新型コロナウイルスの水際対策が大幅に緩和され、全国旅行支援がスタートするなど今後の観光需要回復が見込まれる中、筑波観光鉄道(つくば市筑波、三輪武士社長)は運営する筑波山ケーブルカーで、車内にアートフラワーをあしらい、声優・俳優が物語を朗読するイベント列車「ストーリーテラー’s レールウェイ 8分間の朗読ばら列車」を10月中旬から運行する。併せて同社初となる、筑波山周辺に伝わる民話や名所をモチーフにしたオリジナルの期間限定切符を販売する。
12日に開かれたメディア向け内覧会で、同社の三輪社長は企画について「新型コロナ感染拡大の影響で、観光業は苦しい状況にあった。その中で、筑波山、茨城県の魅力を発信すべく企画した」と語った。
開業97年目を迎える筑波山ケーブルカーは、筑波山神社付近の宮脇駅と筑波山頂駅間の全長1630mを、「もみじ号」「わかば号」と名付けられた2種類の車両が結んでいる。今回の企画では、通常「もみじ号」として運行する赤色の車両を朗読列車として使用する。
車内は県花のバラを基調としたアートフラワーが天井を覆う。声優、俳優が実際に乗車し、片道約8分の運行時間、つくば・茨城の民話や、民話をモチーフとしたオリジナル作品など3つの物語の中から、1話ずつ朗読する。声優らには、劇団ひまわり、賢プロダクションなどで活動する現役の若手が起用される。
担当者は企画の意図について「これまで筑波山を行楽に選んでこなかった方にも楽しんでもらいたい」と話し、「読書の秋を観光に結びつけようと考えた。声優や俳優といった、これまでの民話のイメージとは異なる人から物語を聞くことで、女性や若い人にも届くイベントにしたい」と意気込みを語った。
内覧会のあいさつに立ったつくば市の飯野哲雄副市長は「つくば市として、観光案内所をリニューアルするなど筑波山の魅力向上に努めてきた。秋の観光シーズン。このタイミングの企画に併せてたくさんの方に来てもらいたい」と期待を込めた。(柴田大輔)
◆オリジナル限定切符の販売は10月13日から11月10日まで。朗読列車はその期間中の土日祝日、午前11時台から午後2時台に出発する便で運行される。運賃は大人片道590円、往復1070円、小児片道300円、往復540円、障害者は半額。問い合わせは電話029-866-0611(筑波山ケーブルカー宮脇駅)、詳しくは同ホームページへ。