おもねず自由に制作活動を行う作家集団、現代美術家協会茨城支部(佐野幸子支部長)の「第37回茨城現展」が13日、つくば市吾妻、県つくば美術館で開幕した。約40人の作家による絵画、デザイン、立体造形、工芸、写真など約180点が展示されている。新型コロナの影響で昨年は開催できなかった。2年ぶりとなり、新型コロナをテーマにした作品も展示されている。
コロナ禍、気持ちを明るくして見てほしいと、会場正面で、佐々木元彦さんの立体造形「夢は夜ひらく」が出迎える。ドラム缶の上に赤や青、黄色など色とりどりのカラーボールと、2体の顔の造形を配置したユニークな作品で、子どもたちにも喜んで見てもらえる作品だという。
新型コロナをテーマにした作品は、佐野支部長の絵画「想・葛藤」(縦1.4、横1.1メートル)。コロナ禍の日々の葛藤を、赤、緑、黒などで表現した心象風景だ。

まっすぐに伸びた茎の先に付いた里芋の大きな葉が、嵐がきてぼろぼろに破れた様を描いたのは、つくば市、佐々木量代さんの水彩画「昨夜の嵐」(縦1.4、横1.1メートル)。嵐がきてもめげず、すくっと立っている様を表現したという。
牛久市の福田三恵子さんは、宮脇紀雄さんの童話「おきんの花かんざし」をテーマに、人間に化けたキツネの母親が、少女に化けた娘の髪に花かんざしを挿す様を描いている。
ほかに「五輪」をテーマに、出展者が思い思いの作品を描き一堂に展示した共同作品や、布や編み物などを素材に使った絵画、豚や牛をかたどったユニークな木製の椅子なども展示されている。

福島県南相馬市出身で、筑西市に住む羽下昌方さん(73)は「一人ひとり違う考えの作品が表現されていて、おもしろいと思う」などと感想を話していた。
佐野支部長は「現展は、何ごとにもとらわれず自由なコンセプトで制作している。いろいろなジャンルがあるので、皆さん、楽しんでいただけるのでは」と来場を呼び掛ける。(鈴木宏子)
◆茨城現展は18日まで。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時まで)。入場無料。