24日は、つくば市天久保でSPRAさんが運営するクラブ「 OctBaSS(オクトベース)」と、隣接するレコード店「Good Near Recors(グッド・ニア・レコーズ)」がライブ会場となる。レコード店は、コロナ禍でクラブを閉めざるをえない事態の昨年11月に開業させた。「この状況でしか出来ないことをやろう」と思いをSNSで発信すると、共感する県内外の人から送られたレコードやCDが基になった。
繁華街は「夜の街」という言葉で一くくりにされ、感染拡大の責任を押しつけられてきた。クラブを営むSPRAさんも「真っ先に叩かれて、メンタル的にきつかった」と2020年を振り返る。その様子を間近で見てきた植田さんは、「コロナ禍で、どこも店閉めるっていう中で『レコ屋(レコード店)やる』って宣言して。マジで? ってなりますよね。でもあいつはそれを有言実行して。すごいですよ」と驚きを隠さない。

「胸に宿ったものは、極力生かして形にしなければいけないと思うんです。誤魔化さない。それが突破口になる」。それは植田さんが自身の経験で実感してきたこと。「コロナがあろうがなかろうが、もっとみんながやりたいことをやれる、一歩を踏み出せる環境を街につくりたい。『あ、やってもいいんだ』っていう雰囲気が街に生まれたらいいですよね」
24日のイベントには、そんな植田さんと思いを共にする人たちが参加する。メーンゲストの曽我部恵一さんは、東京・下北沢を拠点に活動する。ミュージシャンとしてだけでなく、自身で飲食店やレコード店を営み、街を作る一人として地域に根づく。他のゲストも、植田さんとつながる「文化を愛し、体現するひとたち」だ。
「街を耕す」
「街で暮らす多様な人同士が繋がって、自分たちで街を作っていくことが大切」だと植田さんは考える。「イベントもそう。時間がかかっても、できたものが多少歪んでも」
「人任せにしない。人任せにするから、流行っているものに飲み込まれてしまう。大げさじゃなくていい。散歩したいって思ったら散歩すればいい。会いたい人に会う。行きたい場所に行く。そういう小さな『意思』の発露を誰もができればいいと思うんですよね」

天久保には、「意志」を感じる個人店がいくつもあると植田さんは話す。そんな天久保の面白さを知るきっかけになればと、24日のイベントへの思いを語る。「『街を耕す』っていうんですかね。一朝一夕ではできない、30年、50年先を見据えて、年月の堆積のある街を作りたい。いきなり芽吹くとは思ってないです。でも、諦めずに続けていきたい」
「PEOPLE’S PARK」は24日午後4時からのスタート。再入場は自由。隣接する2つの会場を行き来しながら、天久保界隈を散策することもできる。会場では、つくば市の食堂「花」が食事を提供する。イベント会場では新型コロナ感染対策として、来場者のマスク着用、入場時の手の消毒、会場内での換気の徹底を行う。(柴田大輔)
◆イベント「PEOPLE’S PARK」 4月24日(日)午後4時からGood Near Records/Club OctBaSS/DISCOS(つくば市天久保1の5の4)。料金は3500円(税込み、オーダー別)