金曜日, 1月 23, 2026
ホームつくば蔵元集まり地酒談義 「神郡塾」 筑波の米、水、土にこだわり

蔵元集まり地酒談義 「神郡塾」 筑波の米、水、土にこだわり

地域人材の育成を目指す「神郡(かんごおり)塾」(塾長・青谷洋治坂東太郎会長)の1月講座が16日、つくば市臼井の美六山荘で開かれた。「つくばの酒を知る」をテーマに、筑波山周辺の2つの酒造店代表とワイン向けブドウの栽培家がパネリストになって、素材や水、土壌にこだわりぬく地酒・地ワイン談義を飲酒抜きで繰り広げた。

地産地消のあるべき姿 浦里酒造店

浦里浩司さん(浦里酒造店)

浦里浩司さんは同市吉沼に1877年創業の浦里酒造店5代目蔵元、代表銘柄「霧筑波」で知られる。酒の仕込みが始まる11月から翌年4月まで、酒蔵に菌を持ち込まないよう、好物の「納豆絶ち」をして臨むという。

県酒造組合副会長を務める浦里さんは、県内の日本酒消費量に占める県内蔵元のシェアが合わせて16%程度しかないのを嘆く。そのなかで浦里酒造は地元、つくばはじめ県内出荷分が約95%になる販売戦略をとってきた。茨城県にゆかりの小川酵母にこだわったのが「霧筑波」だが、酒米は富山県の栽培農家と契約する「五百万石」だった。

地産地消のあるべき姿を「地元の米、材料で作る酒」に求め、原料米まで地元産を使おうと、3年前から地元農家と契約して特別純米「霧筑波 吉沼米」を作り上げた。「筑波米」の方が売り出しやすいという声もあったが、旧大穂地区の集落名、吉沼の名をあえて使った。「今季はいいコメが取れ、仕込みも順調で楽しみだったけど、落ち着きを見せていたコロナが新年に入って拡大の気配。消費の持ち直しまでまだまだがまんが続く」と語る。

ミネラル分豊富な筑波の水 稲葉酒造

稲葉伸子さん(稲葉酒造)

稲葉伸子さんは同市沼田に1867年創業の稲葉酒造6代目。2人姉妹の二女で、「子供のころから仕込みに来ていた杜氏(とうじ)の後を付いて、母も入ったことのない女人禁制の麹室(こうじむろ)にも出入りしていた」という。百貨店勤務を経て、1999年に後継に名乗りをあげ、女性杜氏として代表銘柄「男女川(みなのがわ)」を受け継いだ。

季節労働者の杜氏に頼らない常用雇用の社員による酒造り。麹室の微妙な温度管理などは夜間にも及び、「照明のない筑波山の満天の星空の下、酒蔵に通う」のが日常となって、純米大吟醸「すてら」を手掛けた。ステラは「星空」の意味だ。

百人一首に歌われた「筑波嶺(ね)の峰より落つる男女川」、筑波山の花こう岩質の土壌から流れ出る水は地元産の酒米「五百万石」と相性がいい。豊富なミネラル分がキリッと果実酒タイプの味わいをかもす。「辛口で冷やして飲むとおいしい」そう。山田錦を用いる「すてら」は若い人に好まれる味という。

ワイナリー開設目論む ビーズニーズヴィンヤーズ

今村ことよさん(ビーズニーズヴィンヤーズ)

今村ことよさんは大手製薬メーカーの研究職から転職して、40歳で同市臼井にビーズニーズヴィンヤーズを設立、2015年にブドウ栽培を始めた。製造は長野県内の醸造所に依頼してスタートした。初出荷は17年。製造は現在、牛久市内へ委託醸造に出向く格好になっている。Spiral(スパイラル)ブランドの白ワインなどがある。

今村さんが筑波山麓にブドウ畑を求めたのも、花こう岩質の土壌が決め手。ワインの場合「ほぼブドウの出来でワインの出来が決まってしまう」ため、土壌の良し悪しが気候と並んで重要になる。筑波山は硬い斑れい岩に被われた山頂部を除いて花こう岩が山体を作り、その崩れた土壌が山すそに水はけのいい豊かな農地を作る。

ヴィンヤーズはワイン専用のブドウ畑のことで、現在1.5ヘクタールほどの広さがある。夏の終わりから秋にかけボランティアがやってきて収穫を手伝ってくれるほかは、ほとんど1人でブドウ樹のせん定や草取りなど畑仕事をこなしている、今シーズンの収穫は約5トン。「気候のせいで黒ブドウ(赤ワインの原料になる)の収量が思わしくなかった。白ブドウ、黒ブドウを混ぜて5~6アイテムのワインを作るが、当初狙っていた範囲の味が出せるようになり、もう少し絞り込みたいと思っている」。ゆくゆくは製造から販売まで手掛ける自社ワイナリーの開設を目指している。(相澤冬樹)

◆神郡塾 リーダー育成、交流事業などを展開。今年10周年を迎える。講座は月例開催。次回は「会津の武士道」をテーマに2月13日午前9時から美六山荘(つくば市臼井20512-1)で開催予定。事務局電話0280-93-0180

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

2 コメント

2 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

ごみピット内で出火 一時白煙が充満 土浦市清掃センター

21日午後3時ごろ、土浦市中村西根、市清掃センターで、集められた可燃ごみを一時的に貯蔵する可燃ごみピット内から出火し白煙が発生、ピット内は一時白煙が充満した。 施設の運転管理委託業者が初期消火活動をしたが白煙の発生が止まらず、午後3時2分に119番通報。駆け付けた消防隊員が水をかけるなどして消火活動を実施し、午後4時55分に鎮火が確認された。けが人はいない。 同清掃センターによると、ピット内でごみの一部がくすぶった状態になり、白煙によりピット内を目視するのが難しいほど充満したという。 どのくらい焼けたかや、出火原因は現在のところ特定できていない。鎮火後、ピット内の可燃ごみを調べたところ、ごみ自体に大きな焼け跡などはなかった。ごみ処理施設の設備や建物の躯体にも損傷はなく、同センターは、22日以降のごみの受け入れや処理に支障はないとしている。

立憲の青山氏「中道」に加わらず 衆院選茨城6区 4氏が立候補へ

23日の解散に伴い、27日公示、2月8日投開票が予定されている衆院選で、茨城6区から立候補を予定している立憲民主党現職の青山大人氏(46)が21日つくば市内で開かれた記者会見で、立憲民主党と公明党による新党「中道改革連合」に加わらず、無所属で立候補すると話した。 青山氏は「政治家としての私の信念の中で今回は無所属を選んだ。単純に選挙戦だけを考えれば厳しいことは承知している」とし「有権者の視点から見た場合、有権者が本当にそういうことを求めているのか。自分自身も直感的に違和感を覚えた」と新党結成に疑問を呈した。「我々は有権者から選ばれる立場。信頼される政治という根本の部分を大事にしたい」と述べ、「私の考え、政治姿勢が大きく変わったわけではないし、これからもぶれることはない」などと話した。 青山氏は、立憲の離党と新党の入党届け提出期限となる20日に立憲民主党を離党し、同日、つくば市西大橋で開いた衆院選の事務所開きで、無所属で立候補することを支持者らに明らかにした。無所属だが連合茨城の推薦を受けて選挙戦に臨む。立憲の衆院議員146人のうち新党に加わらなかったのは青山氏と原口一博氏の2人だけ。 共産が新人を擁立 一方、共産党県委員会は20日、茨城6区に、新人の稲葉英樹氏(58)を擁立することを発表した。稲葉氏は土浦市出身、同市在住。半導体製造会社勤務を経て、現在、党南部地区副委員長。 6区にはほかに、自民党現職の国光あやの氏(46)、昨年12月に立候補を表明した参政党新人の堀越麻紀氏(53)を含め計4氏の立候補が予定されている。 前回2024年10月の衆院選茨城6区は、立憲現職の青山大人氏、自民現職の国光あやの氏、共産新人の間宮美知子氏の3氏が立候補し、青山氏が12万票超の得票を得て小選挙区で初めて国光氏を破り、国光氏は比例復活した。青山氏は前回、6区の土浦、石岡、つくば、かすみがうら、つくばみらいの5市すべてで国光氏を上回った。(鈴木宏子)

昨日までの邸宅を脱ぎ捨て、「駅前」という自由をまとう《人生100年時代》

広告【コラム・岩本将哲(サンヨーホームズ)】街を歩けば、庭木の手入れに精を出す紳士淑女の姿をよく見かける。現役時代に築いた広大な邸宅は人生の勲章であり、家族の記憶が染み込んだ聖域だ。しかし、あえて問いたい。その「聖域」が、いつのまにかあなたから「軽やかな自由」を奪ってはいないだろうか? 人生100年時代。私たちはあまりに長く「家を守ること」に縛られ過ぎている。階段の上り下り、冬の廊下の寒さ、駅までの億劫(おっくう)な距離。それらを「年相応の我慢」として受け入れるのは、いささか早計だ。本当の意味で人生を謳歌(おうか)する知的なシニアたちは、今、鮮やかに住まいを「最適化」し始めている。 駅前マンションで人生を2度、恋させる その象徴的な舞台が、JRひたち野うしく駅直結の「サンミットひたち野東ステーションフロント」である。ここを「老人ホーム」と呼ぶのは、野暮(やぼ)というものだ。ここは、自立した大人が自分の意志で選び、自分の資産として登記する「分譲マンション」である。 コンシェルジュによるホスピタリティと、建物1階にクリニックや調剤薬局を備える安心感は、いわば「見えない執事」が常に寄り添っているようなものだ。それでいて、一歩外へ出れば駅に直結するペデストリアンデッキ。都心の観劇へも、なじみのショップへも、雨に濡れず、誰の手も借りずに繰り出せる。 特筆すべきは、入居に際して「身元引受人」や「保証人」を必要としない潔(いさぎよ)さだ。子供に負担をかけたくない、誰にも依存せず自分の人生を完結させたい。そんな現代的なプライドを、この建物は優しく、そして力強く肯定してくれる。所有権分譲だからこそ、将来の売却や相続も思いのままだ。 「今の家が一番」という頑(かたくな)な思いを、少しだけ解いてみてはどうだろう。思い出は、場所を変えても色褪(あ)せない。むしろ、煩わしい維持管理から解放されたとき、夫婦の会話は新婚時代のような軽やかさを取り戻すかもしれない。 「終の棲家」を我慢の場所にしない 人生の後半戦、家はもう「守るもの」ではなく「遊び場」であっていい。「終(つい)の棲家(すみか)」を我慢の場所にしないほうがよい。駅前で、新しい自由を手に入れた人々の顔は、驚くほど若々しい。次は、あなたの番だ。昨日までの重たい邸宅を脱ぎ捨てた先に、見たこともないほどチャーミングな「明日の自分」が待っているはずだ。(福祉住環境コーディネーター・終活カウンセラー) <サンミットひたち野東ステーションフロント>▽所在地:茨城県牛久市ひたち野東1-32-8▽形態:シニア向け分譲マンション(所有権方式)▽特長:駅直結、入居者専用レストラン・大浴場、365日24時間有人管理で緊急対応、身元引受人(保証人)不要▽見学会・相談会:随時受付中(予約制)▽資料請求・見学希望:🆓0120-555-712、または『サンミット』で検索

生物多様性保全、情報発信で協力 つくば市と実験植物園が連携協定

つくば市と国立科学博物館筑波実験植物園(同市天久保)は19日、「相互協力の促進に関する基本協定」を締結し、同植物園で締結式を行った。生物多様性の保全や研究成果の活用、市民への理解啓発など幅広い分野で連携し、今後、企画展や情報発信などを共同で進めていく。 協定では①自然環境の保全②相互の情報・資源・研究成果の活用③市民の安全・安心に関する情報共有④学術研究・科学技術の振興⑤学校教育・社会教育の増進⑥市内大学・研究機関との連携促進⑦これらの目的達成のための必要な事項など7項目を掲げた。 筑波実験植物園は14ヘクタールの敷地内に、日本の植生や世界の熱帯・乾燥地などの自然環境を再現し、絶滅危惧種を含む約7000種類の植物を保有する。そのうち約3000種類を自然に近い形で公開する国内有数の研究施設。企画展やイベントを通じ、年間9万から10万人が訪れている。 市の担当課は今回の協定締結の目的について「昨年3月に市が策定した『生物多様性つくば戦略』が掲げる『生物多様性を守り育むことが当たり前になる社会』という理念は、植物園の『知る・守る・伝える』という方針と合致する」と説明。昨年12月に開催した蘭(らん)展の共催や、今月27日まで開催されているインターネット投票を活用した写真コンテスト「全国に自慢したい!つくばの植物」を協力して実施しており、「市民の理解促進と、子どもたちが自然を身近に感じ継承できる取り組みをさらに進めたい」と述べた。 五十嵐立青市長は「生物多様性は言葉だけでは実感しにくいが、植物園は肌で感じられる場所」だとし、約3000種の蘭を保有する世界有数の保全施設としての同園の特徴を生かし「『蘭のまち』としての発信も検討できる」と述べた。また、市民団体と専門家が協働する循環づくりや、生物多様性センターを拠点としたツアー開催などの構想をあげながら、「都市の中の生態系づくりを専門家の助言のもと進めたい」と語った。 筑波実験植物園の遊川知久園長は「まずつくば市民の皆様に植物園を知っていただきたい。そのために、研究・保全活動、学習支援活動、企画展やイベントの情報発信で市と協力していきたい」とし、「市内にも絶滅危惧種がある。その保護、繁殖に植物園のデータを生かすなど、課題に筑波実験植物園の職員が貢献していくことを考えている」と展望を語った。(柴田大輔)