【鈴木宏子】日本自動車研究所(つくば市苅間)の模擬市街路Jtown(ジェイ・タウン)で2月から、同研究所による自動運転車の事前テストサービスが始まる。公道に出て実証実験をする前に、自動走行システムの安全性能やテストドライバーの対応力をテストしてもらい評価する。開始を前に25日、報道関係者を対象に見学会が開かれた。
自動運転システムの開発は現在、国家プロジェクトして取り組まれている。2016年に示された警察庁の「自動走行システム公道実証実験ガイドライン」で、同研究所が実験施設の一つとして挙げられたのを受けて、独自にテストと評価ができるようにした。
Jtownは自動運転の評価拠点として昨年4月、同研究所内に完成した。広さ16haで、交差点、カーブ、坂道、横断歩道のほか、工事現場などの障害物も設置され、市街地の道路を再現した。雨や霧、強い西日、夜間などの悪条件を再現できる特異環境試験場などもあり、3つのエリアで構成されている。
昨年からすでに自動車メーカーなどの利用が始まり、現在フル稼働状態という。これまでは利用者がそれぞれ独自に試験、評価していたが、2月から新たに同研究所がテストし評価するメニューを加える。
同研究所のテストでは、自動運転車にさまざまな計測機器を取り付けて走行してもらう。直線やカーブを適切な速度や軌道で走行できるか、赤信号や一時停止線で停止できるか、交差点を曲がる際、対向車や歩行者の動きに配慮した対応ができるか、降雨時や暗い中で、歩行者や信号、標識などを認識できるかなどを評価する。結果は、自動運転システムの改良やドライバーの訓練などに役立ててもらう。
永井正夫所長は「自前のテストコースをもたないベンチャー企業や大学、部品メーカーなどに利用してほしい」などとしている。
