サーフィンやスノーボードがオリンピックの正式競技に採用され、今年はスケートボードなどの国際大会「Xゲームス」が日本で開催されるなど、いわゆる「横乗り系」のスポーツが盛り上がりを見せている。その中で注目されるのが「フリースケート」だ。土浦市都和の中学1年、丸山美伶寧さん(12)も世界を目指す期待の選手の一人という。
丸山さんと祖父の平昌幸さん(51)がフリースケートに出合ったのは2020年5月。「知人の子が遊んでいるのを見て、不思議なものに乗っているなと思い、その場で借りてみたら面白かった。いままで体験したことのない感覚で、自分もやってみたいと思った」と平さん。スノーボードやスケートボードの経験もあったが、より楽しさを感じたそうだ。

丸山さんの印象は「難しそうだけど楽しそう。最初は乗れなかったけどすぐ慣れて、その日のうちに乗れるようになり、自分に自信が持てた感じがした」という。今では足を交差する「クロス」や、足を乗り換える「チェンジ」、片足で乗る「ワンフッター」などの難しいトリック(技)も自由自在。女性では世界トップレベルの選手しかできない「ポップドロップ」もこなす。夢は「大きい大会に出て、将来はフリースケートの先生になること」だそうだ。
平さんは「2人で一緒に始めて、自分は普通に滑れる程度だが、孫はずっと先へ行ってしまった。世界一への期待もあるが、一番は楽しんでフリースケートをやってほしい」と目を細める。

フリースケートは2003年、米国サンフランシスコ発祥の新しいスポーツ。競技としては、平地での技を競う「スケートゲーム」、ハーフパイプを使う「ランプ」、ジャンプ台やレールなどを使う「ストリート」の3部門がある。世界大会も存在するが、コロナ禍により2019年の中国・武漢大会を最後に休止されている。このときは7カ国から約500人が参加し、3部門全てで日本人選手が優勝するという快挙を遂げた。
丸山さんと祖父の平さんは、市内にある2つのフリースケート専用パーク「JMKパーク」と「64パーク」にほぼ毎日、練習に通っている。

2つの専用パークは、同市小松の嶋田巨樹さん(49)が運営する。嶋田さんは世界的なフリースケート用具メーカー「JMKRIDE(ジェイエムケイライド)」の代表を務める。
フリースケートの魅力について嶋田さんは「インラインスケートのような疾走感と、スケートボードの多彩なトリックをミックスした、スケートスポーツの集大成」と話す。手のひらサイズの小さなデッキ(板)に片足ずつ乗せ、まずはデッキの上に立つのが一苦労。だが練習すれば誰でも乗れるようになる。その達成感が大きな魅力の一つだ。「初めて自転車に乗れたときのように、突然できるようになる。一人で始めようとすると1週間くらいかかることもあるので、あきらめないよう、サイトには学習用の動画を多数用意している」という。
地面を蹴らず、乗ったまま足でこいで加速できることもスケートボードとの大きな違い。平地なら時速30キロほどに達し、坂道も登れるので、海外では手軽な移動手段としても重宝されているという。
いまJMKRIDEのフリースケートは土浦市のふるさと納税返礼品に採用されている。市内や東京近郊などで毎週のように無料体験会や練習会が開かれ、イベントで体験したのをきっかけに、土浦市内の2つの専用パークに遊びに来るようになった子どもたちが増えているという。丸山さんと祖父の平さんもその一人だ。(池田充雄)

◆専用パークは▽JMKパーク=8メートル×28メートルの平らなコース。土浦市小松1-23、午前9時~午後8時▽64パーク=高さ6フィート(1.8メートル)と4フィート(1.2メートル)の2つのランプ(曲面)がある。土浦市小松1-16、午前9時~日没。大型連休の期間中は、これらのパークは毎日開放される予定。利用料は無料で、デッキを借りての無料体験もできる。利用申し込みは電話(070-5517-1826)かメール(info@jmkride.jp)で事前に連絡する。中学生以下は保護者の引率が必要。