木曜日, 1月 8, 2026
ホーム土浦エレキの神様・寺内タケシに感化 土浦出身の映画監督 ご当地で製作発表

エレキの神様・寺内タケシに感化 土浦出身の映画監督 ご当地で製作発表

昨年6月に82歳で亡くなった土浦出身のギタリスト、寺内タケシさんを偲ぶ映画「俺たちの長い旅~エレキの神様に捧ぐ」が2023年夏の公開を目指し、製作される。映画監督で脚本を書いた鈴木純一さん(63)が1日、土浦市内で出演者らと製作発表に臨み、来春予定のクランクインでは、同市はじめ茨城県内オールロケでの撮影になることが明かされた。

勇気と希望と絆の青春ドラマ

映画「俺たちの長い旅」製作委員会(大石真裕委員長)による製作発表は、寺内さんの生家が営む映画館、土浦セントラルシネマズ(同市川口)の特設会場で行われた。鈴木監督のほか、出演が予定される緒形幹太さん、宮崎さやさんが出席した。

製作発表に臨む(左から)宮崎さやさん、鈴木監督、緒形幹太さん=製作委員会提供

鈴木監督と宮崎さんは同市出身。「夢のキセキ~里山の少女からもらった一粒の光~」(2017年)などの作品がある鈴木監督は、寺内さんと同じ土浦旧市内の生まれで、父親の茂さんは地元の楽団でギターを弾く音楽好きだった。幼いころ、寺内さんのコンサートに連れていってもらい、以来「大ファン」になったという。

60年代にエレキギターやバンドが非行の温床だとして学校で禁止されるようになる中、寺内さんは母校の県立土浦三高を皮切りに、数十年かけて全国1500百校近くの高校で演奏した。「ハイスクールコンサート」と呼ばれる活動。音楽を通じ、学校や保護者、地域社会の理解を得る取り組みで注目された。軽音楽好きの鈴木監督は、同じ時代を過ごした。

しかし近年、特に若者の間では「寺内タケシって誰?」となるほど存在感が薄れてしまい、映画化の思いを募らせたそう。ここ数年ミュージシャンの伝記映画がさかんだが、「寺内さんはあまりに偉大過ぎて、演じられる俳優がいない。今の時代の高校生の中に投影して、青春ドラマとして描き直すのはどうだろう」と企画した。折からのコロナ禍、修学旅行も運動会も成人式まで出来ずにいる若者の閉塞感を重ね合わせて脚本を書いた。

茨城の高校生たちでつくる軽音楽部。それぞれが抱える悩みや苦しみと葛藤する中、指導の教師から地元に「エレキの神様」と呼ばれた人がいたと聞かされる。過去にエレキ禁止令というものがあり、子供たちの音楽の自由が奪われていたこと、それをエレキの神様が救ってくれたことを知り、新たに上を向き歩み進んでいく-、勇気と希望と絆の物語に仕立てた。

一昨年には横浜にある寺内さんの自宅を訪ね、脚本を見せると「分かった、任せる」と映画化に快諾を得た。コンサート以外で初めて、対面で会う機会だった。

県内オールロケ、エキストラも県内募集へ

ところが昨年6月18日、寺内さんが他界。「同じ6月の6日に母親を亡くし、自分も参っているところへの訃報だった。母の享年も寺内さんと同じ82歳、前に進まなければならないと思った」そう。

脚本に手を加え、製作委員会を立ち上げ、キャスティングを開始。1日の製作発表に漕ぎつけた。筑西市のテーマパーク「ザ・ヒロサワ・シティ」に寺内さんを顕彰し遺品などを集める「寺内タケシ記念館」が開館したのが10月31日で、土浦のファンから「なんで筑西なんだ」との嘆きが聞かれるタイミングでの発表になった。

クランクインは来年3月、順調なら夏には公開の予定。寺内さんの演奏する記録映像を織り込みながら、全編を土浦を含む県内ロケで描きたい意向だ。舞台となる土浦三高には特にこだわりたいとし、「三高の桜並木のある坂道で現地ロケをしたいし、三高の名前も使いたい」と鈴木監督。

クランクインまでの間に、県内高校の軽音楽部などを通じエキストラを募集する一方、出演以外にも一般の協力を幅広く呼び掛けていくという。(相澤冬樹)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

19歳以上に1人5千円支給へ つくば市 政府の交付金活用

21万2000人対象 つくば市は7日、物価高騰対策として、概ね19歳以上の市民約21万2000人全員を対象に、一人当たり一律5000円を支給する方針を決めた。昨年12月に補正予算が成立した政府の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用する。各自治体が地域の実情に合わせて支給内容を決めることができる制度で、同市の場合、政府が推奨事業メニューに示した「おこめ券」や電子クーポン、プレミアム商品券などの配布は実施せず、だれもが使いやすい現金を支給する。 同日、市議会全員協議会を開き明らかにした。16日に市議会本会議を開いて審議する。可決されれば、4月以降に順次、指定の口座に振り込むなどして支給するという。 今回、5000円の支給対象からはずす18歳以下の児童手当支給対象者はすでに、経済対策として政府の物価高対応子育て応援手当を活用して一人当たり2万円を支給することが決まっている。 一人5000円の給付事業費は総額12億6200万円で、内訳は給付金が10億6000万円、事務費が1億9900万円など。 同市の同重点支援交付金は計15億6800万円で、物価高騰対策としてほかに▽特別養護老人ホームやデイサービスなどの介護保険サービス事業所271カ所に計4880万円▽放課後等デイサービスや児童発達支援事業者など障害福祉サービス事業所238カ所に計4460万円▽公立保育所と、民間保育施設155カ所に計4000万円▽児童クラブ41事業所に450万円▽病院19カ所と診療所455カ所に計4900万円▽畜産農家など15経営体に計2070万円▽農家など238経営体に計8360万円▽鉄道1社、路線バス2社、タクシー18社に計1500万円などを支給する。 ほかに、県による低所得の子育て世帯生活応援特別給付金として、児童扶養手当受給者5060人を対象に児童1人当たり5万円を支給する。支給総額は2億5600万円で、県支出金を充てる。 一方、土浦市は、政府の物価高騰対応重点支援交付金の活用方法について現時点で未定だとし、年度内に議会に諮って決めるとしている。(鈴木宏子)

筑波山神社宮司 上野貞茂さん《ふるほんや見聞記》12

【コラム・岡田富朗】上野貞茂さん(64)は、桜川市にある神社が御実家で、笠間稲荷神社で権禰宜(ごんねぎ)を務めたのち、4年ほど前から筑波山神社の宮司を務めています。筑波山神社は、古くから信仰の歴史を持つ霊峰筑波山を御神体と仰ぎ、「常陸国風土記」や「万葉集」にも記されている古社です。 境内は中腹の拝殿から山頂を含む約370ヘクタールにおよび、山頂からの眺望は関東一円に広がります。筑波男大神(いざなぎのみこと)、筑波女大神(いざなみのみこと)を祭神とし、縁結びや夫婦和合の神として広く信仰を集めています。結婚式や縁結び、交通安全、厄除けなどの祈祷も毎日行われています。 年越祭 年末年始からお正月の期間は、新年を祝う多くの参拝客でにぎわう筑波山神社ですが、2月には「年越祭(としこしまつり)」が開催されます。年越祭とは、新年最初の満月を迎え小正月と節分を祝う追儺(ついな)豆まき神事です。拝殿でお祓(はら)いを受けた年男・年女が福豆とともに、たくさんの福物をまき、春の訪れを祝います。 1年の家内安全や商売繁盛、厄除(やくよけ)けなどを祈願する祭礼で、本来は旧暦の正月14日に行われてきましたが、現在は毎年2月10日と11日の両日に開催されています。大相撲大島部屋から大島親方(元旭天鵬)をはじめ、力士の方々も豆まきに参加されます。 御座替祭 古来より春と秋、4月と11月には「御座替祭」(おざがわりさい)という筑波山神社の例大祭が開催されます。「神衣祭(かんみそさい)」「奉幣祭(ほうへいさい)」「神幸祭(しんこうさい)」の三種の神事が執り行われ、大神様の依代である神衣の御神座を新たに奉り、御神徳のいっそうの高揚をいただく最も重要な神事です。 午後の「神幸祭」では、御山の神様を里に迎え五穀豊穣(ほうじょう)を祝い、国の安寧を祈ります。祭装束を整えた神職・氏子総代、総勢約150名の氏子崇敬者が猿田彦を先頭に太鼓や雅楽の音色の中、神様が坐します神輿(みこし)とともに町内を巡り、筑波山神社拝殿に宮入します。御座替祭の日に限り、茨城県重要文化財である「御神橋(ごしんばし)」(徳川家光公寄進)を御神輿とともに一般の方も渡ることができます。 徳川家と筑波山神社 徳川家康が江戸城守護の霊山として筑波山を祈願所と定めて以来、筑波山神社は将軍家の崇敬を厚く受けてきました。国の重要文化財に指定されている吉宗銘の太刀は、三代将軍・家光の寄進によるものです。境内には、日枝神社、春日神社、厳島神社、さらに参道の中央に架かる神橋など、1633(寛永10)年に家光によって寄進された諸社殿も立ち並んでいます。 歴史が長く貴重な文化財が数多く残る筑波山神社ですが、その分維持や管理には大変さがあるそうです。取材した日も、厳島神社の屋根の修復作業が行われていました。 2033(令和15)年には、徳川三代将軍家光が諸社殿などを寄進してから400年の節目を迎えます。日枝神社本殿正面には、「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿の彫刻が施されており、この作は日光東照宮のものよりも前の作であると言われています。 貴重な文化財が今後も大切に守り継がれていくためにも、より多くの方に筑波山神社の魅力を知っていただきたいと感じました。(ブックセンター・キャンパス店主) <年越祭> 2月10日(火)、11日(水)の2日間、午後2時、3時、4時に開催。年男年女の参加料は2万円。

つくば駅前で市民らがスタンディング 米国のベネズエラ軍事行動に抗議

米国によるベネズエラへの軍事攻撃とマドゥロ大統領拘束に反対する市民による抗議行動が4日、つくば駅前のつくばセンター広場で催された。主催したのは同市の市民グループ「戦時下の現在を考える講座」。参加者らはメッセージボードを掲げてスタンディングを行い、暴力への反対を通行人に訴えた。 行動を呼び掛けた主催グループの加藤匡通さん(57)が活動の実施を決めたのは前日の夜。SNSで事態を知り、「戦争は許せない。理不尽な口実で武力行使が行われ、国際法を軽視する流れが広がることに強い危機感を覚えた」と話す。今回の軍事作戦が「成功」と評価されること自体が誤った前例となりかねないとし、「『ふざけるな』と声を上げなければならないと思った」と語った。 加藤さんは、抗議の場所につくばを選んだ理由について「自分たちが生活している場所だから」と話し、「通行人が行動を目にすることで、『自分も声を上げていいんだ』と思ってもらえたり、異なる人同士の議論のきっかけにつながれば」とし、「米国大使館や国の主要機関がある東京だけでなく、全国のさまざまな地域で市民が声を上げていることが見える形になることが大切」と話す。 また2003年に始まった米国によるイラク戦争にも言及し、「大量破壊兵器という口実で戦争が行われ、その混乱は今も続いている」と指摘する。「戦争が始まれば当たり前の生活は成り立たなくなる。『仕方がない』という考え方に流されず、誤った行動には『それはだめだ』と声を上げ続けるべき」と加藤さんは強調した。 一方で、ベネズエラの政治状況については「人権の抑圧や選挙不正の疑いなど、マドゥロ政権にも問題がある」としながら、「だからといって軍事侵攻が許されるわけではない。本来は国際社会が対話で対応すべきだ」と述べ、「私たちはすべての戦争に反対する。戦争に対する歯止めが効かない世界を生きるということは、いつ自分の身に降りかかるか分からないということ。日常の暮らしを守るためにも、戦争を容認しない社会を維持しなければならない」と訴えた。(柴田大輔)

つくば市には純金小判! ふるさと納税返礼品《水戸っぽの眼》8

【コラム・沼田誠】年末年始は、普段じっくり話せない友人や知人と飲む機会があります。その場でふるさと納税のことが話題に上りました。そこで、自分が住んでいるつくば市はどのような返礼品があるのだろうと、ネット検索してみると、なんと!「純金小判」が出てきました。 ふるさと納税は、本来、応援したい自治体に寄付を届けるという理念で2008年に始まった制度。昨年10月からは、仲介サイトによる「ポイント付与」が原則禁止されました。過熱する自治体間の寄付獲得競争に国が歯止めをかけた形です。 少し話が逸れますが、この制度を自治体のどの部署が担当しているかは、そのまま首長や行政組織(特に財政部門)の考えが反映されるものになっています。制度の趣旨、あるいは自治体間競争の面から考えれば、観光やシティプロモーション担当部署が担うのが自然であるように思います。岐阜県飛騨市では、関係人口創出や移住・定住などを担当するふるさと応援課が担当部署になっています。 私が在職していた水戸市では、税務部門の市民税課が担当しています。ふるさと納税を「税務事務」の範囲内で適正に処理したい―との考え方からです。ところがつくば市は、民間企業との連携やSDGsを担当する企画経営課の持続可能都市・官民連携推進係が担当しています。官民連携を活用した資金調達と、ふるさと納税を捉えているようです。 税収確保のための「防衛戦」? 最先端の研究機関が並ぶ街で、つくば市はなぜ純金小判を返礼品にする必要があるのでしょうか? それは、つくば市が県内でも数少ない地方交付税不交付団体だからだと思います。 つくば市民が他自治体に寄付して流出した住民税(2024年度は約28億円)に対し、国からの穴埋めは1円もありません。これに対し、交付団体である水戸市は、流出額の75%が翌年度以降の交付税で補填(ほてん)されます。つまり、つくば市にとって、ふるさと納税は税収確保のための「防衛戦」なのです。 その防衛戦のためには、一度の寄付額が大きい高付加価値商品をそろえることが合理的―という判断が、純金小判なのではないかと思います。しかし、この防衛戦のコストは軽くありません。寄付額の半分は、返礼品代、ポータルサイトへの手数料、職員人件費などに充当されますから、「毎年10億円ずつ税収が増えている」(2024年10月23日掲載のNEWSつくば記事)とはいえ、「非常にもったいない」と思います。 カタログから他県の特産品を選び、「等価交換」で得をした気分になる一方、その代償として削られているのは、自分が踏みしめる道路の補修費であり、子供たちが通う学校の設備費なのかもしれません。私たちが手にする肉や魚や米は、本来受けるべき公共サービスと引き換えに差し出されたいびつな「等価交換」の結果なのです。 「受益と負担」という地方自治の原則を根底から揺さぶるこの制度について、私たちは一度立ち止まって、そのあり方を考えるべきでしょう。(元水戸市みとの魅力発信課長)