火曜日, 12月 9, 2025
ホームつくば県に協議の場設置を要望 つくばの住民ら 洞峰公園再整備めぐり

県に協議の場設置を要望 つくばの住民ら 洞峰公園再整備めぐり

2100人の署名添え

つくば市にある県営の都市公園、洞峰公園(同市二の宮、約20ヘクタール)を、県が民間事業者に委託してリニューアルする計画(洞峰公園整備運営事業)を立てている問題で、公園周辺に住む住民らでつくる市民団体「地域参加型の洞峰公園整備計画を求める会」(木下潔代表)が13日、2109人分の署名を添えて、公園管理者と利用者などとの協議の場となる「協議会」の設置を求める要望書を、大井川和彦知事宛てに提出した。

「協議会」は、公園管理者と地域の関係者が必要な協議を行うための組織で、都市公園法で「公園管理者は、都市公園の利用者の利便の向上を図るために必要な協議を行うための協議会を組織することができる」(17条の2)と位置付けられている。国交省の同法運用指針では「公園管理者と地域の関係者が密に情報交換を行い、協議しながら、公園に応じた活性化方策や利用ルールについて取り決め、実行していくことが望ましい」とされている。

木下さん(61)は、公園整備の詳細が開示されず、公園利用者、地域住民の間に懸念や不安が生じているとし、公園利用者や地域住民、近隣の団体や学校関係者のほか、景観保全や生物多様性保全の有識者などを交えた協議会を設置してほしいとしている。

「求める会」は洞峰公園周辺の住民5人による会で、3月27日、パークPFI(公園設置管理制度)の新たな事業者に選定された「洞峰わくわく創造グループ」(代表法人・長大)が公園管理棟ロビーで開いたオープンハウス型説明会に参加して出会い、会をつくったという。

会では4月7日、知事に対して、説明会開催を求める要望書を出した。県から回答がないことから、4月29日から協議会設置を求める署名活動を開始した。

13日に提出した署名は5月8日までの第一次締め切り分で、口コミなどにより10日間で2109人分が集まった。「子育て中のママやシルバーのネットーワークなど、公園の近くに住む方々から(署名活動が)始まった。大型連休で帰省中だったと思われる他県に住む人からの署名も集まり、関心の高さを実感した」と木下さん。31日まで引き続き署名を集める。

木下さんはさらに「2000年につくばに来た。なんて美しい街なんだろうというのが最初の印象。今のこの環境を50年後まで維持したい。それが活動の原点。(求める会のスタンスは)これ(この施設)がいいとか、これが反対ではなくて、(計画を)正確に知って、一緒に議論していきたい」と話した。

一方、県の整備計画に対しては、地元の五十嵐立青つくば市長が3月と4月に、自身のSNSや記者会見でグランピング施設とバーベキュー施設に懸念を表明した。五十嵐市長は5月13日開かれた定例記者会見で改めて「駐車場の改善以外は、市として大きな課題があると認識していることに変わりはない」とする一方、「まず利用者の声を聞くということで(県と)合意したので(県と市は)同じ方向を向いていると認識している」とし、「利用者へのアンケートや説明会など、そういったものを調整しながら県と市が共同で実施する形のものになればいい」「まず利用者の声を(県と市が)互いに聞いて、分析して、方向性を見出していきたい」などと話した。

これに対し、洞峰公園の再整備を担当する県都市整備課は「(再整備については)広く意見を聞き、調整しながら進めていく。内容、手法についてはつくば市と調整し、準備している。(協議会設置の可否については)関係者と調整して判断することになるので、すぐ返事は難しい」とし、今後のスケジュールについては全く未定だとしている。(花島実枝子)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

9 コメント

9 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

6年ぶりに常陸大宮で農村歌舞伎《邑から日本を見る》189

【コラム・先﨑千尋】少し古い話題だが、常陸大宮市で10月25日に行われた「西塩子(にししおご)の回り舞台」を紹介する。 西塩子地区は常陸大宮市にある山間部の小さな里山集落で、戸数は50戸ほど。戸数は減り、高齢化も進む。ここで、江戸時代から地域の娯楽として農閑期の田んぼなどで農村歌舞伎が演じられ、住民らに親しまれてきた。しかし1945年を最後に行われなくなり、道具類は地域の倉などに納められていた。 1991年、当時の大宮町歴史民俗資料館の石井聖子さんらが調査に入り、同地区の組立式舞台が江戸時代後期の文政年間のものと判明した。現存する日本最古の組立式農村歌舞伎舞台で、回り舞台もある本格的な舞台だ。現在は県の有形民俗文化財に指定されている。 舞台は公演後には解体されてしまう。94年に回り舞台保存会が結成された。97年に隣県の歌舞伎伝承者らに指導を仰ぎながら、半世紀ぶりに公演を復活させ、原則3年おきに公演が行われてきた。これまで、定期公演の他に「ふるさと歌舞伎フェスティバル」など多くの催しに出演し、「サントリー地域文化賞」などを受賞している。 前回の公演は2019年。その後、新型コロナウイルスの拡大が活動を直撃した。さらに保存会メンバーの高齢化による担い手不足や資金集めなど課題が重くのしかかり、延期が続いた。 伝統の灯は消えなかった しかし、地域文化の伝統の灯は消えなかった。「ふるさとの伝統文化をなんとか残さなくては」と、有志の市民や茨城大学の学生らでつくるNPO法人が支援の輪を広げ、6年ぶりの公演再開が決まった。昨年10月には再開を支援するためのシンポジウムも開かれた。クラウドファンディングも実施された。 真竹や木材約500本で組み立てられる舞台は、間口、奥行き20メートル、高さ7メートルで、壮麗なアーチ型が大きな特徴。地元の竹林から竹を切り出し、屋根は「いぼ結び」という独特の結び方を駆使して作られる。今回は、高齢化や人手不足により、建設業者やとび職人の手を借りて約1カ月かけて作られた。学生たちも竹の伐り出しや桟敷席の設営などの手伝いをした。 そうして迎えた公演当日。あいにくの小雨模様だったが、客席は満員。午前10時半から子ども歌舞伎を地元の大宮北小の3~4年生が、常磐津「子宝三番叟」と「白波五人男」の稲瀬川勢揃いの場面を演じた。午後は、友好関係にある栃木県那須烏山市の山あげ保存会芸能部会が歌舞伎舞踊「蛇姫様」を演じ、続いて、市内の常磐津伝承教室で小学生が学んだ常磐津「将門」を披露した。 トリを務めたのは、西塩子地区の若手住民と大宮北小の児童らでつくる地芝居一座「西若座」で、「太功記十段目 尼ヶ崎閑居の場」を演じた。観客から拍手や喝さいが沸き起こり、「おひねり」も飛びかった。 保存会の大貫孝夫会長は「高齢化が進み、復活へなかなかやる気が起きてこなかったが、多くの方々に後押しされ、歩み出せた。地域の宝を残すために今後も続けていきたい」と話している。この取り組みはNHKテレビの「小さな旅」でも、11月30日に「常陸大宮市〝西塩子の回り舞台〞復活に向け奮闘する人々の物語」として全国放映された。(元瓜連町長)

つくばサンガイア 東京Vにストレート勝ち

バレーボールVリーグ男子のつくばユナイテッドSunGAIA(略称サンガイア、本拠地つくば市)は6日、つくば市流星台の桜総合体育館で東京ヴェルディ(本拠地東京都稲城市)と対戦し、セットカウント3-0で勝利した。これでサンガイアは5勝2敗で東地区3位。7日も午後2時から同会場で東京Vと再戦する。 2025-26 Vリーグ男子(東地区)レギュラーシーズン(12月6日、桜総合体育館)サンガイア 3-0 東京V25-1625-2225-16 サンガイアは持ち前の高いブロックや強いサーブ、バランスの良い配球などで序盤から順調に加点。「自分たちの良いところを出せ、安心して見ていられた」と加藤俊介監督。唯一、第2セット終盤には相手の猛追を許したが、これはチームの若さが課題として出たという。「勢いに乗ったときは手がつけられないほど躍動するが、逆に小さなきっかけから流れを失うこともある。今日は連続失点でも崩れず我慢できたことが収穫」と加藤監督。タイムアウトを使い「相手を意識するのではなく自分たちの攻撃をしっかりやろう」と声を掛けたそうだ。 特に第3セットでは、村松匠や武藤茂らによるパイプ(ミドルブロッカーをおとりにしたバックアタック)が猛威を振るった。この日の決定率では65.2%を挙げ、いままで積極的に取り組んでいたこの技が、チームの武器になり始めていることが見てとれた。「チームとして意図的にバックを使おうとしており、今日は相手ブロックがミドルを厚くケアしていたので、特にパイプが効果的だった。上位チームと当たるときはもっと真ん中の攻撃を通せるよう、さらに攻撃力や効果力を上げていきたい」とセッターの浅野翼。前節の長野戦ではゲームプランの崩れを修正できず、自身も途中でベンチに下がるという悔しい思いをしただけに、今日はその思いを晴らそうと強気のトスワークが光った。 インフルエンザで不調があった梅本鈴太郎は、この試合では立ち上がりを支えた後、第1セット半ばで榮温輝に席を譲った。榮は今季初出場で「チームのシステムにしっかり入ろうと緊張したが、点を決めたらみんなが喜んでくれて楽しくできた」との感想。相手の動きを読んだ思い切りのよいブロックを得意とし、コースを突く変化の大きなサーブも持ち味の一つだ。「梅本、松林哲平、榮とタイプの異なる3人のミドルブロッカーがいるので、その日のコンディションや相手によって使い分け、攻撃の幅を広げることができる」と加藤監督。 翌日の再戦については武藤主将が「今日はコンビネーションの精度などに課題があったが、それをさらに詰め、自分たちの求めるバレーに積極的にチャレンジし、明日もストレートで勝ちたい」と意欲を見せた。(池田充雄)

進化するクリスマスツリーと変わらないもの《ことばのおはなし》88

【コラム・山口絹記】こどもが11月のうちにクリスマスツリーを飾らねばならないと言い出した。日曜の夕方から設置が始まったのだが、私は夕方から寝落ちしていたため、起きたらイルミネーション含め飾り付けが完了していた。 クリスマスツリーと言っても、ツリーが描かれた大きな壁紙である。つくばに引っ越してきた10年前の冬は、140センチほどのよくあるツリーを飾っていたのだが、抜け毛?抜け葉?いや落葉か?に毎年悩まされて、仕方なく捨てたのだ。 4半世紀以上前の実家に飾ってあったツリーも同じような症状に悩まされていたので、このあたりは進歩がないのだろうと思ったのだが、ネットで検索すると「葉が落ちないクリスマスツリー」なるものがいろいろ販売されている。どうやら人類共通の悩みであったらしい。 とは言え、こどもに加えて観葉植物や昆虫(カブトムシの幼虫)が増えて手狭な部屋にツリーを置くのはなかなかにしんどいものがあるので、今年も我が家はツリーの壁紙だ。飾り付けるオーナメントは(落葉のある)ツリー時代からの使いまわしなのだが、コイツはコイツでキラキラのラメが落ちる。 こどもはオーナメントをいじりたがるので、年末は家の中のそこかしこがどことなくキラキラするのだが、これはもう諦めねばなるまい。 そろそろ丸鶏の予約の時期 そう言えば、私が小さい頃、クリスマスツリーのてっぺんに飾る星が欲しいと父にねだって作ってもらったことがあった。毎年、その星の飾りをクリスマスツリーのてっぺんに差し込むのが楽しみだったのだ。 年賀状も卒業してしまったし、来年はお節も注文してしまおうか、などと話しているのだが、結局、それらは喜ぶ人が減ってきたからなのだろうと思う。楽しみにしている人がいるものまで削減していく必要はない。 クリスマスケーキの注文は済んだし、そろそろ丸鶏の予約の時期だ。こういうのはベタでいいのだ。(言語研究者)

日本人はロボットとの親和性が高い?《看取り医者は見た!》47

【コラム・平野国美】前回、介護ロボットへの私の懐疑的な視点と、友人が自作の「鉄腕アトム」に心を奪われたという対照的な出来事を紹介しました。この現象の背景を探る鍵は、業界紙が報じたドイツ有識者のインタビュー記事に見出せます。 その記事には、ドイツの専門家アルムート・ザトラパ・シル博士による次のような警鐘が記されています。「ロボットがケアについて自律的に判断してしまうと、人間をサポートするどころか、支配してしまうことになりかねません。『人間とは何か』という根本的な問題にも関わってくるでしょう」 この言葉は、私がデモで見た無機質なロボットから感じた「痛々しさ」の正体を的確に示しています。欧米では、ロボットはあくまで人間の作業を代替する「便利な道具」として捉えられており、それゆえに道具が人間を支配することへの警戒心が強いのだと理解できます。 しかし、友人がアトムに感じた「胸がキュンとなった」という、道具に対するものとは思えない感情は、この文脈だけでは説明がつきません。長い時間をかけて完成させたアトムは、スイッチを入れた友人に「やっと、会えたね」と語りかけました。この一言が、友人にとってアトムが単なる「道具」ではなく、幼い頃から物語を共有し、自らの手で組み立てた「魂のこもった存在」であったことを物語っています。 ここに、日本独自のロボット観が隠されていると考えられます。欧米の映画でロボットが悪の兵器として描かれがちなのに対し、日本では『鉄腕アトム』や『鉄人28号』のように、正義の味方、時には人間以上に豊かな感情を持つ存在として描かれてきました。戦後の日本人は、こうしたロボット観に深く親しんできたのです。 これは、業界紙の記事で指摘された「日本人はロボットへの親和性が高い」ことの一つの大きな理由でしょう。さらに驚くべきは、人間同士や人とペットとの絆を深めるホルモン「オキシトシン」が、人間とロボットとの関係においても分泌されることが確認されたという研究です。 道具も含め万物への畏敬の念 私たちが無意識のうちにロボットに「心」や「物語」を求め、そこに絆を見出す。この「心を通わせる」分野こそ、日本人が最も得意とするところかもしれません。 その根底には、日本人の独特の宗教観、すなわちアニミズムがあるのではないかと私は考えるのです。このアニミズムとは、自然や道具を含むあらゆるものに魂や霊が宿るという世界観です。具体的には、山、川、木、風など、数多くの自然や現象に神が宿る「八百万(やおよろず)の神」の考え方が神道の基盤となり、動植物だけでなく道具にまで万物への畏敬の念が深く根付いています。 現代において、この感覚は失われたように見えても、私たちの意識のどこかに今も残っています。それが、単なる道具ではないロボットとの強い親和性を生み出す源泉となっているのかもしれません。最近では、この癒し系ロボットと過ごされる方も出現してきました。(訪問診療医師)