月曜日, 10月 26, 2026
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《ひょうたんの眼》34 JOC森前会長の罪深い発言

【コラム・高橋恵一】JOCの前会長が不適切発言で引責辞任し、次期会長に女性が就いた。元々、首相時代から「失言」の目立つ森前会長だったのだが、今回は、重要ポストを追われ、どうやら院政を敷くのも困難な立場に立たされたようだ。

森前会長は、JOCの女性理事の割合を現在の20%から40%にしようとする目標に関して、評議員会の席で「女性の多い会議は、発言者が多くなり、時間がかかるので困る」という趣旨の発言をした。この発言に対して女性蔑視(べっし)、差別だとする批判が高まり、さらに、発言撤回と反省の記者会見で逆ギレし、当初は、政権や関係者の前会長擁護の動きもあったが、IOC会長の裏切り非難声明により、しぶしぶ辞任することになった。IOCも大スポンサーからの指摘で、変節しただけのようだが…。

この発言と「本音」について、国内でも様々な議論が起こったが、日本の男女格差、ジェンダーフリーのレベルが国際的にも最低位置にあることが、世界に広まってしまった。後任のJOC会長の選び方も、透明性確保が求められたが、今までの組織の流れを引き継ぎながら、世間体を繕うために、女性でオリパラ担当大臣の橋本聖子さんが就任した。これで、右往左往した世間も落ち着き、IOCも安心した。

しかし、日本のジェンダーフリー、民主主義のあり方については、何も進展しなかった。会議の発言者多いと、なぜ困るのか? 男性が場を「わきまえている」ということは、異論をはさむ者(男性)を、初めからメンバーに入れていないということだ。そういえば、首相の記者会見、国会での答弁拒否、政策決定の有識者会議等々、初めから結論ありきで、もともと議論を交わす考えがないということだ。

国会だけではあるまい。多くの、株主総会、諸団体の総会から、多くの地域社会の決め事まで、多様な意見を交わして高め合う機会が少なく、結果として、組織の高度化、成長を妨げている。

民主主義に基づく学者とメディアに期待

古来、日本では、権力者と異なる意見を主張することは、困難を伴った。殿様の言動を変えさせるために切腹、諌死(かんし)した逸話も少なくない。自分と異なる意見を聴くのが大嫌いな上司は数多くいる。それが、自分自身の利害や先入観に基づく場合は、強固である。その上司が国家のリーダーである場合、その拒否が、聞き入れない政策が、国民の生命や生活に重篤な影響を及ぼすことになろう。

先の悲惨な戦争が人権と民主主義の否定に端を発していたことは明らかであろう。現在の気候変動や感染症対策、格差拡大を増幅している経済対策も、日本学術会議への態度に見られるように、政権の科学的思考の薄弱さに裏打ちされている。

社会経済が疲弊して、一部の層だけが富と権力を占有し、庶民の不満が限界に近づくとき、巧妙にファッショ化が進行する。歴史の教訓である。本来、忖度(そんたく)などに陥らない、真に使命感を持った官僚が必要なのだが、国民を誤った方向から救えるのは、人権と民主主義に基づく学者とメディアであろう。(地図好きの土浦人)

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