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来年、138億年前の話をしよう 「小林・益川理論」50周年《土着通信部》54

【コラム・相澤冬樹】年の瀬、編集企画の仕事をしていると、新年のテーマを探す作業も大詰めを迎える。年表の類を引っ張り出して、10周年とか50周年とか100周年とかのイベントを掘り起こすのだが、気づかなかった取りこぼしが師走も終わり近くになって、必ず出てくる。

つくばの高エネルギ-加速器研究機構(KEK)が22日にプレスリリ-スしたのは「小林・益川理論50周年記念講演会」、来年2月18 日に一橋講堂(東京・千代田区)で開催するとの告知だった。NEWSつくばでは取り上げにくいが、編集子の関わるサイエンス系雑誌の守備範囲には入ってくる。

プレスリリ-スによれば、2008年のノーベル物理学賞を共同受賞した小林誠KEK特別栄誉教授と故・益川敏英京都大学名誉教授の「小林・益川理論」が学術誌に掲載されたのは1973年2月1日。宇宙誕生のビッグバンのとき宇宙には電子のような「粒子」と、陽電子などの「反粒子」が同じだけ生まれたと考えられているが、今の宇宙には物質しかない、なぜ反粒子からできた反物質は見当たらないのか-という大きな謎に、この理論は深く関わる。

50年前、若手研究者だった両教授は、3世代(6種類)以上のクォーク(物質をつくる素粒子)が存在すればCP対称性が破れることを示し、新たなクォークの存在を予言した。CP対称性は、粒子と反粒子のふるまいが同じであることをいう物理学の用語。Cは荷電共役変換(粒子を反粒子へ反転する)、Pはパリティ変換(物理系の鏡像を作る)を意味する。変換によって見つかる、わずかな対称性の破れから、物質だけが残る宇宙がつくられた。

当時は3種類のクォークしか知られていなかったが、1974年にチャームクォーク、77年にボトムクォーク、95年にトップクォークが発見され、予言どおり3世代6種類の空欄が埋められた。さらにKEKのBelle(ベル)実験と米国のBaBar実験により、理論が実証されてノーベル賞につながった。

Belle実験は、つくばのKEKB(ケックビー)加速器とBelle測定器を用いて、B中間子(ボトムクォークかその反粒子を含む2種のクォーク対)におけるCP対称性の破れの検証を行った。この国際共同実験は2010年に終了し、プロジェクトは現在、スーパーKEKB加速器とBelle II検出器による実験に引き継がれている。

2月18日、東京開催で参加者募集中

ここまでの話についてこれたなら、2月の50周年記念講演会にも興味が向くだろう。2部構成で、第1部では理論提唱当時の様子を小林誠博士が講演する。ほかに、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)機構長でカリフォルニア工科大学フレッド・カブリ冠教授の大栗博司博士、山内正則KEK機構長の講演もある。第2部では、若い世代に向けて、3人の講演者と現場で活躍する研究者を交えてパネルディスカッションが行われる。

未来に向けての講演会ということだが、実は約138億年前のビッグバンにさかのぼる話でもある。50年間の風雪に耐えてきた理論、もう鬼に笑われることもあるまい。

参加は無料(先着順、定員250人)、現地参加のほかYouTubeライブ配信も予定されている。詳細はこちら、チケット申し込みはこちらから。(ブロガー)

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