第101回全国高校ラグビー県代表決定戦が19日、水戸市河和田町の市立サッカー・ラグビー場で開かれた。昨年と同じ顔合わせとなった茗渓学園-日立一の対戦は102-0と茗渓が圧勝。10大会連続27回目の優勝を飾り、12月27日から東大阪市花園ラグビー場で開かれる全国大会への出場権を獲得した。
茗渓は持ち前のパスラグビーを展開。ウイング森尾大悟の4本を筆頭に前半9本、後半8本のトライを挙げた。敵陣での守備で相手を押し下げ、素早く攻撃につなげる得意のスタイルが機能した。「密集で時間をかけず、セットスピードを意識。表と裏の2本のラインをしっかりと作り、ハーフバックの状況判断でボールをさばく」とスクラムハーフの高橋佑太朗主将は説明する。
高橋健監督は「ボールをつなぐ回数が増えるほど、パスミスやキャッチエラーの機会も増えるので、今はパスを減らしてフォワード勝負に徹するチームが多い。だがうちはグラウンドを広く使い、パスを回していくチーム。パスワークを楽しめるだけのスキルを身に付けている」と胸を張る。
序盤はミスも目立った。キックオフで日立一が蹴る縦回転のボールを受け損なう場面やパスの呼吸が乱れる場面など。それらも試合が進むにつれて修正されていった。
「ミスは仕方のない部分があるが同じミスはせず、個々に修正し続けていかないと。全国では1つミスをするとしばらくボールが戻ってこない。できることをしっかり確実にやりきり、自分たちがボールをキープする時間を長くする」と高橋監督。
今季のチームの特色として1年の活躍が挙げられる。この試合でも5人が先発で出場。166センチと小柄だががっしりした体格でフッカーを務める川村航平、ナンバーエイトでスクラムを支える小川和真、183センチ・100キロの体格でチーム1の突破力を誇るロックの小杉太郎、パスでも自力での仕掛けでも自由自在のセンター田村優太郎、そして50メートル6.2秒の俊足としなやかなステップが武器の森尾だ。
いずれも昨年、中学での全国優勝が期待されたがコロナ禍のため大会が開かれず、くやしい思いをした世代。気持ちを切り替えて新チームで力を付けてきた。「今季はチームプレーが強み。個々に頼らず、みんなの力で点を取る。後輩も公式戦で自信を付け、学年の差を感じさせずアグレッシブにやってくれた」と高橋主将。「プレーが止まったとき前の選手へ声を掛けるが、自分たちの意見もしっかり聞いてくれる」と田村。フォワードとバックス、また先輩後輩の息もぴったりだ。
高橋主将は花園では上位進出を目指すとともに、観客を魅了するラグビーを見せたいと話す。「うちの強みはフォワードもバックスもパスができること。ナンバーワンのパスチームとして、見ごたえのあるプレーでお客さんを湧かせたい」(池田充雄)