水曜日, 1月 14, 2026
ホームつくば蔵元集まり地酒談義 「神郡塾」 筑波の米、水、土にこだわり

蔵元集まり地酒談義 「神郡塾」 筑波の米、水、土にこだわり

地域人材の育成を目指す「神郡(かんごおり)塾」(塾長・青谷洋治坂東太郎会長)の1月講座が16日、つくば市臼井の美六山荘で開かれた。「つくばの酒を知る」をテーマに、筑波山周辺の2つの酒造店代表とワイン向けブドウの栽培家がパネリストになって、素材や水、土壌にこだわりぬく地酒・地ワイン談義を飲酒抜きで繰り広げた。

地産地消のあるべき姿 浦里酒造店

浦里浩司さん(浦里酒造店)

浦里浩司さんは同市吉沼に1877年創業の浦里酒造店5代目蔵元、代表銘柄「霧筑波」で知られる。酒の仕込みが始まる11月から翌年4月まで、酒蔵に菌を持ち込まないよう、好物の「納豆絶ち」をして臨むという。

県酒造組合副会長を務める浦里さんは、県内の日本酒消費量に占める県内蔵元のシェアが合わせて16%程度しかないのを嘆く。そのなかで浦里酒造は地元、つくばはじめ県内出荷分が約95%になる販売戦略をとってきた。茨城県にゆかりの小川酵母にこだわったのが「霧筑波」だが、酒米は富山県の栽培農家と契約する「五百万石」だった。

地産地消のあるべき姿を「地元の米、材料で作る酒」に求め、原料米まで地元産を使おうと、3年前から地元農家と契約して特別純米「霧筑波 吉沼米」を作り上げた。「筑波米」の方が売り出しやすいという声もあったが、旧大穂地区の集落名、吉沼の名をあえて使った。「今季はいいコメが取れ、仕込みも順調で楽しみだったけど、落ち着きを見せていたコロナが新年に入って拡大の気配。消費の持ち直しまでまだまだがまんが続く」と語る。

ミネラル分豊富な筑波の水 稲葉酒造

稲葉伸子さん(稲葉酒造)

稲葉伸子さんは同市沼田に1867年創業の稲葉酒造6代目。2人姉妹の二女で、「子供のころから仕込みに来ていた杜氏(とうじ)の後を付いて、母も入ったことのない女人禁制の麹室(こうじむろ)にも出入りしていた」という。百貨店勤務を経て、1999年に後継に名乗りをあげ、女性杜氏として代表銘柄「男女川(みなのがわ)」を受け継いだ。

季節労働者の杜氏に頼らない常用雇用の社員による酒造り。麹室の微妙な温度管理などは夜間にも及び、「照明のない筑波山の満天の星空の下、酒蔵に通う」のが日常となって、純米大吟醸「すてら」を手掛けた。ステラは「星空」の意味だ。

百人一首に歌われた「筑波嶺(ね)の峰より落つる男女川」、筑波山の花こう岩質の土壌から流れ出る水は地元産の酒米「五百万石」と相性がいい。豊富なミネラル分がキリッと果実酒タイプの味わいをかもす。「辛口で冷やして飲むとおいしい」そう。山田錦を用いる「すてら」は若い人に好まれる味という。

ワイナリー開設目論む ビーズニーズヴィンヤーズ

今村ことよさん(ビーズニーズヴィンヤーズ)

今村ことよさんは大手製薬メーカーの研究職から転職して、40歳で同市臼井にビーズニーズヴィンヤーズを設立、2015年にブドウ栽培を始めた。製造は長野県内の醸造所に依頼してスタートした。初出荷は17年。製造は現在、牛久市内へ委託醸造に出向く格好になっている。Spiral(スパイラル)ブランドの白ワインなどがある。

今村さんが筑波山麓にブドウ畑を求めたのも、花こう岩質の土壌が決め手。ワインの場合「ほぼブドウの出来でワインの出来が決まってしまう」ため、土壌の良し悪しが気候と並んで重要になる。筑波山は硬い斑れい岩に被われた山頂部を除いて花こう岩が山体を作り、その崩れた土壌が山すそに水はけのいい豊かな農地を作る。

ヴィンヤーズはワイン専用のブドウ畑のことで、現在1.5ヘクタールほどの広さがある。夏の終わりから秋にかけボランティアがやってきて収穫を手伝ってくれるほかは、ほとんど1人でブドウ樹のせん定や草取りなど畑仕事をこなしている、今シーズンの収穫は約5トン。「気候のせいで黒ブドウ(赤ワインの原料になる)の収量が思わしくなかった。白ブドウ、黒ブドウを混ぜて5~6アイテムのワインを作るが、当初狙っていた範囲の味が出せるようになり、もう少し絞り込みたいと思っている」。ゆくゆくは製造から販売まで手掛ける自社ワイナリーの開設を目指している。(相澤冬樹)

◆神郡塾 リーダー育成、交流事業などを展開。今年10周年を迎える。講座は月例開催。次回は「会津の武士道」をテーマに2月13日午前9時から美六山荘(つくば市臼井20512-1)で開催予定。事務局電話0280-93-0180

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江戸時代後期につくばで活躍した発明家、飯塚伊賀七(いいづか・いがしち)が建てた「五角堂」のかやぶき屋根を修理する材料にしようと、ススキが自生する近隣の原っぱで12日、カヤ刈りイベントが開催され、地元の親子連れなど小学生から70代まで約70人が、刈り取ったススキを集めて束にするなどの作業を体験した。 伊賀七は当時の谷田部新町村の名主で、からくりの和時計、測量器具、地図、農業機械の自動脱穀機などを発明した。五角堂は伊賀七の生家に建てられた。何のために建てたのか分かってないが、床面が正五角形と当時は建築が難しく、独自の構造で建てられている。1958年に県指定史跡になり、89年に解体修理されたが、かやぶき屋根の傷みがひどくなり、五角堂を管理する同市が昨年、屋根の一部を修理した。残りの部分を、今回刈り取ったススキで修理する予定だ。 カヤ刈りイベントは、石岡市を拠点にかやぶき屋根の保存活動に取り組む市民団体「やさと茅葺き屋根保存会」(萩原寿盈会長)とつくば市教育委員会が共催した。場所はつくばエクスプレス(TX)みどりの駅近くの市立みどりの義務教育学校に隣接する未利用の原っぱの一部約200平方メートルで、市民ボランティアを募って実施した。 学校脇の原っぱにススキが茂っていることを知った市内に住む同保存会事務局の仲村健さん(44)が同校と市教委などに働き掛け、昨年、同保存会が同所でカヤ刈りを実施し、石岡市内のかやぶき屋根を修理する材料にした。その後、地元に住む谷田部地区活性化協議会の牧野秀宣会長(70)から「地元のカヤで五角堂を屋根を修理してはどうか」と提案があり、イベント開催に至ったという。 12日は午前中に同保存会が仮払い機でススキを刈り、午後に親子連れ約70人が刈り取られたススキを拾い集めて、ひもで縛り、束にした。2時間ほどの作業で121束が出来上がった。 刈り取ったカヤは、同保存会の会員が自宅の風通しのよい場所で保存する。さらにワークショップを開催し、屋根で作業しやすいようカヤの長さをそろえて束にする「かやごしらえ」を実施する予定だ。 母親と参加した近くに住む小学3年の戸田結斗さんは「学校でちらしをもらって参加した。カヤの束を積み上げた上に座って楽しかった」と話し、家族で参加した近くの会社員、藤尾友彦さん(42)は「毎日犬の散歩で通るところなので、普段できない経験をしたいと参加した」と語り、長女で小学3年の晴香さんは「ススキを束ねてぎゅっと結ぶのが難しかった」と話していた。 同保存会の仲村さんは「カヤ刈りを通して身近な歴史や文化を知り、それが現在や未来につながるものだということを感じてもらえたらうれしい」と話し、同活性化協議会の牧野会長は「地元のものを地元の材料で修理すると、親しみができる。小学生も参加し、自分たちが取り組んだもので修理できれば地元の歴史にもっと親しみがわくと思う。すごくありがたいし、子供たちがいっぱい参加してくれてよかった」と語っていた。 市文化財課によると、刈り取ったカヤは同保存会に約1年間保存してもらい、2027年度に五角堂の残りのかやぶき屋根の修理を実施する予定という。(鈴木宏子)