきた。今日は楽しみたい」と意気込みを語った。龍ケ崎から娘を会場に送り届けた加藤将司さんは「親の方が緊張しています。コロナなど心配はありましたが、普段の実力を出せるよう背中を押してあげられれば」と思いを語った。
新型コロナの感染により、13日には一日の発表としては最も多い16人が亡くなるなど、県内でも拡大傾向が続いて、会場にも警戒感が漂った。受験生にはマスクの着用、手・指の消毒のほか、休憩時間や入退場時に他の受験生との接触や会話を極力避けること、昼食は自席で黙食をすることが求められた。また、会場では隣との座席間隔が空けられ換気が徹底された。
主催の大学入試センターは、試験当日に発熱や咳など体調不良がある場合、無理をせずに28、29日に、茨城大学水戸キャンパス(水戸市文京)で行われる追試験を受験するよう、呼びかけている。
昨年、高知県内の試験会場でスマホ使用の不正が発覚したのを踏まえ、試験開始前のチェックも入念に行われた。携帯電話やスマートフォン、スマートウオッチ等のウエアラブル端末の電源が切られているかの確認のため、机に並べるよう試験官が受験生に求めた。不正が発覚した際に受験中止と退出が指示されること、場合によっては警察へ被害届が出されることが伝えられた。
都内の試験会場周辺で昨年、受験生を狙った障害事件が起きたことから、各地で試験会場周辺の警備が強化されていると報道されたものの、同市内では「試験会場周辺をパトロールするなど通常警戒の範囲に留めている」(つくば署)という。
使用機器に不具合、再テスト実施
筑波大学広報局によると、この日、午後5時10分から開始された英語リスニングで、使用されるICプレーヤーのうち一台に不具合が出たため、該当する受験生1人が、試験終了後に同会場にて再テストを行った。他の受験生に関しては、定刻で終了したとしている。(柴田大輔)