【池田充雄】つくば市在住の写真家、関由香さんの写真展「ねこうらら」が3月7日まで、筑西市丙のしもだて美術館で開かれている。約20年間のキャリアの集大成的な展示会で、関さんが特に気に入りの作品100点が並んでおり、「ネコを通して生まれるあたたかな風景が好き。厳しい状況の中で少しでも、うららかな時間を過ごしてもらえたら」と話す。
関さんは長野県出身、東京のブライダル写真の会社で腕を磨いた後、ネコ写真家として独立。2001年に沖縄の竹富・小浜・波照間などの島々を巡って撮った写真が、2003年の第4回新風舎・平間至写真賞優秀賞を受賞し、翌年の写真集「島のねこ」にまとめられた。以来、手掛けた作品は40冊以上。テレビCMで人気の「ふてニャン」の写真集もその一つだ。

「ふてニャンがすごいのは“待て”ができるところ。離れていても全然ポーズを崩さない。何百匹に一匹の逸材だそうです。顔がかわいいし、全体に存在感がある。性格も穏やかでいい子」と評価する。
ネコと一緒に撮影を楽しむのが関さんのスタイル。いっぱいほめてあげるとネコも分かってくれるそうだ。ネコの顔が見えるよう地面に寝そべって撮っていると、倒れているのかと心配され、よく声を掛けられるという。「ネコ好きな人には良くしてもらうことが多く、いつもいやされて帰ってきます」
「ほっこりした気持ちになって」

展覧会は、写真家としての出発点となった沖縄のネコから始まる。みやげもの屋のテーブルに“て”の字の形に寄り掛かって眠ってしまった子や、電信柱の裏側にしがみついて手だけを見せている子など、ゆったりとした島時間の中で伸び伸びと暮らすネコたちの姿が活写されている。
ラオス、カンボジア、ミャンマーなど、アジアのネコを集めたコーナーもある。台湾の寺で首にお札を付けて大切に飼われていたり、駄菓子屋の店先で立ちポーズを披露したりなど、人とネコとの多様なかかわりが異国情緒あふれる景色の中に浮かび上がる。
下町の商店街や喫茶店などの看板ネコもテーマの一つ。つくばや土浦でも探しているが室内飼いが多いのか、街中でネコを見かけることは少ないと嘆く。看板ネコのいる店をご存じの方は、ぜひ当記事のコメント欄へ情報を。
最近撮り始めたのが「ねこ助」のシリーズ。テーブルやいすなどに手をついたポーズを集めたもの。「マントを付けたお助けマンみたい」というのが命名の理由だそうだ。コロナ禍による自粛期間中、ネコのどういうところが好きなのかと振り返っていてたどり着いた。「ずっとネコに助けてもらってきた。見ているだけで幸せにしてくれる。皆さんにもほっこりした気持ちになっていただけたらうれしい」と呼び掛ける。
「関由香写真展 ねこうらら」の詳細はしもだて美術館へ。