つくば市が始発・終点になっているTX(つくばエクスプレス)を土浦市まで延ばしてもらおう、と「TX土浦延伸を実現する会」(会長・安藤真理子土浦市長)の決起集会が12日午後、クラフトシビックホール土浦(市民会館)で開かれた。集会には、経済団体関係者、国会議員、県会議員、市会議員のほか、市民約600人が参加。土浦市内でのTX―常磐線接続の実現に向け、盛り上がった。
TXの県内延伸については、茨城県がすでに4案を示し、今年度中に1つに絞り込む方向で調査を開始している。2月に県が公表した延伸先案は、①筑波山(つくば市)、②水戸市、③茨城空港(小美玉市)、④土浦市―の4方向。
これを受け、延伸先への経路がかかる市や町の誘致運動が活発化、③を実現させたい石岡市は「TX石岡延伸推進協議会」を5月17日に立ち上げた。水戸市、かすみがうら市、小美玉市、茨城町も5月23日、②③の実現を目指し、「TX水戸・茨城空港延伸促進協議会」(石岡市も重複参加)を立ち上げた。いずれも、土浦市の「実現する会」同様、市長・町長、地元経済関係者、国会議員、県会議員、市・町会議員が名を連ねている。
土浦の「実現する会」は、4月5日に幹事会が立ち上がり、4月12日と5月11日に実行委員会を開いてきたが、他の2団体の活動に負けまいと署名運動を繰り広げながら、12日の大集会にこぎつけた。
延伸経費:国が3分の1、残りは県と自治体
安藤市長はあいさつの中で「以前から『つくばでストップってどうして』と思っていた。県内の活性化のためにも、土浦延伸を実現させたい」「茨城空港に結ぶ形で地域活性化につながればよい」と述べ、土浦市内で常磐線に交差させ、茨城空港に延ばす構想を提案した。
国光文乃衆院議員(茨城6区・小選挙区)は「延伸には数千億円かかるだろう。そのうち国が全体の3分の1を負担する。残りは県と地元自治体が負担しなければならないが、(TXが通過している)東京都、埼玉県、千葉県にも負担してもらう」と延伸経費やその分担に踏み込んだ。
青山大和衆院議員(茨城6区・比例)は「常磐線は東京駅乗り入れで便利になった。まさにTX延伸も同じこと。今、TXの会社は8両化を進めているが、それが完了したら、次は県内延伸だ」とスケジュールに踏み込んだ。
「県都と学園都市がつながるメリットは大」
決起大会の前に、TXに関する著作もある塚本一也県会議員(つくば市区)が「つくばエクスプレス県内延伸の考え方」の演題で基調講演を行い、県内延伸の視点を提供した。
この中で、「何のために延伸するのか、茨城県のメリットは何か、土浦延伸で県にどう貢献できるか―考える必要がある」とし、国の支援を得るには「それによって茨城県が持つ財産を最大限生かす視点が必要だ」と述べ、具体的には茨城空港を挙げた。
また、延伸によって県都と学園都市がつながること、水戸が東京通勤圏に組み込まれることのメリットを強調。さらに、常磐線とTXが県内でつながれば、①どちらかに事故があった場合に振替輸送が可能になる、②相互乗り入れにより利用者の利便性がアップする―と述べた。(岩田大志)