水曜日, 8月 10, 2022
ホーム コラム 「マイナポイント」のこと 《ひょうたんの眼》51

「マイナポイント」のこと 《ひょうたんの眼》51

【コラム・高橋恵一】マイナンバーカードを取得すると、2万円相当の「ポイント」が付与されるので、早く取得するようにと政府は躍起になっている。取得率の高い市町村には、地方交付税を増額するという。商品やサービスの販売促進のために、ポイント付与がまん延しているが、「おまけ商法」の色彩が濃くなってきているのではないか。

つまり、必要の無いものをおまけで釣って、売りつける商法であり、景品表示法で規制されている取引である。意地悪く言えば、価値のないもの、粗悪なサービスを、景品(ポイント)で目くらましをして、販売していることになる。

前にこのコラムで、高田保の「ブラリひょうたん」に出て来る「奈良の旅館・日吉館」の紹介をしたことがある。多くの古美術研究者が贔屓(ひいき)にしている旅館に、学生たちが「米」だけは背負って来たから安く泊めてくれと言ったら、宿の主人は「50円でよろしい。その代わり、他の客より1時間早起きをして、できるだけ沢山観て廻(まわ)りなさい」と応じたという話だ。

戦後の間もない時期だが、大赤字に違いない。古都の奈良美術を誇りとしている宿屋の気概が見えて、いかにも小気味よい。現代のポイント付与もこうあってほしい。

しょせん、IT関連業界の「もうけ」話?

マイナポイントは、国の重点政策遂行のための手段だろうが、現金に代わる「おまけ」で釣り、市町村を叱咤(しった)してまで推進する「マイナンバーカード」の取得は、古都奈良の美術ほどに貴重な制度で、美術学生に役立つほどに国民生活が便利になるのだろうか? そう国民に理解されているのだろうか?

今日も、政府(デジタル庁、総務省、厚生労働省)が新聞全面広告で、2万円分のマイナポイントがもらえるから、9月末までに申請するようにPRしている。しかし、マイナンバー制度の内容も、国民の具体的メリットも、政府のメリットも書かれてはいない。マイナンバーカードの具体的な取り扱い方もわからない。

常時携帯しなくてはいけないのか? 反対に、紛失したり、悪用されたりしないために、金庫などに保管しておかなくてはならないのか? オレオレ詐欺にあったらどうするのか?至近の報道では、「旧統一教会」が信者の資産状況を事細かに調べ上げているそうだが、個人情報が大量に流出してしまうことは無いのか? 中国では、同様の国のデータから10億人分が流出し、取り引きされているという話もあるが、大丈夫なのか?

先の全国民への10万円給付の際、マイナンバーカードで申請すれば、早くもらえるという触れ込みだったが、マイナンバーと住民基本台帳がリンクされておらず、世帯員の扱いが手作業になってしまって、紙申請より給付が遅れてしまった。要するに、システムの準備が出来ていないのだ。大丈夫なのか?

マイナンバー制度に限らず、日本のデジタル化、IT化は、世界に後れを取っているといわれるが、大きな要因に、国の制度、政府の所管するシステムなのに、制度設計から維持管理まで、外部委託してしまっているからではないのか? しょせん、IT関連業界の「もうけ」になってしまうのではないか?

このような、国の中枢を担う制度の設計と管理は、政府が自ら責任を持って、細部まで練り上げることが必須だ。(地図好きの土浦人)

1コメント

誹謗中傷するコメントはNEWSつくば編集局が削除します。
1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る

陽性確認者数(公表日ベース)の推移

つくば市

土浦市

スポンサー

注目の記事

最近のコメント

最新記事

つくば市から3人目のロータリー茨城代表、大野さん【キーパーソン】

茨城県にはロータリークラブ(RC)が55ある。つくば学園RCの大野治夫さんが、これらクラブを代表するガバナーに就任した。任期は7月から来年6月までの1年間。つくば市東光台で不動産管理業を営む大野さんはRC歴18年。業務区と住宅区から成る開発地域・東光台(合併前の豊里町と谷田部町の一部)の土地持ちでもある。ガバナーとしてやりたいこと、つくばの最新土地事情について聞いた。 つくば学園RC会員、目標100人超え RCは地域の名士が参加する奉仕組織だが、週1回の例会を通じ、会員たちが親睦を図り、いろいろな情報を交換する場でもある。つくば学園RCの会員は現在89人。土浦市では最多の土浦南RC(85人)を上回り、つくば・土浦地区では一番の会員数になった。大野さんによると、来年6月までに100人超えを目指す。 つくば学園RCがガバナーを送り出すのは、約20年前の吉岡昭文さん(筑波山神社前の旅館「江戸屋」現会長)、約10年前の野堀喜作さん(東光台の不動産管理会社「ツクバ企画」現会長)に次いで、3人目になる。 10月末、つくば市内で茨城大会開催

シンプル イズ ベスト? 《続・平熱日記》115

【コラム・斉藤裕之】わけあってこの猛暑の中、アトリエの大掃除をすることになった。学生時代からの習作や、いつか出番があるだろうと思って集めたガラクタなどを思い切って処分することにした。市の焼却場に軽トラで何度か往復して、捨てるに忍びないものは知り合いの骨董(こっとう)店にトラックで持っていってもらった。 ちょうどこの7月でこの家に住み始めて20年になる。20年間、家族の足の裏でこすられた1階の杉の床は、夏目と呼ばれる年輪の柔らかいところが削られて冬目の硬いところだけが残って、凸凹になっていて妙に足触りが心地よい。夏涼しく冬暖かいとても住みよい家だと思うのだが、それには少しコツがあって、戸の開け閉めやエアコンの入れ方、ストーブのことなど、大げさに言えば家の中の環境への理解と手間が必要なのである。 2人の娘も家を出てこの家には帰って来るまい。だから将来は人に貸すなり売るなりしなければと思うのだが、少し変わった家なので、この際「斉藤邸取説」でも、を書き残しておこうか。 さて20年分のホコリを払って、広々としたアトリエの床に布団を敷いて寝てみることにした。見上げると、20年前に故郷山口で弟が刻んだ梁(はり)や柱がたくましく見える。昔ながらの複雑な継手も、20年の間にやっとしっかりと組み合わさって落ち着いたように見える。特に2階の柱を支えくれている地松(じまつ)の梁は、自然な曲線が力強くカッコいい。 それから、2階の床になっている踏み天井。こちらは200枚だか300枚だか忘れてしまったが、ホームセンターで買ってきたツーバイ材全てに、「やといざね」といういわば連結するための溝を電動工具で彫ったことを今でも思い出す。酷使した右手は、朝起きると硬直して箸も握れなかったっけ。 「いい景色だなあ。木の色がきれいだなあ。このぐらいの広さの住まいがちょうどいいのかもなあ」。20年目にして改めて見入ってしまった。

言葉の壁を越え患者と医師の信頼関係築く つくばの医療通訳士 松永悠さん【ひと】

つくば市で暮らす外国人は、2022年度の統計で137カ国9457人。医療機関を受診する外国人患者も増えているが、病名や器官の名称などの専門用語が飛び交う診察で、患者が内容を理解するのは難しい。タブレット端末による通訳サービスを導入する病院もあるが、個別の質問や細かいニュアンスの伝達に対応するのは依然として困難だという。市内の病院を中心に、中国語の医療通訳士として働いている松永悠さん(48)は、30代後半から医療通訳の世界に飛び込み、やりがいを見出している。 一人の女性患者との出会い 松永さんは1974年生まれ、中国北京市の出身。松永さんが医療通訳のボランティアを始めた38歳の時、最初に担当したのは、同じ30代の末期がんの女性患者だった。中国の地方出身者で、お見合いで国際結婚して日本の農家に嫁いだが、がんを原因に離婚を切り出され、日本語も分からず頼る人がいない状況だった。 女性の境遇に衝撃を受け、「同じ女性、自分の力で助けられるのなら」と感情移入してしまったそう。女性も辛い闘病の中、「お姉さん、お姉さん」と松永さんを慕った。この女性との出会いから苦しんでいる在日中国人がいることを知り、興味で始めた医療通訳の仕事に使命感を持つようになった。 医療通訳士は国家資格ではない。医療通訳として働くには、民間が主催する養成講座を受講し、選考試験に合格後、ボランティアや医療通訳の派遣会社に登録して依頼を待つ。養成講座では通訳の技術のほか、守秘義務などの倫理規定、医療専門用語などを学ぶ。医師の説明に通訳者が勝手に補足することはしてはならず、治療法について患者が本当に理解しているかの確認をその都度行っていく。患者は文化や宗教、思想、持っている在留資格などの社会的背景が個々で異なり、その理解と医療機関への仲介の役割も医療通訳士に求められる。重い病気を抱える人への告知の場に立ち会うこともあり、精神的な重圧も大きいという。

「真実が知りたい!」 赤木雅子さんが水戸で訴え 《邑から日本を見る》117

【コラム・先﨑千尋】森友学園問題に関する公文書改ざんを強いられ、それを苦に自死した元財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さんの妻、雅子さんらの講演会が7月30日、水戸駅前の駿優教育会館で開かれた。この講演会は、旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃、現日本原子力研究開発機構)の元職員6人が同機構に損害賠償を求めている訴訟で、原告を支援する団体が主催したもの。 雅子さんは、夫が自死した真相解明を求めて、国と、改ざんを指示したとされる元財務省理財局長の佐川宣寿氏を訴えてきた。この日は、雅子さんの裁判などを支援してきているジャーナリストで元NHK記者の相澤冬樹さんと対話する形で、別室からのオンラインで登壇した。私はそれを会場で聞いた。 雅子さんが起こした2つの裁判のうち、国は、昨年12月に雅子さんの賠償請求を全面的に認める「認諾」の手続を取り、改ざんが行われた経過などは不明のまま、いわば「肩透かし」の手法で国に対する請求を終結させた。残る佐川氏への訴訟は、氏への尋問は行わずに7月27日に大阪地裁で結審し、11月25日に判決が下される。 雅子さんはこの日、佐川氏に2度手紙を書いたが返事はなく、法廷にも姿を見せなかったことを非難し、「私は、夫がなぜ改ざんさせられたのかを知りたいから裁判を起こした。法廷で佐川さんにそのことを証言してもらいたかった。しかし佐川さんは姿を見せなかった。あまりにも悔しい。夫は日頃、公務員は権力を握っている人のためにではなく、国民のために仕事をするのだと言っていた。佐川さんは誇りを持って仕事をしてきたのか。佐川さんが本当のことをしゃべらない限り、私は幸せになれない」と怒りをあらわにした。 国、無慈悲、無機質な組織 この雅子さんの話を聞いて、相澤さんは「佐川さんはこの事件に関わったので、もうエラくなれない。ホントのことを話した方が、気持ちが楽になれるはずだ。ホントのことを話せない佐川さんはかわいそう。哀れだ」と語った。