火曜日, 10月 19, 2021
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《邑から日本を見る》77 大飯原発設置許可取り消し判決の波紋

【コラム・先﨑千尋】今月4日、大阪地裁は関西電力大飯原発3、4号機の耐震性を巡り、新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は違法だとした。この裁判は、福井県や近畿地方の住民が、同発電所の設置許可を取り消すよう求めていたもので、「原子力規制委員会の判断に看過しがたい過誤、欠落があり、設置許可は違法」という内容。一審の判決なので、確定ではないが、東海第2原発など各地で起こされている原発再稼働差し止め裁判に影響を与えよう。「琉球新報」は「再稼働のよりどころ否定。再稼働を推進してきた国や電力会社に与える打撃は大きい」と書いている(5日付け)。

争点となったのは、関電が算出した耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)の値や、これを基に設置を許可した規制委の判断が妥当かどうかだった。関電は、新基準に基づき、大飯原発の基準地震動を福島原発事故前よりも引き上げて856ガル(ガルは加速度の単位)と算定し、規制委も了承した。

これに対して住民側は、この基準地震動は少なくとも現行の1.34倍の1150ガルになる、規制委の審査ガイドにも「ばらつきも考慮される必要がある」と記載されている、現在の原子炉は耐震性を満たしていない、と主張していた。規制委内部でも、元規制委員長代理の島崎邦彦氏は、この数値は過小評価であると再考を求めていた。

判決で重視されたのはこの「ばらつき」。福島原発事故や熊本地震のときもそうだったが、自然現象には「想定外」がつきものだ。規制委が審査ガイドを作る際、「基準値(計算式)よりも大きな地震が起きることを想定すべきだ」という指摘があったことを踏まえ、数値を上乗せする必要性に言及。森裁判長は「国(規制委)が自ら作った基準通りに従わず、審査すべき点を審査していないので違法」と規制委の審査姿勢を糾弾している。

再生可能エネルギーが世界の主力電源

東海第2原発については、施設が壊れるギリギリを示す原子炉基準値は1009ガル。この数値がどの程度のものなのか、素人の私にはわからないが、先月に開かれた日本原電の住民説明会でも「この数値は過小評価ではないか。この2倍の地震が来ればどうなるのか」という質問に、あいまいな回答しか返ってこなかった。東海第2では、このばらつきの上限はどれくらいなのかを聞いておきたかった。

この基準地震動は他の原発でも大飯原発とほぼ同様の手法で計算しているようなので、審査の土台となる規制基準の妥当性そのものが疑われよう。「日本経済新聞」は「原発安全審査、信頼性に影。福島事故から10年を迎えようとする中、規制の棚卸しが必要な時期」と指摘している(5日付)。また「茨城新聞」は「関電は司法判断を謙虚に尊重し、運転は見合わせるべきだ」と提言している(5日付社説)。

関電幹部は「どこまで巨費をつぎ込めば安定稼働できるのか」と悲鳴を上げているそうだ。再生可能エネルギーが世界の主力電源に向かっている今、安全対策に無限の投資を続けるより、危険極まりない原発の再稼働を止め、別の道を歩くことの方が安全なのではないか。(元瓜連町長)

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