土浦市在住の写真家、オダギ秀さんが中心になって土浦写真家協会を立ち上げてから1年3カ月。先日、その会報「土浦写真家協会だより」第2号、「第17回土浦の写真コンテスト」募集チラシ、「オダギ秀写真展 旅の途中・2022秋」案内はがきが、一緒に送られてきた。そこで、土浦市観光協会主催の写真コンテストで審査員をしているオダギさんに、市の写真展のこと、写真家協会の現況、自分の写真展のことを聞いた。
写真コンテストはA4でもOK
「土浦で感動を撮ろう!!」と呼び掛ける写真コンテストの後援者には、土浦市、市教育委員会、土浦商工会議所、JA水郷つくばなどが名を連ねているが、今回から写真家協会も後援者に加わった。募集期間は24日~11月23日。審査を経て、土浦まちかど蔵「野村」(来年1月29日~3月3日)と小町の館(3月4日~3月31日)で展示される。
第1回からオダギさんは審査員を務めている。ほかのメンバーは、商工会議所副会頭、JA水郷つくば理事、市産業経済部長といった顔ぶれで、写真のプロはオダギさん1人。「コンテストの趣旨を踏まえ、土浦の魅力をPRできるものを選びたい。同時に、写真としての良さもポイントになる」と、審査基準を語る。
17回展の要項で新しくなったのは、家庭用プリンターで印刷できる「A4判(210ミリ✕297ミリ)」での応募も可能になったこと。従来は「ワイド4切(366ミリ✕254ミリ)」といった写真の規格が応募条件になっていた。「まちの写真屋が減り、写真のプリントを頼めるところが少なくなっている。スマホで撮る人にも参加しやすいように、一般的なA4サイズでも受け付けることにした」という。
「10年前を撮った写真展」?
本サイトの記事「土浦写真家協会が発足…」(2021年7月4日掲載)にもあるように、オダギさんは写真家協会の事業として、「市などが主催する写真展の後援」のほか、「街なかで開ける小規模な写真展」や「昔の写真の保存(アーカイブ)」などを計画している。
「写真展はまだ実現していないが、『たった10年前のことを撮った写真展』といった企画を議論している。10年後の写真展に向け、日常の生活風景などを、今、撮っておこうというものだ」「アーカイブの方は範囲が広く、苦労している。災害とか催事の写真は残っているが、ごく日常のものは意外と少ない。学校の制服とか、新聞配達のバイクとか…。50~100年先を考えると、そういった民俗資料的な写真を保存したい」

まだまだ続く「旅の途中」展
個人展「旅の途中・2022秋」は、11月20~27日、つくば市高野台のカフェギャラリー・ロダンで開く。「これまで、石仏の写真は古民家の文庫蔵ギャラリーで、日常を切り取った写真はカフェギャラリーで、展示してきた。ところが、好きだった文庫蔵が使えなくなってしまった。これからは、カフェの方でまとめて展示する」
「ボクの人生=旅の途中で、いろいろなシーンを見てきた。これからも、年1回のペースで『旅の途中』展を開いていきたい」
【おだぎ・しゅう】本名は小田木秀一。土浦一高、早大政経各卒。写真家。技術に裏付けられた写真に定評があり、県内写真界の指導的立場。専門はコマーシャルフォト全般およびエディトリアル。日本写真家協会(JPS)、日本広告写真家協会(APA)各会員。土浦写真家協会会長。1944年、水戸市生まれ。土浦市在住。
【インタビュー・後記】オダギさんは中高の2年先輩。中学の文化祭に出展された墓石群のモノクロ写真は今でも覚えている。放送部では米国の原爆実験を扱った番組を製作。バックに使ったムソルグスキーの「禿(はげ)山の一夜」は効果的だった。写真も音楽も表現のセンスはそのころから。(経済ジャーナリスト・坂本栄)