ムートン・マッサージセラピー(つくば)ラタナ・コックァさん
つくば市に開業し8年目となるタイ古式マッサージ店。一昨年からコロナ禍を受けて客足が大きく落ち込み、大変な2年間だったという。運営するタイ人のラタナ・コックァさん(56)はコロナ禍で来店する人について「体の疲れというより、心の疲れ、ストレスを持ってお店に来るお客さんが多くなった」と話す。都内に勤務していてテレワークになり、在宅で仕事をしている人や、オンライン授業で課題に追われている学生も少なくなく、目や肩の凝りを訴えて来店する。「ムートン」はタイ語で「黄金の手」の意味。「首と頭を長くもみほぐしてほしい」「そこをもっと強めに」など、それぞれの要望に応じながらリモートワークの疲れを癒している。
あの手この手で乗り切った
タイマッサージは一昨年末、ユネスコの無形文化遺産に登録された。これを機にさらにタイマッサージのすばらしさを広めたいと思っていた矢先のコロナ禍。昨年は非常事態宣言の影響もあって月の売り上げが3分の1から4分の1以下になり、一人の客も来ない日が何日もあった。

このままでは借りている店舗の家賃が払えない、と経済産業省が支給する家賃支援給付金の申請を行い、昨年10月に給付を受けた。デスクカウンターにパーテーションを設置するなどの対策も行い、昨年11月には感染防止対策に取り組む事業者が申請できる「いばらきアマビエちゃん」システムに登録。コロナ禍以前は、支払いは現金のみの対応だったが、非接触での支払いができるようにとバーコード決済も導入した。自分とスタッフの健康管理も考えるようになり、それまで無休だったのを、毎月第3水曜日定休とした。
3人のスタッフがタイ人。ラタナさんもスタッフも1年から2年に一度は故郷タイに帰省していたが、もう丸2年以上帰れておらず寂しいという。今年8月には全員が2回のワクチン接種を終えた。心配していた副反応も思っていたより軽く済み、すぐに仕事に復帰できてほっとしたと話す。
9月頃にはお客さんの中にもワクチン接種を終えた人が多くなってきた。戻ってきた常連客からは「長い間来られなくて店がつぶれたのではないかと思った。洗濯物が出ていたから、開いていると思って来た。つぶれなくてよかった」と心配された。
来年こそはタイに
今年1月から夏にかけては客足が戻ったものの、売り上げは例年の半分から3分の2程度。8月から9月は県非常事態宣言の影響で、入っていた予約がキャンセルになることもあり、一進一退の状態が続いた。秋になり感染者も減って好調かと思ったが、次はオミクロン株への不安が出てきた。「来てくれたお客さんのおかげでなんとかお店を続けることができた。なんとか収まって、来年こそはタイに帰れたらいいな」。年末は30日まで、年明けは3日から営業する。(田中めぐみ)
◆ムートン・マッサージセラピー(つくば市竹園2-6-1)電話:029-811-6108
https://beauty.hotpepper.jp/CSP/kr/reserve/?storeId=H000471138