県立下館一高付属中学校(筑西市)の特別授業が28日つくば市内で催され、1年生40人が関彰商事(本社・筑西市、つくば市)社員らと交流しながら、同社のダイバーシティー(多様性)などの取り組みについて学んだ。
同付属中は、中高一貫教育のため2020年に下館一高に併設された。特別授業は、地域企業の取り組みを知って、地域の実態や特徴、課題について理解を深めようと、同校の探求活動の一環で実施された。
関彰商事は1908(明治41)年に筑西市(当時、下館町)で創業した。関正樹社長は県立下館一高出身で、現在、筑西市とつくば市に本社がある。
特別授業はつくば国際会議場で実施された。関社長は「卒業生としてとてもうれしい。(下館一高に)通っていた時は自分がこうなるとは思ってなかった」とあいさつ。「関彰商事は来年、創業115年を迎え、グループ売り上げは1600億円。百年以上続いて、売り上げ1000億円以上の会社は県内でうちだけだが、じゃあこれからも続くかは分からない(というのが経営の世界)。事実として、115歳になり、売り上げ1600億円ということがあるだけ」と経営者としての心得を語り、「生きていく上で(自身が)経験したことはすべて自分のためになっている。とにかく前を向いて、後ろに下がってもいいからちょっとずつ前に進めて、いろんな経験をしていただきたい」などと呼び掛けた。
続いて米国ロサンゼルス出身で、社内のSDGs(持続的な開発目標)教育などを担当する総合企画部のタニ・ジェイミー・アズサさんが、同社のSDGsやダイバーシティーの取り組みなどについて説明し、外国籍社員が現在2328人中34人、障害をもつ社員が35人いることなどを話した。さらに、新型コロナの影響、温暖化対策、ウェルビーイング(心身の健康)の取り組みなどテーマごとに5つのグループに分かれて、仕事や生き方について社員と話し合った。
ウェルビーイングをテーマにしたグループでは、社員の離職について原因を話し合った。生徒たちから「給料が安いから」「仕事がつまらないから」などの離職理由が出される中、スポーツアナリテックス事業準備室の早津寛史主任は「人間関係が一番大きな問題。ぎすぎすした職場より、認め合いながら成長する職場の方がいいので、感情が高ぶった時、呼吸を整える方法などを取り入れている」などと話した。
生徒たちは午後から学園の森にバスで移動し「ポルシェセンターつくば」でポルシェの電気自動車の試乗などをした。
生徒たちは事前にホームページなどで関彰商事の事業を勉強し、質問事項を考えて特別授業に臨んだ。参加した男子生徒(13)は「エネルギーなど新しいことを教えてもらい、今後自分たちが大人になって仕事をしていく上で参考になった」と感想を話していた。
付属中の谷島敏浩教頭は「地域を題材に探求することを通して、いろいろな情報を集め、自分がどんなことを勉強したいのかを見つけていってくれれば」と話していた。