火曜日, 1月 20, 2026
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つくばの公共空間の在り方を問う 芸術系学生ら企画のパフォーマンスアート展

筑波大学で芸術を学ぶ学生らが企画し主催するパフォーマンスアート展「わたしより大きなりんかくがみえる」が8日開幕した。公共空間と芸術の関係について考える-を目的にしている。大学の卒業生ら現代美術の若手アーティスト5人がセンター広場や駅周辺のペデストリアンデッキなどに、つくばをテーマにした作品を上演、展示している。会期は10日まで。

10日までセンター地区で

筑波大学の卒業生で都内在住のアーティスト、速水一樹さんは、チョークの粉でまっすぐなラインを引く工具画線器を用い、ノバホール前のつくばセンター広場に蛍光グリーンの直線を引くパフォーマンスを行った。速水さんによると、つくば市は厳格な都市計画のもとに作られ道路が升目状になっているが、景観を変えるためところどころ斜め45度に敷かれた道があり、そのために交通事故が多かったり、道に迷ったりすることがあるという。

パフォーマンスでは、ある意味つくばの「弊害」ともいえる部分に焦点を当て、ペデストリアンデッキの軸に対し、45度の線を引き続けるという計画を試みた。「設計者の意図と実際に人が住み、街が使われてきて出てきた状況にギャップがある。計画は100パーセントうまくいくものではないということ。生活の中で偶発的に起こる事象に興味がある」と話す。

都内在住のアーティスト加藤真史さんは、つくば市内周辺を歩いて見た自然や建物の様子を色鉛筆で描いた絵画と過去作品のコラージュをセンタービル1階co-en(コーエン)イベントスペースに展示した。加藤さんは「郊外」のモチーフを歩いて採取し、色鉛筆で描く手法で制作している。「一歩一歩歩くことと、鉛筆で描くことは痕跡を残す意味で共通する行為。つくばは60年代、70年代にあったそれまでの土地を都市開発で作り替えたいわゆる『古いニュータウン』。様々な建築様式を模したシミュラークル(模倣)な空間を自然が覆いつくし始めていて、自然が建築を食っているところがある」。加藤さんの作品は16日まで展示される。

co-enイベントスペースに絵画を展示する加藤真史さん

行政の「待った」に切り返す

光岡幸一さんも同じく都内在住のアーティスト。スマートフォンアプリを使ったAR(拡張現実) 技術を用いて、つくばセンター広場のくぼ地に言葉を浮かべるアートを展示している。当初、高所作業車から手書きの言葉を書いた布を垂らして出現させるパフォーマンスの計画していた。しかし、垂れ幕と手書きの文字が政治的な活動を想起させるとして行政側からの許可が下りず断念。筑波大学の学生と協力し、AR技術を用いての新しい表現を模索し、今回の展示に至った。

公共の場でありながら自由に使うことができないということについて、「トップダウン型で都市開発されたつくば市で公共のもつれが起こっている。(センタービルは)磯崎新さんの建築で核となる場所。ここでの活動が行政にとっては政治的デモ活動に見えるということが、開発都市の緊張を可視化させているとも言える」と解釈する。今回の展示では制約がありながらも技術で切り抜け、新しい挑戦ができたという。

栃木県宇都宮市から訪れたという飯田公一さん(56)は「(参加アーティストの一人である)トモトシさんのファンでこのイベントを知り見にきた。普通は美術館などを借りて展示を行うが、このイベントは街全体が展示会場になっていておもしろい。地方と芸術のかかわりも最近注目されており、(このようなイベントは)県外の人の方が気になっているのでは」と話した。

企画への思いを語るHAM代表の阿部七海さん(左)、ARを使った作品について説明する光岡幸一さん

パフォーマンスアート展は学生らの企画団体「HAM(平砂アートムーヴメント)」が主催。発足は2019年。現代美術を実践する場所としてのつくばを発見し、活用することを目的としているという。現在は卒業生2人を含む11人が活動している。

団体代表で筑波大学大学院の阿部七海さん(博士前期課程2年)は、「スケートボード禁止」という看板がペデストリアンデッキのいたるところにあることに着目し、禁止を作り出している構造について考えたいという思いから同展を企画したと話す。参加アーティストは阿部さんが依頼し集まった。「秋のつくばは天候もよいので、特徴的なペデストリアンデッキを歩いてアートを鑑賞し、自分の街について考える時間にしてほしい」と呼びかけた。(田中めぐみ)

◆「わたしより大きなりんかくがみえる」展 9日、10日は正午から午後5時まで。つくばセンター広場(つくば市吾妻)2階のインフォメーションセンターで会場マップを配布している。詳しくは「HAM(平砂アートムーヴメント)」ホームページ

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