筑波大学発宇宙ベンチャーのワープスペース(つくば市吾妻、常間地悟CEO)は19日までに、第三者割当増資による4億円の資金調達を実施した。引き受け先にはスパークス・イノベーション・フォー・フューチャー(東京都港区、見學信一郎代表取締役)が設立・運営する宇宙フロンティアファンド、プロサッカー選手の本田圭佑氏が率いるKSK Angel Fund 合同会社(米国カリフォルニア州)、SMBCベンチャーキャピタル産学連携2号投資事業有限責任組合(東京都中央区)が名を連ねた。
ワープスペースは、宇宙空間光通信ネットワーク構想「WarpHub InterSat(ワープハブ・インテルサット)」の実現をめざしている。3月には国際宇宙ステーション(ISS)から超小型通信衛星の軌道投入に、県内の民間企業では初めて成功(3月15日付)した。今回の資金調達はシリーズAラウンド(初回募集)のファーストクローズとなり、5月ごろをめどにセカンドクローズを実施する予定。
同社は、3月8日付けで取締役会設置会社に移行。宇宙フロンティアファンドの投資担当で宇宙産業関連団体の委員・理事なども務める大貫美鈴氏が社外取締役に就任し、経営体制を強化した。一連の取り組みによって2022年末の打ち上げを予定している、世界初の衛星間光通信ネットワークサービス向けの小型光中継衛星の開発を加速させていくという。
常間地CEOは「人類の空間利用の拡大や持続的発展は、常に強力かつ安定した通信インフラの実現によって達成されてきた。私たちは引き続き、宇宙空間光通信ネットワークサービスを世界に先駆けて実現することで、宇宙通信におけるトップキャリアの地位を確立し、地球経済圏の拡張および持続可能な発展を支えいく」とコメントしている。
KSK Angel Fund(エンジェルファンド)の本田圭佑氏は「2つの可能性を信じて出資した。1つ目はワープスペースの宇宙光通信ネットワークが、貧困や環境問題など色んな社会問題を解決しうる可能性。2つ目は宇宙産業の開拓にも貢献できる可能性。今の時点で可能性が低いなんて思うことは当たり前。それでもいつの時代でもそんなわずかな可能性を信じて行動し続けた人だけが夢を実現させてきた」とコメントを寄せた。