第103回全国高校野球選手権茨城大会は24日、ノーブルホームスタジアム水戸で準決勝2試合が行われた。第1試合では常総学院が、好投手の樫村佳歩を擁する水城と対戦、ロースコアの接戦の末、2-1で競り勝った。第2試合は鹿島学園が石岡一を7ー1を下した。決勝は26日、同球場で常総学院と鹿島学園が甲子園出場を賭けて対戦する。
常総学院は先発の秋本璃空が7回まで1安打3三振の好投。唯一の失点は2回で、安打と犠打、内野ゴロで2死三塁から暴投で与えた。「2回の先頭打者には軽く投げてしまった。ちょっと抜くところが欠点で、それを治せば信頼できる。調子は良いときの彼に戻ってきた」と島田直也監督。
秋本自身は「変化球がよく低めに集まり、完投しようと思っていた」そうで、7回も自ら志願して行ったが、足がつったため1死で大川慈英に交代。「秋本が粘ってくれたので、自分は短いイニングで全力で集中して投げた。連投で疲れはあったが、打者に対し1球1球コースをイメージして、しっかり腕を振って投げられた」と大川。最速を更新する148キロを出したが「自分としては球速よりもキレ。出たな、という程度」の感想だそうだ。
攻撃では樫村に対し3回までノーヒット。3回は四死球がらみで1死一・二塁のチャンスを作るが鹿田優の二ゴロでダブルプレー。4回は1死一塁から三輪拓未が二盗を狙うが、田邊広大の三振と守備妨害でチェンジとなる。
だが5回は違った。2死から下位打線が粘りを発揮。7番 柴田将太郎と8番 宮原一綺が右翼への二塁打を2連続で放ち1点を返すと、9番 鳥山穣太郎が死球でチャンスを広げ、1番・鹿田の左前打で逆転に成功。「第2打席まではストレートを狙っていてチェンジアップで打たされていた。この打席では意識を切り替えた結果、ストレートを待ちながらチェンジアップにもうまく対応できた」
樫村攻略について島田監督は「1巡目は完璧に抑えられたが、その間にしっかり球を見極め、球数を投げさせたことで後半、少ないチャンスを生かすことができた」と話す。
鹿田は「相手が疲れてからが勝負。ボール球を打ってしまうと相手に流れが行くので、ゾーンに来た球だけ打っていこうと意識した」という。秋本も「樫村は乗ってきたら止められない、楽しく試合をするタイプ。打たれて気分よくさせないよう、彼の打席ではギアを上げて投げた」と、ピッチングでアシストしたそうだ。
いよいよ甲子園まであと1勝。島田監督は次戦に向けて、打線の奮起を期待する。「投手に負担がかかっているので、点を取れるときに取ってもらわないと。自分が就任して以来、センターへ強い打球を返すことを意識させているが、なかなかそれができていないので徹底させたい」(池田充雄・高橋浩一)
第2試合は鹿島学園が石岡一を突き放した。