つくば市内に点在する長屋門や地域の歴史資源を訪ねる「長屋門みち」あるいてみるイベントが8日、開かれた。同市のNPOつくば建築研究会(坊垣和明理事長)主催で、昨年夏から試行しており、4回目の開催。「長屋門みち」はつくば市内で4コースが設定されており、今回は小田城址から筑波山神社まで、15カ所の長屋門を見学する企画として募集され、同会会員や一般参加者8人が約14キロの道のりを歩いた。
ローカルツーリズムへ4コースを設定
坊垣代表によれば、研究会で進めてきた長屋門と民泊の融合企画である「もん泊」を将来目標としながら、「長屋門とはどんな建築なのか。それぞれの地域になぜ、どのようにして誕生し活用されてきたのかを広く知っていただくためには、地域ごとに所在する長屋門を見学し、また家主に活動を紹介しコミュニケーションの場を持つことが必要と考えた」とあるいてみるイベントへと発展させたという。
これまで「吉瀬コース」「台坪コース」「台坪・大・吉瀬コース」を訪ね歩き、長屋門だけでなく神社や仏閣などの歴史的地域資源にも、ローカルツーリズムとして価値観を見出せる素材があることを発見した。
8日に行われた「筑波山コース」では、小和田地区の初酉(はっとり)大明神を訪ねた。参加者の一人は「初めて訪ねた。本殿に様々な彫り物(彫刻)が設えられ独特の味わいを醸し出していた。私たちが知らなかっただけかもしれないが、立ち寄り眺めるだけの価値を感じた」という。
古建築や物産織り込みコースの魅力アップ
同イベントは、経由した集落の人々に地域の逸話などを聞くほか、長屋門の所有者には門の築造時期や活用用途を尋ね、小和田、山口、北条へと移動した。研究会の永井正毅理事は「一見、どこにでもありそうなつくばの農村という風景の中にも、歩いて聞き取りをしていくと、なぜこの位置に道があるのか、物見のような場所に集落が所在するのかといった中世以前の歴史が浮かび上がってくる。長屋門もただそこにあるわけではないと再認識すると、長屋門という地域資源の活用には、家主さんとの交流をより熱心に進めていかねばならないと感じた」と語る。
研究会は今後、同イベントのコースを増やしていく考え。坊垣理事長は「長く続けている建築バスツアー(つくばセンター地区の近代建築と周辺地区の古建築をバスで巡るツアー)と、あるいてみるツアーをNPO定番イベントとして定着を目指すとともに、イベントについては、市内各エリアの「長屋門」所有者(もん主)との協働による長屋門の清掃・地域拠点化を進めつつ、相乗効果をねらって、『長屋門みち』も市内各エリアに拡大していく予定」と次のステップを述べた。(鴨志田隆之)