つくば市に県立高校を新設することなどを求めている市民団体「つくば市の小中学校の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が17日、水戸市笠原町の県庁で、県教育庁と初の交渉に臨んだ。県高校教育課高校教育改革推進室に、知事や県教育長宛ての要望書を手渡し、県立高校の新設や市内外の既存校の学級増などを求めた。
回答は消極姿勢に終始
要望書は「つくば市は児童・生徒数が急増しているのに県立高校が少ないため、多くの生徒が市外の県立高校や私立高校に通っており、生徒の通学や保護者の費用・送迎などが重い負担となっている」などとして、①市内のTX沿線に全日制の県立高校を新設すること②竹園、つくば工科、茎崎、伊奈、牛久栄進など市内外の既存校の入学枠を増やすこと③土浦一高の付属中設置に伴う高校の学級数削減を行わないこと④特別支援学級の生徒に高校入試や入学後の資料を整えることーなどを求めた。
これに対し県教育庁の回答は、①県立高校の新設は財政や用地を考えると現時点では困難②既存校の学級増は、県全体の県立高校で1962人の欠員があるので慎重に判断していく③付属中設置に伴う土浦一高の高校の学級削減を止めることは困難④特別支援学級の生徒に対しては担当課と連携して対応を考えたいーだった。
片岡代表は「つくば市の中学3年生の進学状況や児童・生徒数の推移見通しなどの資料を提出し、実情を理解してもらえば、県立高校を必ずつくるしかないことを理解してもらえると思って説明したが、県の回答は、『県全体では定員割れの高校がある』ということに終始した。つくば市の子どもたちのことは県の視点から外れていると思わざるを得なかった」と話した。今後も粘り強く、県やつくば市との交渉を続けるとしている。
考える会の片岡代表は、つくば市の中学生の高校受験の実情を独自に調査し、市内には中間の県立高校がないため、2020年度は中学生の6人に5人が市外の高校や私立高校に通っており、生徒や保護者の重い負担となっていることを明らかにした。その上で、市議会9月定例会に、全日制の県立高校を市内に早急に新設し、進学環境の充実を求める請願を出し、全会一致で採択された。採択を受けて市議会は10月、知事と県教育長に県立高校新設などを求める意見書を提出したばかり。