筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)の卒業式が25日、行われた。新型コロナの影響で、今年度は卒業生のみが参加でき、家族や在校生らはライブ配信で遠隔参加した。昨年度は「代表180人のみが出席」する形式で行われたため、学生が式典会場に集まる形では2年ぶりとなる。20年度の卒業および修了予定者は4384人。
大学会館で行われた式典では例年通り、学位記や卒業証書の授与、学生の表彰などが行われた。会場の大きさと学生数の関係から、式は学群生が2回、大学院生が2回の計4回に分けられた。永田学長は式辞で「皆さんが旅立つのはグローバル社会。そのことを新型コロナウイルスが実感させてくれた。個々のコミュニティーには境界が無く、感染症はどこまでも広がっていった。皆さんが学んだこの筑波大学も留学生比率の特に高い大学の一つ。グローバル社会で活躍するための力は得たはずだ。社会に羽ばたいても頑張っていってほしい」と激励した。
式の開始を待ったり、終了した学生には会場脇の大きな枝ぶりの桜が格好の記念撮影スポットになった。一部散り始めた樹の下で、卒業袴でマスク姿の女子学生らがスマホに収まった。人間学群障害科学類4年の男子学生は卒業について「コロナ禍で精神的に辛い1年間だった。ここまで来られたのは、そうした状況のなかでも仲間達とオンラインでコミュニケーションが取れたことが大きいと思う」と話した。
お寒い謝恩会、追い出しイベント会場
しかし、コロナ禍の影響も大きい。例年ならば、卒業式のあとには教員らに感謝を伝える謝恩会が各学群・学類ごとに開催されるが、今年度は多くの学群・学類で中止を余儀なくされた。「1年前から大学近辺のホテルを会場に抑えていたが、キャンセルすることになってしまった。緊急事態宣言の解除がいつになるかという問題などもあり、年明けくらいまで開催の可否も決めかねていた」と人間学群の謝恩会担当者は話した。
卒業生らの「追い出し」イベントの自粛は、学内食堂の経営にも大きく響く。大学の厚生会担当者は「学生食堂の多くは春の新入生歓迎イベントや卒業生の追い出しコンパで収入のかなりの部分を得ていた。それらが中止されるとなると、経営上の影響は大きい」と語る。
4月5日に予定されている2021年度の入学式典も、新入生のみが現地参加する形式で、家族らはライブ配信での遠隔参加の形式をとる予定だ。(山口和紀)
◆詳細は筑波大学の特設ページ。ライブ配信は筑波大学公式YouTubeチャンネルで。