阪神甲子園球場で開催中の第93回選抜高等学校野球大会は、大会5日目の24日、常総学院(茨城)が延長タイブレークの末、9-5で敦賀気比(福井)を破り、1回戦を突破した。土浦市中村西根の常総学院高では学校応援が行われ、吹奏楽部や陸上部、剣道部などの生徒約110人が甲子園へ向けて熱い声援を送った。

校内に陣取る吹奏楽部、迫力の応援
試合は2回表、常総学院が1死満塁から敵失と暴投、さらに伊藤琢磨の2点適時打などで4点を先制。8回表には秋本璃空の中前適時打で1点を加えた。対する敦賀気比は後半に得意の粘りを見せ、7回に3点、8回に2点を返し、5-5の同点で今大会6度目の延長戦に入った。
延長戦で常総学院は8回からマウンドに上がった2人目の大川慈英、敦賀気比は9回からこの日2回目の登板となった今井がそれぞれ尻上がりに調子を上げ、互いに得点を許さない。13回から選抜大会では初のタイブレークに突入した。
13回表の常総学院の攻撃は無死一、二塁の場面から始まり、まずは秋本が右前適時打で勝ち越し、さらに1死満塁から太田和煌翔と田中隼人の連続適時打で3点を加え、敦賀気比を大きく引き離す。その裏を3人で抑え、結果9-5で勝利を決めた。
今大会、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、球場では録音した音源をスピーカーで流すのみで、生の演奏や声を出しての応援は禁止となった。このため吹奏楽部は校内のホールに集まり、モニターで試合を観戦しながらさまざまな応援曲を演奏。チームが得点機を迎えると、その迫力と盛り上がりは、アルプススタンドにいるのと寸分変わらぬほどになった。

試合を終えて、吹奏楽部の田所千央部長は「選手たちの努力が実ってよかった。この勝利に気を緩めずさらに勝ち進み、たくさんの人に勇気を与えてほしい」と話した。またクラスメートでもある秋本、伊藤らの活躍には「学校や野球で頑張る姿を身近に見てきた。甲子園で胸を張ってプレーしているのを見て、さらに勇気をもらった」という。
指揮者として腕を振り続け、選手たちと共に13回を戦い抜いた飯野峻太朗さんは「腕はぱんぱんだが、この演奏が選手に届いてくれるなら疲れはない」と喜びの声。クラスメートである大川の活躍には「追い付かれても頑張ってくれると信じていた。持ち味の速球で、何度もピンチを乗り越えてくれた」と感慨深げだった。(池田充雄)