月曜日, 7月 4, 2022
ホーム コラム 《くずかごの唄》76 人と人の出会いが膨らんでつながる

《くずかごの唄》76 人と人の出会いが膨らんでつながる

【コラム・奥井登美子】上野桜木にあった東京薬科大学女子部1年生。アイウエオ順で、加藤(私の旧姓)、川上さん、京極さんの3人は、実験も席も1年間一緒だった。京極さんは東大の薬学を受験して転校してしまった。この人たちと、結婚も、自然保護も、人生の大きな転機で関わりを持つことになるとは、その時はわからなかった。

近くの東大から若い先生がたくさん講師に来てくれていた。コーラス部をつくりたいけれど、女声が足りないという。そこで20人近くの薬科大女子部の学友が東大コーラス部の立ち上げに参加した。東大生だった宇井純さんと綿貫礼子さんが出会ったのも、このコーラスがきっかけだったという。後で、そのいきさつを聞いて3人で大笑いした。

化学は、まだ英語よりもドイツ語が必要な時代だった。私はドイツ語の中山久先生の課外授業「ゲーテのファウスト」が面白くてトリコになった。高校生の弟、加藤尚武が聞きにいきたいという。中山先生が両国高校の大先輩だったせいか、課外とはいえ、男子高校生が入り込むことを許してくれた。尚武は哲学者となり、昨年12月に「環境倫理学のすすめ」と増補版の2冊を丸善書店から発刊している。

「土浦の自然を守る会」で宇井純さん講演

私は薬剤師になることよりも、絵画の修復に興味を抱き、その基礎を学び始めていた。しばらくして、奥井清との結婚話が持ちあがった。偶然、京極さんと同じ製薬会社の研究所へ同時入社した3人の1人だ。彼女は一緒に入社したもう1人の森田氏が好きだったらしい。「1人で山登りばかりしている。3男なので気楽でいいわよ。彼ならあなたの好きなことなんでもやらせてくれるわ、結婚しちゃいなさいよ」

兄の奥井誠一先生の説得もあって、私たちは1958年に結婚し、東京へ戻る予定を立てながらも土浦に住むことになった。

1970年、宇井純さんは東大工学部で自主講座を開き、日本の環境問題に市民が参加する扉を開いてくれた。1971年、霞ケ浦の水質浄化を目的に、医師の佐賀純一氏が中心となって「土浦の自然を守る会」を結成。森田氏と結婚し、「多摩川の自然を守る会」を立ち上げ、市民の力でさまざまな調査を始めた森田(旧姓・京極)さんから、自然保護の貴重なアドバイスを受けた。

霞ケ浦の流入河川は56本。市民の手で56本の200カ所の水質調査をすることになり、発会式では、宇井純さんが自主講座の学生さんたちを連れて参加講演してくれた。宇井さんの父上は古河の出身。土浦の高校の先生で、彼も3歳まで土浦で育ったという。人の和が輪となって膨らんで、環境問題につながっていく。(随筆家、薬剤師)

誹謗中傷するコメントはNEWSつくば編集局が削除します。
0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る

陽性確認者数(公表日ベース)の推移

つくば市

土浦市

スポンサー

注目の記事

最近のコメント

最新記事

TX延伸論議に見る つくば市の狭い視野 《吾妻カガミ》136

【コラム・坂本栄】茨城県がTX県内延伸の4方向案(茨城空港、水戸市、土浦市、筑波山)を示したことで、その線上・目標に位置する自治体が自分たちの所へと誘致に乗り出し、地元の政治家も加わって騒々しくなっています。しかし筑波山を抱えるつくば市は、TXの終始点であることに満足しているのか、特に動いておりません。 ポイントはどこで常磐線にクロスさせるか 茨城空港、水戸、土浦の各方向誘致については、「TX石岡延伸推進協議会」、「TX水戸・茨城空港延伸促進協議会」、「TX土浦延伸を実現する会」が立ち上がりました。土浦の様子は記事「TX土浦延伸へ決起集会 市民参加で競合2団体に対抗」(6月12日掲載)をご覧ください。 茨城空港、水戸、土浦への延伸ラインはもちろん別々です。しかし、石岡、水戸、土浦の主張は「空港まで延ばせ」と言っている点では共通しています。水戸の場合、まず空港まで延ばし、さらに空港→水戸を要求していますが、石岡と土浦は「うちの市内で常磐線と交差させ、空港まで延ばせ」と言っているからです。 水戸が、空港→水戸は後回しにし、常磐線で交差する駅→水戸駅(TXの一部JR乗り入れ、残りは茨城空港直通)を受け入れれば、ポイントは「どこでJR常磐線にクロスさせるか(つくば駅と空港を直線で結ぶと高浜駅のちょっと北=石岡市内=で交差)」になります。 TX県内延伸=研究学園と茨城空港の連結

斎藤さだむさんのつくばセンタービル地肌空間など 3年ぶり「写真工房」写真展

つくば市を拠点に活動する写真サークル「写真工房」(太原雍彦会長)の「2022写真工房写真展vol.19+(プラス)」が、同市吾妻のつくば市民ギャラリーで開かれている。 顧問を務める同市在住の写真家、斎藤さだむさん(73)が、つくばセンタービル1階改修工事の過程で露わになった地肌空間を撮影した写真15点を展示するなど、会員ら11人が思い思いのテーマで撮影した写真計約110点が展示されている。新型コロナの影響で3年ぶりの開催となった。 写真工房は、同市主催の写真講座に参加した有志が2002年に結成し、20年になる。会員は約15人で、毎月1回例会を開いているほか、年2回撮影会に出掛けるなどしている。 斎藤さんのつくばセンタービル地肌空間は「史(ふみ)のあかし」と題した作品だ。第3セクター「つくばまちなかデザイン」による改修過程で、骨組みの状態に戻ったつくばセンタービルの、曲線を描く天井のコンクリート地肌や、象形文字が記されているのかと見まごう太い円柱の柱の地肌などを撮影している。「地肌空間を行き来し、40年という時間に思いをはせながら撮影した」という。 写真工房の写真展の様子 会員の藤澤裕子さんは、自宅の庭に咲くヒルザキツキミソウの花や、セミの抜け殻、カブトムシの幼虫などを撮影し、写真を重ねたり、反転させたりした作品10点を展示している。「日常見る庭の植物や昆虫を、非日常的な植物や昆虫として作品化した」。

ウクライナのニュース 《くずかごの唄》111

【コラム・奥井登美子】 「毎日、ウクライナのニュースを見ていると、僕はどういうわけか、丸木さんがあのニュースを見て何を言われるか、知りたいと痛切に思うようになってしまった」 「ご夫婦で原発の絵を担いで、世界中を行脚して回っていらしたわね。ウクライナはいらしたのかしら?」 「さあわからない…。2人とも、人類の悲劇を実際に見て、絵にしたんだもの、すごい人だよ。昔、位里さんと俊さんが、2人でうちへ来てくれた日のことも、つい、昨日のように思い出してしまう」 土浦市の奥井薬局の2階で、「丸木位里(いり)・俊(とし)展」をやったことがあった。250人もの人が駆けつけてくれて、盛況だった。お2人は我が家に泊まって、おしゃべりして、家のふすまが白いのを見て、刷毛(はけ)と墨汁(ぼくじゅう)を使って、大きな絵を描いてくださった。 生前葬やったの、覚えている?

臭いやアルコール対策示すも反発の声相次ぐ つくば洞峰公園事業で県の説明会

つくば市二の宮にある茨城県営の都市公園、洞峰公園(約20ヘクタール)で進められるリニューアル計画で、県は2日、同市竹園のつくば国際会議場で説明会を開いた。県と事業者による初の説明会。つくば市から懸念の声が出ていたグランピング施設とバーベキュー(BBQ)施設の臭いやアルコール対策について、県と事業者から対策が示されたが、参加した市民からは「洞峰公園を変える必要はない」など反発の声が相次いだ。つくば市民を中心に約150人が詰めかけ、県の説明に対し、会場からは厳しい反応が相次いだ。 臭いやアルコール対策について、パークPFI事業者「洞峰わくわく創造グループ」代表の長大が計画の一部見直し案を示した。①BBQ施設を当初計画していた冒険広場から、グランピング施設を整備する野球場中央に移す②炭焼きBBQは取り止め、煙が出ないガスグリルに変更する③深夜は管理人がおらず無人になる計画だったが、グランピングエリアの管理棟に24時間、管理人を常駐させる④夜9時以降はサイレントタイムとし騒いでいる人がいたら管理人が対応する⑤グランピング施設の周囲に目隠しとなる木製の柵を設け、景観に配慮する⑥南側駐車場の拡張(127台分)は、駐車台数を減らすことも含め、樹木をなるべく伐採しないよう計画を再検討するーなど。 一方、県は、公園全体が変わってしまうわけではないこと、パークPFI事業によって県が支出している指定管理料を年間6000万円削減でき、年平均8000万円かかる体育館やプールの大規模修繕を計画的に行える見通しが立ことなどを強調した。 収支計画の開示要求に答えず これに対し参加した市民からは、グランピング施設を収益事業の柱と位置付ける計画について、収支計画の開示を要求する意見が複数出された。長大が「民間事業者として、ノウハウも含めて収支計画は出すことができない」と答えると、会場から「これでは市民は計画の妥当性を判断できないではないか」など非難の声が投げかけられた。今回の目的の一つである、老朽化する体育館やプールの改修計画についても、収支計画を公開するよう求める声が出た。これに対し、県が公開時期を明確にできなかったことから、怒声が飛び交った。 絶滅危惧種など希少動植物が生息していることが市民から指摘された問題について県は、市民の意見を踏まえつつ、今後の対応を検討したいと答えるにとどまった。