ぼうこうがんや加齢などによる尿漏れで吸水パットを使用する男性の精神的負担を減らそう、と土浦市はこのほど、市役所本庁舎(同市大和町)など市内12施設の男子トイレの個室41カ所に衛生用品を捨てるごみ箱「サニタリーボックス」を設置した。
吸水パットなどを使用する男性は、外出先で持ち帰らざるを得なかった。同市は、だれもが生活しやすい地域づくりを進めようと設置を開始した。男子トイレに設置する動きは全国で広がっている。
設置されたのは、土浦市役所本庁舎のほか、公民館、老人福祉センター、保健センターなど。トイレの入り口と個室のドアには「サニタリーボックスを設置しています」などと書かれた貼り紙が貼られている。
設置されたサニタリーボックスはステンレス製で、直径20.5センチ、高さ29センチ、容量は5リットルある。ペダル式なので、ふたを開けるときに手が汚れない。
市健康増進課によると、市民から「土浦市は男性トイレにサニタリーボックスを設置しないのか」と問い合わせがあったことがきっかけ。担当者が調べたところ、尿漏れパッドを使用する男性が外出先で捨てる場所に困り、持ち帰っていることがわかった。
尿漏れに悩む男性は高齢者だけでなく、働き盛りの男性にもいる。ぼうこうがんや前立腺がんの手術をした人の中には、尿意が感じられなかったり排せつがコントロールできなかったりして尿漏れパッドが手放せなくなるケースも多く、外出が精神的な負担になっている人もいるという。
同市は「誰もがトイレを快適に使えるように」と設置を決めた。設置については、市のホームページやSNSで周知する。今後の利用状況によっては、設置場所を増やす予定だという。(伊藤悦子)
サニタリーボックスが設置された土浦市の施設は次の通り。
▽市本庁舎来庁者用トイレ:13カ所
▽市保健センター(下高津):6カ所
▽老人福祉センター「つわぶき」(中都町):3カ所
▽老人福祉センター「湖畔荘」(手野町):3カ所
▽一中地区公民館(大手町):2カ所
▽二中地区公民館(木田余):2カ所
▽三中地区公民館(中村南):2カ所
▽四中地区公民館(国分町):2カ所
▽上大津公民館(手野町):2カ所
▽六中地区公民館(烏山):2カ所
▽都和地区公民館(並木):2カ所
▽新治地区公民館(藤沢):2カ所