国内外の版画、油彩、⽔彩など美術品の卸売り、⼩売りを⼿掛けるアート・プロジェクト(つくば市古来、廣瀬健⼀会長)は14日、美術絵画の販売をイーコマース(電子商取引)で行うECサイトをオープンさせた。サイトでは100点を超える美術品を販売、オンライン上でも絵画の魅⼒を伝える試みとしてAR(拡張現実)を活⽤した展⽰を行う。
サイトは「Try on ARt-アートを試着しよう」をコンセプトにした。ARはAugumented Reality(オーグメンテッド・リアリティー)、「拡張現実」と翻訳されるが、VR(バーチャル・リアリティー、仮想現実)のような映像を投影する専用デバイスを必要とせず、スマホやパソコンの画面上で立体視できる。ARにトライの「t]をオンさせて「ARt」としている。
サイトの作品詳細ページでアイコンをタップすると、カメラを通じてAR体験できる。購⼊を検討している絵画を、自宅や職場などの環境にシミュレーションして飾ってみるものだ。衣料品のセレクトショップで試着してから購入するのに似たデジタル体験となる。PC版の場合は、360度の3Dビューが可能。美術品販売ではこれまで類例のないECサイトという。
アート・プロジェクトは1985年にギャラリー広瀬として創業。当初からピカソやシャガールら、フランスの巨匠版画を中⼼に、⽇本⼈巨匠の版画や現代アートを加えた企画画廊として数多くの美術品を取り扱ってきた。従来、百貨店の美術画廊をメーンに全国展開の販売を⾏ってきたが、コロナ禍などから百貨店との流通チャンネルが相次ぎ閉鎖となり、販売戦略の立て直しを迫られていた。
版画作品メーンに「本物を」
創業者である廣瀬会長の「世界中の巨匠作家の作品を⽇常に届けたい」という思いを引き継ぎ、新しい時代のカタチを模索したのは実子の平山陽子さん。絵画を愛する人に向け「好きな作家の絵画が場所や時間を選ばず鑑賞、購⼊できるオンライン上の画廊を作りたい」とECサイトに取り組んだ。「せっかく会社をつくばに置いているのだから、足元を見つめ、そのテイストを発信したい」と狙いを語る。
取り扱うのはフランス人気作家のベルナール・ビュッフェ、ジャン・ジャンセンらに加え、東山魁夷、熊谷守一ら日本人巨匠の版画などがそろう。版画はコピーとは異なり、模造品などが入り込まないようチェックを徹底している。平山さんによれば「多くの作家にはレゾネと呼ばれるカタログがあって、年代順に制作部数などのデータが整理されている。これらと照合し、コピーでないことを確認できた作品を扱っている」ということだ。
■アート・プロジェクト(問い合わせ電話:029-857-1877、Eメール:info@artproject-ltd.jp)ECサイトはこちら。