何ごとにもとらわれず自由に制作活動を行う現代美術家協会茨城支部(佐野幸子支部長)の「第38回茨城現展」が12日、県つくば美術館(同市吾妻)で開幕した。約40人の作家による絵画、デザイン、立体造形、工芸、写真など約150点が展示されている。
牛久市の佐々木元彦さんは造花や人形、写真を飾り木に模した立体造形「あすなろの樹」を作った。空間全体を作品として体験してもらうインスタレーションというジャンルの作品だという。「黒い雨と蝶々」は被爆地ヒロシマをテーマにした、手で触れて動かすこともできる体験型の作品だ。

佐野支部長はコロナ禍の心象を表した絵画「想・葛藤」と、見通しの立った明るい気持ちを表現した「華々・春」を描いた。「暗い混沌を吹き飛ばそうという気持ちや、明るい世界を見てみたいという気持ちを表現した」と話す。
牛久市の福田三恵子さんは、乗馬を通じて出会い駆け落ちした若い男女が都会で翻弄(ほんろう)される姿を描いた映画「その人は昔」から着想を得て、やさしいタッチで絵画「白馬のルンナ」を描いた。
中根和香子さんは、着物や着物の帯の布を素材にした色鮮やかなパッチワーク「輝」を緻密な構成で縫い上げている。

ほかに「光」をテーマにし出展者が自由に描いた絵画を一列に展示した共同作品や、馬蹄(ばてい)を使った立体造形、花器などの陶芸も展示されている。
土浦市在住の後明(ごみょう)廣志さん(73)は「水彩画をやっていて絵画に興味があって見に来た。自分は写実的な作風だが、幻想的な水彩画もあっておもしろいと思った。いろんな表現の仕方があると感じる」と感想を話していた。
佐野支部長は「何にもこだわらない現代美術で、いろいろな作品があるのでおもしろい。昨年はコロナ禍でやむを得ず入場制限をしたほど来場者が多い日もあった。お子さん連れが多く、子どもが見ても楽しいのでは」と来場を呼び掛ける。(田中めぐみ)
◆「茨城現展」は17日まで。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時まで)。入場無料。