日曜日, 3月 22, 2026
ホームつくば市長の手法に異議相次ぐ 防災拠点案でつくば市議会 総合運動公園問題

市長の手法に異議相次ぐ 防災拠点案でつくば市議会 総合運動公園問題

【鈴木宏子】つくば市の旧総合運動公園用地(同市大穂、約46ヘクタール)の利活用について検討する市議会特別委員会(浜中勝美委員長)が19日開かれ、五十嵐立青市長が、一部を防災拠点として公共利用する案を改めて説明した。一方、議会からは、市長がテレビ番組などで突然、防災拠点案を表明したことなど、市長の手法に対し、異議が相次いだ。

南側13ヘクタールに28億円で整備

五十嵐市長が説明した案によると、防災拠点は、同用地南側の約13ヘクタールに整備する。一方、東大通りや高エネ研に面した32ヘクタールは民間活用する。3割を公共利用、7割を民間活用する案だ。

旧総合運動公園用地の全体利活用イメージ図(つくば市提供)

防災拠点には、防災倉庫、ヘリポートを備えた広場、災害時がれき仮置き場、井戸、トイレなどを整備し、災害物資を備蓄したり、避難者が車中泊できる駐車場を設けたり、仮設住宅建設用地などにする。平常時は筑波山観光の駐車場として活用したり、屋外イベントを開いたり、多目的広場として活用する。造成費は約13億円、防災拠点の建設費は約15億円で整備費は計28億円とした。

一方、民間活用するとした32ヘクタールについては、再度、企業などから意見や提案を集める市場調査を実施するとした。

一部を防災拠点とする理由については、議会から公的利活用を求める意見が多かったこと、市財政に大きな負担とならないこと、2017年に実施した市役所内の公的利活用調査で唯一、危機管理課から多目的防災備蓄倉庫や駐車場、ヘリポートなどの提案があったことなどを考慮したとした。

これに対し議会からは、特別委員会で利活用を検討しているさなか、五十嵐市長がテレビ番組や記者会見などで防災拠点案を表明したことに対し、異議が相次いだ。

五十嵐市長は「決めるのは議会」と述べ、釈明に追われる形となった。

一方、終了後、報道陣の取材に対し五十嵐市長は、民間活用の32ヘクタールについて、企業の意向を聞くサウンディング調査を実施し、議論の材料として議会に示したいとした。

議会特別委の今後の進め方について浜中委員長は、各会派で構成する作業部会を設置し、市長の防災拠点案も含め、改めて利活用方針を調査検討するとしている。

防災拠点案を議会に説明する五十嵐市長(前列左)=19日、つくば市役所

「話のもっていき方、納得いかない」

19日の議会特別委員会でのやり取りの概要は以下の通り。敬称略。

塩田尚市議 ヘリポートは何機ぐらい利活用できるのか。

五十嵐立青市長 離発着は1機だが、待機できる。防災ヘリ自体、県に1機しかない。

塩田 台湾の大手IT企業がつくばに立地する。このような企業にこの場所を取得していただきたい。

市長 台湾のTSMCは世界をリードしている企業。いろいろな可能性があると思うが正式な話としては聞いていない。

塩田 茨城県が20年間凍結していた工業団地をつくばみらい市に造成する。県に買っていただいて、県が工業団地をつくる可能性もあると思う。

山本美和市議 防災拠点は立派だし、公明党は10年前から関東の防災拠点をつくろうと主張してきた。が、(五十嵐市長の)話の持っていき方は納得がいかない。(議会の)委員会で(陸上競技場案を含め)検討しているさなかに(市の)陸上競技場検討会議が立ち上がって、(上郷高校跡地と旧総合運動公園用地を)天秤にかけて結論を出すのはいかがなものか。市長は(市議会の)委員会の意見を聞くと言っていたが、差異がある。(検討会議が陸上競技場の候補地と決定した)上郷高校跡は、造成が済んでいるのですぐに着手できるという前提だが、体育館は使えない、給排水設備を設置しなくてはならない、周辺道路を整備しなくてはならないなど(考慮に入れないで)、この状態で比較していることに疑問を感じる。見える形で、市民のために一番いいものを選択しなくてはならない。

市長 陸上競技場は学校跡地で検討した際に上郷高校跡が最も適しているとされた。議会で高エネ南側未用地(旧総合運動公園用地)も検討すべきという意見があったので、考えを反映させて比較を行った。(上郷高校跡地が候補地というのは)あくまでも検討会議の位置づけなので、議会、市民から意見をいただいて、最終的に市として決定したい。(検討会議を設置した)プロセスに齟齬(そご)があったとは考えていない。

山本 (旧総合運動公園用地の一部を防災拠点にする案について)特別委員会から意見が出たからという話だが、委員会として結論を出していない。1人や数人の委員の意見が議会全体の意見だととらえること自体が間違い。(市議会の)改選があり、特別委員会を開けない中で(検討会議が陸上競技場候補地の)検討をしたことは遺憾だ。

小森谷さやか市議 ヘリポートと仮設住宅は一緒にできるものか。上郷高校体育館の倉庫はどうなるのか。

市長 ヘリが頻繁に動くのは発災直後。仮設住宅と少し時間軸にずれがある。上郷高校の体育館は耐震面が十分ではない。

橋本佳子市議 (五十嵐市長が市議会に)説明したと言っているのは、そもそも(市議会から)要望がある中で説明してきたということ。事前に積極的に(市長から説明したいという)働き掛けがあった記憶はない。報道を見て「えっ」って知り、議会に説明が不足する中で、どんどん市長とずれが生じている。丁寧な説明を考えてほしい。サウンディング調査をすると民間活用に流れていって、そこを進めて、それがまた(市議会の)委員会とずれが出ることを危惧する。とりわけ(総合運動公園用地は)現在、研究・教育施設用地と位置付けられており、研究学園都市の成り立ち、将来性を見すえて足並みをそろえていただかないと、今後も議会とずれが生じてしまう。市長として丁寧なやりとりをどう考えているのか。

市長 今まで以上に丁寧に説明したい。不十分だという指摘は甘んじて受ける。これまでもできる限り丁寧な説明をしてきたつもりだが、すべての議員とコミュニケーションができているかというと、足りないところがある。今後、今まで以上にできるようにしたい。

橋本 (防災拠点とする案は)一市長の考えとして発言したということだが、市長が話すということと、一市民が話すこととは全く意味が異なる。「一市長として発言する」と言うところからして、ずれている。しっかりと連携をとっていかないと、(特別委員会が)無駄な労力になっては困る。

市長 何をするにも決めるのは議会。そのための材料をきちんと提供したい。

山本 市長がいくら一市長の意見だと言っても、市民は、これ(防災拠点案)が市としての(利活用の)イメージだと受け止める。

市長 個人の思い付きでしゃべっているのではなく、市を代表してしゃべっている。市を代表するもう一方は議会。(防災拠点案の)資料ができたので真っ先に議会にお示した。不十分であることについては、もっといろいろな機会をとらえて説明し、今後もより丁寧にやっていきたい。

小村政文市議 防災拠点を整備する位置はなぜ南側なのか。

市長 南側が一番活用しにくいため。

中村重雄市議 (市長から出た防災拠点案は)今まで出た案の一つと考えてよいのか。

浜中委員長 今後の進め方は皆に諮っていきたい。

山中真弓市議 上郷高校跡地に(陸上競技場と共に)防災拠点をつくる案もある。離れていていいのか、いろいろな施設を考える必要がある。陸上競技場の場所が今後、変更になる可能性はあるのか。

市長 最終的に決めるのは議会だが、12月の全員協議会で陸上競技場の説明をした。高エネ研南側(旧総合運動公園用地)を使うべきという話は一つも出てない。質問が出ていないことを踏まえて、上郷高校跡がふさわしいと考えている。

山中 陸上競技場の検討はもともと学校跡地だけで検討した。高エネ研南側未利用地(旧総合運動公園用地)を検討に入れなかったことが分からなかった。今回の防災拠点案にも不信感がある。(五十嵐市長は公約のスローガンで)「共につくる」と言っているのだから、特別委員会と足並みをそろえて検討してくことを要望したい。

鈴木富士雄市議 (総合運動公園用地の利活用について)一般質問してきたが、議会の意見を聞いて進めていくと答弁があった。防災拠点案に特別反対しないが、議会と密にしながら進めていくべき。遅い気がする。

市長 遅いということだが、さっきは早いと怒られた。議会としてどうしてほしいのか、具体的にはっきり出していただければ事業を進めていける。この委員会ではっきり出していただきたい。

鈴木 遅いというのは、議会に説明するのが遅いという意味。一般質問したときは(五十嵐市長は)自分の考えを述べないで、特別委員会に任せているとすり抜けてきた。市長のもっているもの(考え)を出していただきたい。

塚本洋二市議 検討会議でも検討されたように、防災施設を備えた陸上競技場は全国にある。(市議会の)委員会でいろいろなところ見に行っている。陸上競技場や体育館に防災機能を備えた施設があった。そういった(旧総合運動公園用地に防災拠点を併設した陸上競技場をつくるという)イメージ(案)を出していただきたい。(防災拠点を整備するとした同用地の)南側が活用しにくい理由は何か。

市長 アクセス面で、南側は進入路が確保しずらい要素が一番大きい。

塚本 南側の道路は車同士がすれ違うことができないくらい(道幅が狭い)。進入路の活用がしにくい。防災拠点として使った方がいいかというとちょっとずれがある。

市長 (進入路も含めて)精査したい。

鈴木 (避難者が)宿泊できる施設は考えているのか。

市長 防災倉庫に併設することは可能だが、動線を設けたり、費用がかかる。(議会で)議論していただきたい。

久保谷孝夫市議 いろいろあるでしょうけど、作業部会をつくって、しみじみやった方がいい。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

24 コメント

24 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

「霞ケ浦導水事業」を歩く《日本一の湖のほとりにある街の話》36

【コラム・若田部哲】1月末、霞ケ浦導水事業の見学会に参加しました。霞ケ浦を利根川-那珂川と結び、広域で水を融通する構想として昭和50(1975)年代に始まったこの事業の背景には、水需要の増大や水質への懸念、渇水時への備えといった、当時の社会的課題がありました。その後、長い年月の中で、事業を取り巻く状況や環境への向き合い方は変化を重ねていきました。 今回見学したのは、そのうちの一部、小美玉市の玉里立坑と、そこから地中に伸びる石岡トンネル。午前10時の集合時間には、親子連れや年配の方など、多くの参加者が集まっていました。 ヘルメットを着用し、全員で集合写真を撮影したのち、いざ、直径18メートル、深さ約45メートルの玉里立坑の縁へ。地上からのぞき込むと、円筒状の巨大な空間が足もとに垂直に落ち込んでいます。 5メートルごとに数字が記されたその光景は、想像を超えるスケール! ワイヤーメッシュの籠状の工事用エレベーターに乗り込み、ドアが締まると、歯車がきしむ音を響かせながらゆっくりと地下へと降下し、自然と緊張感が高まります。 底部に降り立つと、両側に大きく口を開ける「石岡トンネル」は、よく見ると直径が異なっており、片方は4.5メートル、もう片方は3.5メートルとのこと。計画や技術の変遷が、断面の違いに現れているのを感じます。 湖と人、技術と暮らしをつなぐ トンネルは、巨大な円筒形の「シールドマシン」によって掘り進められると同時に、工場製作のコンクリートの壁である「セグメント」を組み立てていく工法だそうです。全長31.5キロという数字に、その積み重ねの大きさを感じ、めまいを覚えます。 圧倒的なスケールの余韻を抱いたまま地上に戻り、見学会が終わろうとしたその時、これまでの工事を記録した映像が上映されました。 掘削、セグメントの組み立て、測量、機械の点検─さまざまな工種の作業員の方々が、真剣な表情で現場に向き合うその姿。巨大な土木構造物も、突き詰めれば一人ひとりの手仕事の積み重ねという、その確かな事実に改めて心を打たれました。 霞ケ浦導水事業をどのように受け止めるかは、人それぞれでしょう。ただ少なくとも、現場には確かに、人の手と時間が積み上げてきた現実があります。湖と人、技術と暮らしをつなぐ、長い対話の一端に触れることにより、この事業を「遠大な構想」ではなく、「目の前の風景」として思い描けるようになった取材でした。(土浦市職員)

琉球の希少植物と暮らしを紹介 筑波実験植物園で企画展

絶滅危惧種など150種 琉球列島由来の希少な植物を知ることができる企画展「琉球の植物−南国を育む植物たち」が20日から、国立科学博物館 筑波実験植物園(つくば市天久保、遊川知久園長)で始まった。展示されているのは、同植物園が保有する琉球列島の植物約400種類の中から、自然界では日本に1株しか残っていなかったり、自生地ではすでに絶滅してしまった希少種など、絶滅危惧種に指定されている約110種を含む150種あまり。 琉球の植物の展示は2019年以来7年ぶりとなり、豊かな自然が育んだ「琉球文化」の紹介にも力を入れる。展示を担当した同植物園研究員の國府方吾郎さん(57)は「琉球列島の豊かな自然とともに、たくさんの植物を有効活用してきた地元の人たちの暮らしを知る機会になれば」と来場を呼び掛ける。会期は29日まで。 展示会場は、多目的温室と研修展示場の2カ所。温室では、海岸、海岸林、山地林、低地林、渓流沿いなど琉球列島にある五つの自然環境の自生種を展示する。葉の裏側に赤い小さな花をつけるハナコミカンボクは沖縄本島の1カ所にしか自生していない。ナガミカズラは西表島で1株の自生が確認されている。小指の先ほどの白い花をつけるオリヅルスミレは自然界では絶滅してしまった。新種のアマミマツバボタンは國府方さんが2013年に発見した。 國府方さんは、「(奄美諸島、沖縄諸島などからなる)琉球列島は種の多様性が高く、単位面積あたりの植物種の数は日本本土より45倍多い」とし、背景には三つの理由があるとする。一つ目は、本土に当てはめると青森から高知までに相当する広い緯度差と多様な自然環境だ。「北琉球」とされる屋久島、種子島は本土と同じ温帯で、それ以南は亜熱帯に属する。その中にも乾燥地、湿地、標高の高低などの違いがある。 二つ目は、島ごとの交流が限られることで生まれた独自の進化だ。かつて大陸と地続きだった時代から、島々が分離した時期によっても種の違いが生まれた。大東島に限っては一度も他の土地との接続がない。 三つ目は、沖縄の言葉で、混ざり合うことを意味する「チャンプルー」だという。遺伝的にオーストラリアにある植物と近い種は、北へ向かう渡り鳥が種を運び分布するようになったと考えられている。その他、動物や人の移動、海流などにより、日本本土や東南アジア、台湾、ユーラシア大陸など世界各地とのつながりが確認されている。國府方さんは「その様子は、アメリカや日本、中国と関わり合ってきた沖縄文化のよう」だと話す。 文化を自然科学的に研究する必要ある 自身も沖縄出身だという國府方さんが今回力を入れたのが、研修展示場で紹介する琉球列島の植物と共に営まれてきた「人々の暮らし」だ。 地域に自生するキク科の野草 ホソバワダンは白和えなどにして食べられている。商品として流通するのは葉の大きい栽培品種だ。自生種との遺伝的な違いを國府方さんが調べると、意外なことが分かった。流通する品種と遺伝的に近い種が、海を超えた奄美や屋久島、平戸、対馬にあったのだ。 「近い種が沖縄の自生種ではなかった。元になるのは一つの株だということも分かった。昔、おいしいホソバワダンと出合った誰かが株をひとつ持ち帰った。近所の人にも食べさせたいと思い、株を分け合った。そんな様子目に浮かぶ」と笑顔を浮かべる。 このほか、「どこの学校にもあった」という大きく枝を広げるガジュマルの木と、そこに宿るとされる精霊のキジムナーの物語、葉を編んで草履にしたアダン、扇や笠にしたビロウ、赤い実が飢饉を救い、味噌にも用いられてきたソテツなど、琉球列島の人々の暮らしを支え、文化をもたらしてきた身近な植物も丁寧に紹介している。 「文化というのは自然から生まれたもの。私たち研究者も、文化を自然科学的に研究する必要があると思っている」とし、文化を自然科学的に研究しようというプロジェクトも進行中だと話す。「琉球の植物に関するクイズもあり、特製のポストカードのプレゼントもある。お子さんにも楽しんでもらえたら」と話す。(柴田大輔) ◆企画展「琉球の植物ー南国を育む植物たち」は20日(金・祝)~29日(日)の10日間、つくば市天久保4-1-1 国立科学博物館 筑波実験植物園で開催。開園時間は午前9時~午後4時30分(入園は4時まで)。入園料は一般320円、高校生以下と65歳以上は無料。詳しくは同植物園のホームページ、問い合わせは電話029-851-5159(代表)へ。

働く私たちのリアル《マンガサプリ》5

【コラム・瀬尾梨絵】新卒として社会に飛び出したとき、誰もが胸に抱く「理想の自分」。しかし、現実に突きつけられるのは、自分の無力さと、理想とはかけ離れた泥臭い現場であることも少なくない。そんな「やりたいこと」と「できること」のギャップにもだえ、悩み、それでも一歩を踏み出す姿を描いた、ねむようこ先生の「午前3時の無法地帯」(祥伝社、全3巻)を今回はご紹介したい。 主人公・ももこは、イラストレーターを夢見てデザイン事務所に就職したばかりの新卒会社員。彼女が思い描いていたのは、おしゃれでかわいい雑貨のデザインに関わるキラキラした毎日。しかし、配属された先は、パチンコ屋のチラシやPOPを専門に扱う、文字通り「無法地帯」のようなデザイン事務所。午前3時を回っても明かりが消えず、床には誰かが寝ており、タバコの煙と怒号が飛び交う。そこは、彼女の理想とは対極にある場所だった。 本作の最大の魅力は、新卒の誰もが直面する「理想と現実のギャップ」を、ねむ先生特有の柔らかくも鋭い感性で描き出している点にある。「私はもっとかわいいものを描きたいのに」「自分にはもっと才能があるはずなのに」。 そんなももこの心の叫びは、読んでいるこちらの胸をチクリと刺してくる。自分が本当にやりたかったこととは違う、派手でけばけばしいパチンコの広告デザインに追われる日々。その「やらされている感」と、それすらも満足にこなせない「実力不足」の板挟み。この葛藤は、クリエティブな職種に限らず、組織の中で自分の役割を見出せずにいるすべての若手社会人が共感できるはずだ。 今の仕事を本当にやりたかった? しかし、この物語が単なる「お仕事苦労話」で終わらないのは、その無法地帯な職場にいる人々との交流を通して、ももこが少しずつ「働くことの本質」に触れていくからである。 一見デタラメに見える先輩たちも、実はプロとしての矜持(きょうじ)を持って仕事に向き合っており、自分が嫌っていた仕事の中にも、誰かを喜ばせる工夫や、確かな技術が必要であること。そして、理想の場所にたどり着くためには、まずは目の前の「できること」を必死に積み上げていくしかないということ。ももこが少しずつ顔を上げ、自分の居場所を見つけていく過程は、読者に「今の自分も、あながち間違いじゃないのかも」という小さな救いを与えてくれる。 ねむ先生の描くキャラクターは、どこか抜けていて愛らしく、それでいて生々しい生活感を持っている。徹夜明けのボロボロの肌、深夜に食べるカップ麺の味、理不尽な上司への愚痴。そんな等身大の描写があるからこそ、ももこの成長が輝いて見える。 「今の仕事は、自分が本当にやりたかったことだろうか?」。そう自問自答して立ち止まってしまいそうな夜、ぜひこの本を手に取ってみて欲しい。午前3時の暗闇の中で、それでも灯りを灯し続けるももこたちの姿が、あなたの心にある「ギャップ」を少しだけ埋めてくれるはずだ。(牛肉惣菜店経営)

学校給食に金属製ナット混入 つくば市の義務教育学校

つくば市は19日、市内の義務教育学校で同日出された学校給食に異物が混入していたと発表した。教職員が職員室で給食を食べようとご飯のふたを開けたところ、直径8ミリほどの金属製のナットが混入していた。 同校の他の教職員や生徒、同日ご飯が提供された他校からもほかに異物混入の報告は無く、健康被害も報告されていないという。 市健康教育課によると、同日午後0時45分ごろ、教職員が個別の器に入ったご飯のふたを開けたところ、端の方に直径8ミリほどのナットが混入していた。 同市でのご飯の調理は、給食センターとは別に、米飯納入業者が炊飯工場でご飯を炊き、一人分をそれぞれ個別の器に入れ、ふたをして各学校の配膳室に配送している。配送された給食は、職員が配膳室から各教室や職員室などに運んでいるという。 どうして混入したかについて同課は、米飯納入業者が経緯を調査したが、19日時点で不明だとしている。 市は同日、ご飯の提供を受けた市内の各学校の保護者にお詫びの通知文を出した。