月曜日, 2月 2, 2026
ホーム土浦病院はそろそろ建て替え? 霞ケ浦医療センターの鈴木さん【キーパーソン】

病院はそろそろ建て替え? 霞ケ浦医療センターの鈴木さん【キーパーソン】

土浦市の高台、下高津にある霞ケ浦医療センターは築53年になる。10数年前、勤務医が激減、それに伴い利用者が減り、廃院を取り沙汰されたこともあった。しかし、行政や大学を巻き込んだ病院改革が進み、医師の数は元に戻り、利用者も増えている。鈴木祥司院長に、どんな方法で危機を脱したのか?建て替えプランは?などについて聞いた。

霞ケ浦医療センターは「霞ケ浦海軍病院」に始まり、戦後まもなく「国立霞ケ浦病院」として出発。土浦市や近隣の人たちから「コクリツ」と呼ばれ、県南地域の医療を担ってきた。そして2004年に独立行政法人となり、「国立病院機構霞ケ浦医療センター」という長~い名の病院として再出発した。

存亡の危機→土浦市と筑波大の支援で再生

「存亡の危機に陥った」のは、「(国の)臨床研修制度の変更」(2004年)が主因。大学病院自体の研修医が減ったことから、それまで大学の病院から国立病院に派遣されていた医師が引き揚げられ、「50人近くいた医師が18人、内科はたった1人」に激減。総合病院の体を成さない、ほぼ産婦人科だけの病院となった。運営上は2008~2010年ごろが一番大変だったそうだ。

ここで土浦市が動く。2011年に市代表、県代表、機構代表、筑波大学代表などから成る「将来構想委員会」が発足。翌12年、「(当時の)中川市長と市議会の英断で」実現した寄付講座がテコとなり、病院内に「筑波大学付属病院・土浦市地域臨床教育ステーション」を設置。大学病院から教官3人が派遣され、筑波大の地域拠点病院になるとともに、地域医療の教育機関としての役割を担うこととなった。

現在、筑波大からの教官派遣は5人に増え、県内8カ所の地域臨床教育センター(当初の「ステーション」を改称)の1つとして、診療・教育・研究を行っている。これに伴い、筑波大から次々と医師が集まり、医師数は48人(2022年現在、筑波大出身がほとんど)に戻った。一時は減少した病院利用者も増え、「ずっと赤字だった収支は2017年から黒字となった」

建て替え、病院機構本部の優先順位は高い

黒字化に伴い、古くなった病院の建て替えも検討されたという。ところが、国の診療報酬引き下げにより、全国140病院を統括する病院機構本部の「経営」が悪化。赤字に転落したことから、全国すべての国立病院で、新規の病院建て替えなどの大型設備投資が凍結された。この投資ストップは今も続いている。

病院にとって大事なのは、患者を診る職員と医療機器であり、入れ物(建物)ではない。しかし、新しい建物は職員の志気を高め、利用者の病院への信頼も高める。鈴木さんは「建て替えには、機構本部の収支好転が必要。そして地域の信頼が最も大事。当センターは古いこともあり、建て替えの優先順位は高い」と読んでいる。

当面は、コロナ禍の経験も踏まえ、感染症対応など外来機能を強化する施設の改修を急ぐ。加えて、古くなった病棟(現在250病床)の改修に向け、約12万平方メートルの病院敷地の一部を老人介護施設などに貸し、その賃料を病院経営に回すことも検討している。

【すずき・しょうじ】1990年秋田大学医学部卒。同年、筑波大学臨床医学系内科・循環器内科レジデント。民間病院を経て、2000年国立循環器病センター・心臓血管内科スタッフ。2005年米シーダーズ・サイナイ メディカルセンター(加州)リサーチフェロー。2007年茨城県立病院・循環器内科部長。2011年霞ケ浦医療センター副院長。2013年から院長。ほかに、筑波大臨床教授、茨城県医師会副会長、日本循環器学会専門医など。千葉県生まれ、58歳。つくば市在住。

【インタビュー後記】霞ケ浦医療センターは、土浦市・筑波大と連携し、医師の教育・研究を支援しながら、地域医療を担う「市民病院」となった。鈴木さんは、病院医療、在宅医療、老人介護をつなげ、「土浦を医療・福祉のモデル地域に」と語る。行政と大学のコラボによる再生物語は新築病院で完結するわけでなく、その先も続く。(経済ジャーナリスト・坂本栄)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

14 コメント

14 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

掛け声は「福は外」 土浦 瀧泉寺で七福神らが豆まき

開山620年 本堂に場所移し 節分を前に、土浦市中心市街地にある瀧泉寺(りゅうせんじ、中央2丁目)で1日、節分会追儺式七福神豆まきが行われた。毎年2月3日に近くの中城不動院(中央1丁目)を会場に豆まきを行っているが、今年は開山620年祭として本堂境内へ場所を移した。掛け声は「福は外」で、これは「お寺には鬼はおらず、お寺の福を皆さんにお分けする」という意味だそうだ。 「当寺が620年間も時代を乗り越えて続いてこられたのは、支えてくださった檀家さんらいろんな方々のおかげ。お礼の意味で皆さんに福をお授けしようと、例年より内容もさらに盛大に開催した」と住職の齊藤純英さん。 午後3時から節分会追儺式の法要が行われた後、いよいよ年男らが本堂前の特設舞台に登場。安藤真理子市長や下村壽郎市議らによる七福神のほか、乙姫に扮した高橋直子県議と、市非公認キャラクターのキララちゃんも加えた九福神が、集まった善男善女に向けて福豆や紅白のもち、菓子、おひねりなどを投じた。 参加者の一人、阿見町から来た佐藤しをりさん(45)は「例年の不動院の豆まきもこじんまりとして楽しいが、ここでは広々とできてよかった」と感想。授かった福餅は来年受験を控える娘のために持ち帰り、家できなこ餅にして食べるそうだ。ほかにも伊東大翔ちゃん(5)は「いっぱい拾えて楽しかった」、梶原杏那さん(7)は「ちょっと怖かったけど楽しかった」などと話していた。 かつて土浦城の祈願寺 瀧泉寺は同寺は土浦市街部の中では最古級の寺の一つ。1406(応永13)年の開山で、大岩田法泉寺の興誉上人が開いた。法泉寺は当時、小田領4カ寺の一つとして隆盛を誇った。 最初に瀧泉寺があった場所は勝軍木(ぬるで)郭(旧鷹匠町、現中央2丁目)といい、亀城タクシーの裏手のあたりだったらしい。1605(慶長10)年あるいは1619(元和5)年に、土浦藩主により現在地(筑波銀行本店裏)へ移された。寺嶋誠斎「土浦史備考」は元和5年説で罹災が原因という。 1691(元禄4)年に時の藩主・土屋政直が同寺を土浦城の祈願寺と定め、以降は年2回、城内の守護繁栄と歴代城主の供養のため、住職が登城して護摩祈祷をするなど深く関わった。本尊は十一面観音菩薩坐像で市指定文化財、頭部は南北朝~室町初期の作とされる。本堂前にある樹高9メートルのクロガネモチも市指定名木に指定されている。(池田充雄)

孤独は病か?それとも恋の予兆か?《看取り医者は見た!》49

【コラム・平野国美】今回は前回コラム(48 定年後の「孤独」は病気ですか?)の続きです。さて、さまよえる孤独な訪問医師、私の居場所はどこかにあるのでしょうか? 私が見つけた「令和の楽園」 そこで思い出したのが、昔、一度だけ訪れたことがある入浴施設付きのアスレチックジムでした。バブル期のころ、雨後のタケノコのように出現した「アスレチックジム」。かつては、若者が汗を流し、肉体を誇示する場所でした。しかし、久しぶりに足を踏み入れたそこは、「定年後の楽園」と化し、70代以上の高齢者の「たまり場」となっていました。 面白いのは、スポーツジムというだけでなく、世代による「すみ分け」です。24時間使える最新施設では、若い人たちが耳にイヤホンをつけ、黙々とトレーニングに励んでいます。そこには、他者との関わりを遮断した「個」の空間があります。格安の女性専用ジムでは、隣の人との会話を楽しみながらマシンを動かしています。 一方、この老舗ジムはどうでしょう。トレーニング後に井戸端会議を楽しみ、お風呂場からはにぎやかな笑い声が聞こえてきます。みなさん「家の風呂はほとんど使っていない」と言います。彼らにとって、ここはスポーツをするだけの場所ではありません。自分たちの大切な居場所「大事なコミュニティ」なのです。 こうした「すみ分け」は、利用者の思いが反映したものなのか、施設側の経営戦略なのか―私は両方だと思います。人は、本能的に居心地のよい場所を探しているのです。 薬ではなく「つながり」を処方 この「楽園」には驚くべき生命力があふれています。 私の住む地域の老舗ジムでは、なんと! 80代カップルが誕生するまでに至ったというのです。これこそ、私が提言したい「社会的処方」の究極の姿ではないでしょうか。人が社会と他者とつながること。これが高度な医療よりも、強く、長く、人の命を輝かせるのです。最新の認知症薬を試すよりも、よほど魂が動き出すかもしれません。 「いい年をして」と、顔をしかめられる方もいるでしょう。しかし、人の価値観はそれぞれです。日本人の寿命が延びたのは事実ですが、患者さんと対話していて感じるのは、誰もが生活に満足しているわけではないという現実です。寿命だけではなく、生活の質(QOL)を上げなくてはなりません。 「孤独」は、確かに恐ろしい病の入り口かもしれません。しかし、一歩外へ踏み出し、自分たちの手で作り上げた「楽園」に身を投じる勇気さえあれば、人生の第2幕は80代からでも最高潮を迎えられるでしょう。かつてテニスクラブを失い、心細さに震えた61歳の医師は今、ジムの喧騒(けんそう)の中に、新しい希望の形を見ています。 さて、私もそろそろ、お風呂上がりの談笑の輪に加わってみようかと思います。(訪問診療医師)

大幅薄型化、装着時間10秒 新型の作業用アシストスーツ発売 サイバーダイン

身体機能をサポートする装着型サイボーグHAL(ハル)を世界で初めて開発し、販売する筑波大発ベンチャー「サイバーダイン」(つくば市学園南、社長・山海嘉之筑波大教授)は、労働作業などの負担を軽減する腰部装着タイプ新型モデル「LB06」の販売を2日から開始する。 従来モデルから大幅に薄型化し、10秒で装着できるように改良した。救急救命活動をはじめ、空港、工場、物流倉庫、建設、農業の現場など、重量物の持ち上げや運搬など身体に大きな負担がかかる現場での利用を想定している。 背面をスリム化 HALは、人間の皮膚につけたセンサーによって動きたいという意思の電気信号を読み取り、内蔵コンピューターが解析し補助モーターを作動させることで、人の動きを助ける。新型モデルは、これまで同社が展開してきたHALの腰部装着タイプ「LB03」の後継にあたる。 最大の特徴は本体背面のスリム化で、従来比約65%の薄型化を実現した。これにより、装着したままでフォークリフトや作業車両の乗り降り、運転時の後方確認、狭い場所での作業などが格段に行いやすくなった。従来モデルでも車両操作は可能だったが、利用者から寄せられた「背中の出っ張りが気になる」といった現場の声を反映し改良につなげたという。 装着性も向上している。腹部と脚部のベルトを固定するだけのシンプルな構造で、装着時間は約10秒。救急救命の現場でも必要時に即座に使用できる。重さは約2.7キロと、従来モデルより約400グラム軽量化された。実際の数値以上に「軽く感じる」という。バッテリー性能も強化された。連続稼働時間は従来の約4.5時間から約10時間へと倍以上に延びた。1日の作業を十分にカバーできることから、現場での使い勝手が向上している。 機能面では、持ち上げ動作や中腰姿勢の保持に加え、脚を大きく開いた開脚姿勢やガニ股での持ち上げ作業にも対応できるようになり、アシストできる作業の幅が広がった。また同社のバイタルセンサーとの連携も可能で、心活動、体表面温度、被服内湿度、加速度などのデータを取得し、作業者の体調変化や転倒などの異常を検知できる。救急救命分野では、救急救命士自身の体調管理とともに、患者の健康状態を数値化し、データを搬送前から医療機関と共有することも想定する。 製品は、販売またはレンタルを行う。価格は非公開で、導入企業ごとに見積もり、対応する。レンタルを主体とする背景には、平和利用を前提とした同社の企業方針や、独自技術の管理を重視する目的がある。 パワーとスムーズな動きの両立に注力 サイバーダイン新規事業開発部の中澤泰士さんは「今回のモデルチェンジでは、パワーとスムーズな動きを両立させることに力を注いだ。スリムになったからいろいろできることが増えたという声が届いている」とし「人とAIロボットや情報などを融合する『サイバニクス技術』によって、深刻化する人手不足や超高齢化社会といった社会課題の解決を目指し、単なる作業負担軽減にとどまらず、働く人が健康で、安心して働き続けられる環境を実現したい」と話す。(柴田大輔)

新図書館を検討、陸上競技場着工 つくば市26年度当初予算案

過去2番目の規模 つくば市の五十嵐立青市長は30日、2026年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比3.6%減の1227億1000万円、特別会計などを合わせた総額は同1.2%減の1910億3200円で、25年度当初に次いで過去2番目の規模となる。解散総選挙で国の予算は年度内成立が難しい情勢だが、成立を見込んで予算編成した。 主な新規事業として、現行の中央図書館の面積や所蔵資料が自治体規模に見合ってないことから、複合機能をもつ新図書館の整備検討を開始する。26年度は市民ワークショップ開催と新図書館建設基本構想策定委員会設置などに570万円を計上する▽ほかに、ボルダリング、スケートボード、ダンスなどができるアーバンスポーツ施設を整備するための設計費を250万円計上する。 継続事業としては▽上郷高校跡地に計画されている陸上競技場は26年度分として工事費など16億8500万円を計上し、建設工事に着工する。完成は28年度末の予定だ▽廃校となった旧田水山小学校に整備中の芸術文化創造拠点は、工事2年目の26年度分として6億8400万円を計上する。本オープンは27年4月の予定▽つくば駅前の中央公園はリニューアルに向け2300万円を計上し、基本・実施設計を実施する。27年度以降、工事着工する予定だ▽筑波山麓の池田地区に計画している道の駅は290万円を計上し、整備検討委員会の開催などをする。 学校施設では▽児童数増加に伴って香取台小に3階建ての校舎を増築する。増築工事費として26年度に7億2400万円を計上、2カ年で工事を行い、完成は28年4月の予定だ▽吾妻小は老朽化と児童数増に対応するため、現在のグラウンドに4階建ての校舎と体育館を新築し、整備後、既存の校舎と体育館をすべて解体し、グラウンドを整備する。26年度は設計費など1億3400万円を計上。27~29年度の3カ年で建設工事を実施し、30年4月の完成を目指す。30~31年度にさらに解体とグラウンド整備を実施する予定だ▽谷田部小も老朽化と児童数増に対応するため、校舎建て替えのほか、学校体育館と周辺公共施設との複合化を検討する。26年度は基本構想策定などに2200万円を計上する。校舎などの建て替え工事は29~31年度の予定で、32年4月の完成を目指す。 ほかに県内初の新規事業として▽市役所の窓口業務にデジタル庁が推進する「自治体窓口DX SaaS」を構築する(2600万円)。「書かないワンストップ窓口」といわれるシステムで、職員による聞き取りやマイナンバーカードの読み取りにより、申請書の手書きが不要になるという▽来日間もない小中学生を対象に、2カ月間程度、日本語の基礎の学習支援を行う「プレスクール・プレクラス」(2300万円)も県内で初めて開設する。日本語の指導が必要な児童生徒は市内に330人程度おり、そのうち10人程度の利用を想定している▽中高生を対象に、さまざまな活動を支援したり居場所として利用できる「ユースセンター」も県内で初めて開設する(130万円)。 そのほか▽児童発達支援センター整備事業(6億3400万円)では、市役所春日庁舎を改築し、発達に課題のある子どもと保護者への包括的な支援活動の中核施設にする。今年度内に整備工事を終えて、来年4月に開設する▽部活動改革・地域展開推進事業(1億円)は教員の負担軽減を目的に、来年9月までに民間企業や地域団体と連携し部活指導員を確保する。 助成制度としては、新規事業として▽大学受験料・模擬試験料補助金を創設し、ひとり親家庭や低所得子育て世帯の高3の大学受験に対し1人当たり上限5万3000円、模試受験に対し上限8000円、中3の模試受験に対して上限6000円を支援する(128万円)。▽がん治療で外見の悩みを抱えている人の負担を軽減するため、がん患者アピアランスケア支援助成金を創設し、ウィッグや乳房補正具などの購入・レンタル費用の一部を助成する(200万円)。▽不妊治療費助成では、1件当たり4万円を上限に、保険適用外となる不妊治療費用の一部を助成する(1440万円)など。 市税収入は過去最大 一方歳入は、個人・法人市民税などの市税収入は前年度当初比4.5%増の593億3100万円で、過去最大を見込む。市は人口増や賃金上昇によるものと説明する。昨年12月末に廃止されたガソリン税暫定税率については、減収分と同額の3600万円が国から地方特例交付金として補てんされるため「影響はない」とした。