【コラム・玉置晋】友人の宇宙ファミリー(コラム44参照)から「ウチの子の学校で、夏休みの宿題で理科の自由研究が必須になったのだけれど、よいテーマはないかなあ」と相談メールがきました。僕はすかさず、「じゃあ、宇宙天気について調べてみたら?」と、自分の研究仲間を増やすべく勧誘しています。
研究テーマの設定は、小中学生であろうと大学院生であろうと悩むものです。科学的な自由研究に取り組むコツを、気象学者の荒木健太郎先生が「科学的な自由研究とは?」と題してまとめてくださっています。参考にしてみてください。僕も先日、友人に教えてもらって、目から鱗(うろこ)が落ちました。
アクセス先はこちらです。「天気自由研究を大募集!『すごすぎる雲の研究』にチャレンジしよう!」
太陽の裏で大爆発
7月14日の夜中、人工衛星が太陽から広がるガスの様子を捉えました。ガスとは太陽の大気(プラズマ)で、これが宇宙空間に吹き飛ばされる現象を「コロナ質量放出(CME:Coronal Mass Ejection)」といいます。地球から、CMEは放射状に拡がって見えました。こういう場合は、地球方向に近づいているか、太陽の反対側に遠ざかっているか、どちらかです。
今回は、地球から見えている太陽面にはCMEの発生源は確認できませんでしたので、爆発は太陽の裏で発生した模様です。続いて、7月16日にも同じ方向に、7月17日には少し異なる方向にCMEが発生しました。このことから、活発な活動領域が少なくとも2カ所、太陽の裏にあることが推測されます。
この活発な活動がいつから続いていたのか、振り返ります。太陽は地球から見て約27日で自転しています。7月3日ごろに太陽面の北半球の西端に黒点ができ、Xクラスと呼ばれる最大規模の太陽フレアを起こしました。この時は強力な発光のみで、CMEが地球に飛んでくることはありませんでした。南半球にも1か所、今にも爆発を起こしそうな黒点がありました。あれから2週間が経ち、これら2カ所の黒点は太陽の真裏を通り過ぎたころのはずです。
これから、これらの黒点が地球から見える位置に回ってきます。活発な活動を維持しているようでしたら、僕は地球防衛のために休日返上で働くことになるでしょう。手伝ってくれる仲間がほしいです。というわけで、理科の自由研究をきっかけに、若手をスカウトしよう!というオチでした。(宇宙天気防災研究者)