土曜日, 4月 25, 2026
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つくば市長の宿痾 総合運動公園問題 《吾妻カガミ》137

【コラム・坂本栄】元研究者たちによる五十嵐つくば市長リコール署名運動(7月11日~8月10日)が進行中です。解任の理由は多岐にわたりますが、一番は「議会の議決を取らず公有地を売り払うような市長は辞めさせよ」ということです。このコラムでも何度か、総合運動公園用地売却の手順のおかしさを取り上げてきました。この際、改めて整理しておきます。

リコール運動は「変節」市長への怒り

135「運動公園用地売却…の不思議」(6月20日付)では、▽前市長がUR都市整備から用地を買ったとき、名義上の取得者は市土地開発公社だった ▽しかし、借金した用地代金の返済について、議会から「市が債務を保証する」旨の議決を得ている ▽借金の元利返済も、その予算について議会の承認を得ている ▽それなのに、売るときには議会の議決は要らないという理屈は何か変だ―と指摘しました。

129「公有地売却…『逃げ』の…市長」(3月21日付)では、「市が行ったパブリックコメント(意見募集)では、(コメントを寄せた)77人のうち売却に賛成は2人、残りは反対か対案提示か分類不可でした。2択方式(賛成か反対)で分けると、賛成はたった3パーセントです」と書きました。

125「公有地売却…市の牽強付会」(1月31日付)では、「少ないサンプルで市民の声を計るのは正しくありません。そこで提案です。市民の声を聴くため、市長発意による住民投票(総合運動公園の是非で実施)か、サンプル数が多い無作為抽出調査(土浦市との合併の是非で実施)をやったらどうでしょうか?」と提案しました。

前市長が執行部主導であったことを批判、その否定の上に発足した五十嵐市政のセールスポイントは、議会にきちんと相談する、市民の声をきちんと把握する―でした。ところが、上記3つのパラグラフで引用したように、自ら定めた市政運営の基本を捨て去り、議会と市民の意見を聴かずに市政を進めるようになりました。リコール運動はこういった「変節」に対する怒りではないでしょうか。

議会や市民を軽視し、公有地を売却

五十嵐市長にとって、運動公園問題は「1丁目1番地」のテーマです。最初の選挙で掲げた目玉公約は「総合運動公園問題の完全解決」でした。具体的には、選挙前の住民運動で破棄に追い込んだ運動公園計画の用地をURに返還する、同計画にも入っていた陸上競技場を市内のどこかに整備する―この2つです。

しかし、用地返還は失敗に終わり、跡地をどう処分するかが市政の懸案になりました。そこで捻出されたのが、一部を防災用に借り上げる条件で一括売却する処分策です。なぜ防災施設なのか分かりませんが、一括売却色を薄めたかったのでしょう。市長としては、運動公園問題という宿痾(しゅくあ=長期間にわたって解決できない困難)から、何が何でも逃げたかったようです。

ところが処分を焦るあまり、(議会と市民の声が大事という)民主主義の基本中の基本を軽んじ、市政運営の「金看板」を自ら降ろすという過ちを犯しました。

五十嵐さんは最初の選挙で、運動公園用地売買契約書に「URは市の返還要求を拒める」旨の条項があるのに、目玉公約に「用地返還」を掲げました。つまり、返還が事実上無理であるのに、よく調べないで主要公約に仕立てました。この「フェイク(虚偽)公約」が災いとなり、この6年間、運動公園問題を抱えて迷走。今度はリコール運動を呼び込むに至りました。(経済ジャーナリスト)

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開催に向けつくばのチームが尽力 知的障害のある人によるバスケットボール大会「スマイルカップ イン つくば(SMILE CUP IN TSUKUBA)」(主催・茨城パラスポーツ協会)が5月6日、つくば市竹園のつくばカピオで開かれる。県内では初の試みとなる大会で、つくばを拠点に活動する県内唯一の知的障害者バスケットボールクラブチーム「スマイル」が開催に向けて尽力した。スマイル代表の福原美紀さん(54)は「知的障害があってもバスケを楽しめる。それを多くの人に知ってもらいたい」と思いを込める。 競技は一般のバスケットボールと同ルールで行われる。国内では1999年に日本FIDバスケットボール連盟が発足し、全国大会「FIDジャパン・チャンピオンシップバスケットボール大会」を主催するなど普及が進められてきた。2025年の第28回大会には全国から男女計36チームが参加した。国際大会には日本代表も出場し、2015年のエクアドル大会では男子が5位、女子が銀メダルを獲得している。一方で、2000年シドニーパラリンピック以降、同競技はパラリンピック種目から外れている。 県内唯一のクラブチーム 福原さんが活動基盤とする「スマイル」は、2011年に発足し今年で16年目を迎える。自身も障害のある子を持つ親として「子どもたちが仲間と笑顔になれる場所をつくりたい。障害があってもやりたいことを諦めないでほしい」という思いで立ち上げたチームだ。 現在は小学生から20代中後半まで約30人が所属し、全国大会を目指す「スマイル強化チーム」と、障害の程度に関わらず参加できる「スマイル育成チーム」の2部制をとる。練習は、つくば市内の体育館で週に2回から3回行われ、つくばを中心に、土浦や常総、水戸、日立など県内各地から「バスケがしたい」という思いでつながる選手が集まっている。 大会開催の背景には、県内の競技環境の課題がある。現在、県内には知的障害者のバスケットボールのクラブチームが「スマイル」しかなく、選手たちは広範囲から通っている。他県では複数チームが存在し地域ごとに大会も開かれているが、県内では「チームを選ぶことすらできない状況」が続いている。 「まずは競技の存在を知ってもらい、チームを増やしたい」。福原さんはこうした思いから昨年6月、茨城FIDバスケットボール連盟を設立。大会開催はその第一歩となる。 大会は、神奈川、千葉、栃木から各県の強豪チームが参加する「チャンピオンシップ部門」と、競技経験の浅い選手たちによる「フレンドリーシップ部門」が行われる。フレンドリーシップ部門には、市内の福祉団体にも呼び掛けて編成した「入門チーム」が参加し、厳密なルールにとらわれず、全員がボールに触れシュートできるようにするなど配慮する。「まずはバスケットの楽しさを知ってほしい」と福原さんは話す。 楽しむ姿を見てほしい 福原さんは「障害があるからできないと諦めてしまう人が多いが、楽しむことはできる。大会を通してその姿を見てもらいたい」と語る。さらに「障害が重かったりルールが分からなかったりして最初から無理だと思われがちだが、バスケは誰でも楽しめるもの。それを子どもたちだけでなく、親や周囲の大人たちにも知ってもらい、その先に各地でチームが生まれ、選手自身が選べる環境につながってほしい」と期待を込める。 監督を務めるつくば市在住の遠藤裕さん(42)は、「県内で開かれる初めての大会であり、チーム名を冠した大会でもあるので優勝したい気持ちは強い。大会を通じてチームとしてもう一段階成長できれば」と話す。 キャプテンで水戸市在住の會澤心さん(24)は「チームメートはこれまでの大会経験で成長してきた。みんな自由だが、やる時はやる。若さと走力を生かして、強いチームにも勝ちたい」と意気込みを語った。(柴田大輔) ◆知的障害者バスケ大会「スマイルカップ イン つくば」は、5月6日(水)午前9時45分から、つくば市竹園1丁目10-1、つくばカピオ・アリーナで開催。入場無料。問い合わせは、茨城パラスポーツ協会に電話(090-2554-1301/090-8963-9296)またはメール(ibaraki.fid@gmail.com)にて。詳しくは大会ホームページへ。