【コラム・中尾隆友】つくば市の不動産業や住宅販売業は、もともと全国でも屈指の好環境にある。住環境に優れ、東京都心に1時間で行けるメリットが大きいからだ。この10年間で、TXつくば駅や研究学園駅から徒歩30分圏内には、手ごろな価格で購入できる住宅用地はほとんどなくなった。
それがコロナ禍によって、いっそう好環境に拍車がかかっている。テレワークの広がりによって、首都圏から地方へ移住するハードルが下がっているのだ。大手企業やベンチャー企業では、場所にとらわれない働き方を推奨しているところが多い。
その結果として、つくば駅や研究学園駅から徒歩60分かかる区画整理地でも、万博記念公園駅やみどりの駅に近い分譲地でも、住宅用地が飛ぶように売れている。
不動産業や住宅販売業に従事する人々の最大の関心事は、「つくバブル」がいつはじけるのかということだ。こんな異常な状態が続くわけがないと考えている人が多いのは、肌感覚でも理解できる。
テレワーク導入企業は今後も増える
しかし私は、「つくバブル」は意外にはじけないのではないかと考えている。日本の雇用形態がこれから10年、20年単位の時間をかけて、ジョブ型(職務内容や労働時間を定め、成果で評価する雇用形態)に切り替わっていかざるをえないからだ。
日本企業の圧倒的多数が採用するメンバーシップ型(職務に限定がない雇用形態)では、ジョブ型を採用した企業と比べて、従業員のモチベーション低下が著しい。在宅勤務でも十分に評価されるテレワークを導入する企業は、これからも増え続けていくだろう。
そういった意味では、つくばのポテンシャルは下がりにくい。かつてのバブル崩壊のように、土地価格が急落するという心配は杞憂(きゆう)なのではないだろうか。(経営アドバイザー)