いばらきイノベーションアワード(同アワード実行委員会制定)の第3回受賞者が決まり13日、実行委員会事務局の茨城県から発表された。賞金100万円の大賞には、つくば市内に研究所を置くGCEインスティチュート(GCEI、本社・東京都中央区 、後藤博史社長)の環境熱発電デバイスが選ばれた。授賞式は20日に県庁で行われる。
同アワードは先端技術を活用した新製品や新サービスを対象に募集し、表彰する顕彰事業。大賞に選ばれたのは、熱から電気に直接エネルギーを変換する発電デバイス(10月3日付既報)。熱電変換には温度差を利用するのが一般的だが、GCEIが特許化した技術は、温熱源さえあれば(温度差を用意できなくとも)発電が可能という新しい原理のテクノロジーだ。
2枚の金属電極の間に金属ナノ粒子を充てんした構造にすると、起こるのが「ホッピング電導」。電子が熱の励起エネルギーによりナノ粒子間のエネルギーの壁を飛び跳ねて移動する現象で、これから電流を取り出すという発電原理に基づく。構成が簡素なこと、温度差を用いない発電機構であることから、大面積化、積層化が可能なため、大出力の熱発電機器として適用可能とされる。
同社では、作製プロセスに改良を加え、ナノ粒子の生成量を増大化させ、使い勝手をよくして、各方面の開発企業に事業化を働きかけた。身の回りのIoT製品、電子機器から工場排熱まで幅広い熱源を利用した発電が可能という。
後藤社長は「これまでに多くの企業から引き合いをいただいており、まったく想定外のところからも話を頂戴するようになった。デバイスを提供して実証実験をしていこうという段階で、実用化までには多くの課題をクリアしていかなければならないが、受賞を励みにがんばりたい」と話している。
優秀賞には、いずれもつくば市所在の企業による次の3件が選ばれた。
▽ときわバイオ「SRV iPSC Vector」線維芽細胞や末梢血細胞からiPS 細胞を高効率で作製▽マテリアルイノベーションつくば「グラフェン/カーボンナノチューブ複合材料(Gmit)」複合材料を電極として用いた新規蓄電デバイス▽エイゾス Web サービス「Multi-Sigma」複数の目的を同時に満たす条件をAI が自動的に探索するウェブアプリ