新型コロナの影響で生活に困窮している人を支援する「特例総合支援資金制度」の申請件数が、昨年4月からの1年間で、つくば市で923件、土浦市で1283件に達したことが分かった。コロナ禍で収入が減ったり失業した人を対象に、暮らしを立て直す資金を最大60万円(3回まで)貸し付ける制度だ。
つくば、土浦両市とも申請件数は昨年6、7月に大きなピークがあり、以降は減少傾向を続けている。つくば市社会福祉課によれば「緊急小口資金貸付については世帯に対して一度の貸付制度であるため、該当する世帯が少なくなった結果、申請が減少したという可能性が高い」という。
その後、今年の2、3月に若干の増加が見られた。原因は分かってない。
困窮状態1年以上も
今年2月には、同制度を一度利用した世帯であってももう一度貸付を受けることが出来る「再貸付」が始まっている。再貸付の申請件数は2月の制度開始から4月末までで、つくば市が178件、土浦市が216件に達した。制度利用世帯のうちつくば市で19%、土浦市で16%が再申請したことになり、コロナ禍により生活困窮状態が1年以上続いている人がいることを示している。
総合支援資金を再貸付まで満額で借りた場合には、貸付の総額は180万円となる。一時的な収入の減少に対して最大20万円を貸し出す特例緊急小口資金と併用した場合には、総額で200万円の貸付額となる。昨年3月、新型コロナ禍における限定的な措置として始まった特例総合支援資金制度だがすでに5回の期間延長を重ね、今年8月末まで特例措置が継続されることが既に決まっている。
つくば市内で生活困窮家庭の子供の支援などを行うNPO法人「居場所サポートクラブ ロベ」の森美智子理事長は「(関わりを持っている範囲で)特に飲食関連の業種の就労環境が不安定になってしまっている状況がある。特例貸付は返さなくてはならないものなので、可能な限り避けたいものの、生活費で不足する分を貸付でなんとかせざるを得なくなるケースもあることは事実」と話す。(山口和紀)