従業員の健康管理を経営的な視点で考える新しい経営手法「健康経営」のノウハウを地域に広めようと、筑波銀行(本店・土浦市、生田雅彦頭取)と損害保険ジャパン(本社・東京都新宿区、白川儀一社長)、SOMPOひまわり生命保険(本社・新宿区、大場康弘社長)は27日、健康経営推進連携協定を締結した。
SONPOひまわりが開発した従業員向け健康管理アプリを、筑波銀行が取引先に紹介し無料で提供したり、同社が同行の顧客企業を対象に無料のセミナーを開くなどして、健康経営の普及促進や啓発に取り組む。健康経営について金融機関と損害保険会社や生命保険会社が協定を締結するのは全国で初めてという。
健康経営は、従業員の心身の健康維持や健康増進にかかる支出を、コストではなく前向きな投資ととらえる米国発の経営手法。少子化や高齢化により人手不足が深刻な問題となる中、従業員の健康問題を放置すると生産性の低下や医療費負担の増加、企業イメージの悪化などにつながると懸念されている。
一方、従業員の健康に配慮した経営をする企業には、従業員の活力向上や生産性向上がもたらされるとされていることなどから、経産省は2017年から、優良な健康経営を実践している企業を顕彰する健康経営優良法人認定制度を設けている。
筑波銀行の顧客に無料提供する健康管理アプリは、①従業員が毎年実施する健康診断結果をスマートフォンで撮影して6年後の健康リスクを予測し、各人に合った健康活動を提案する②健康診断結果を入力し5種類のがん発症リスクを判定して、各人に合った健康活動を提示する③認知症になるリスクを減らすため認知機能をチェックし認知機能を鍛える生活習慣を提案する-の3種類。無料アプリやセミナーを通して、まずは健康経営について知ってもらいたいとする。
生田頭取は「(筑波銀行が企業のSDGsの取り組みを応援するため)SDGs宣言書を交付している取引先企業約350社のうち8割が従業員の健康や働き方の課題を認識しているという調査があり、銀行としても健康経営をサポートしたい。SDGs宣言企業を健康経営までもっていって、雇用、離職防止、サスティナブル(持続可能)な経営をサポートできれば」と話す。
SONPOひまわりはほかに、有料の健康管理アプリを開発したり、経産省の健康経営優良法人認定に向けたアドバイスなども実施しており、必要な企業には紹介などするという。