日曜日, 5月 18, 2025
ホームつくば3氏の横顔紹介 つくば市長選

3氏の横顔紹介 つくば市長選

【鈴木宏子】任期満了に伴うつくば市長選と市議選は25日投開票される。市長選に立候補した新人の富島純一氏(37)=無所属=、現職の五十嵐立青(42)氏=同=、新人の酒井泉(71)=同=3氏の横顔を紹介する。

事業成長の秘訣は「素直に聞き、信じて任せる」

富島純一氏

【富島純一氏】22歳のときつくばで起業し、現在、自動車販売、障害福祉、保育・学童、農業など幅広い事業を展開する。経営に携わるグループ企業は14社。140人以上の社員を抱える。

コロナ禍の今年、苦境にあるつくばの飲食店に呼び掛け、県内で初めて、ドライブスルー型弁当販売イベントを仕掛け成功させた。

土浦市生まれ。10代のころヤンチャし、中学を出て父の仕事を手伝った。父の会社が倒産、16歳で一人暮らしを始め、土木建築や塗装の仕事をして自立した。

18歳を過ぎたころ、ネクタイを締める仕事に就きたいと思ったが、中卒という学歴がネックになった。

姉の死をきっかけに心機一転。仕事に就けないなら自分で会社をつくろうと思い立ち、22歳で中古車販売会社を起業した。

成功の秘訣を「(自身の)素直さ」だと話し、「分からないところは聞いて、人に仕事を任せたら信じて任せ」てきたと振り返る。

本業のほか、若手経営者の異業種交流会を立ち上げたり、県立八千代高校の臨時派遣教員として講演したり、少年院を出た少年たちの就労支援にも尽力する。

座右の銘は、明治生まれの哲学者で教育者、森信三の「人生二度なし」。信三は「職業に上下もなければ貴賤もない。世のため人のために役立つことなら、何をしようと自由である。しかし、どうせやるなら覚悟を決めて10年やる…」と説いた人物だ。

家族は、妻と息子2人の4人。早朝の2時間が自分の時間で、朝起きて半身浴をしながら1日のスケジュールを確認する。2歳の長男を保育園に送迎するのが日課という。

留学先で衝撃「目の前にいる人に何ができるか」

五十嵐立青氏

【五十嵐立青氏】筑波大学大学院在学中、26歳で最年少の市議となり、2期務めた後、2012年に市長選に初挑戦した。当時の現職に次点で敗れたが、総合運動公園問題が浮上した15年、住民投票運動の中心的役割を果たした1人だ。翌年の市長選で、幅広い議会会派や市民に推され初当選を果たした。

政治家を志したきっかけを、留学先での体験だったと振り返る。

4年のとき大学を1年休学し、スコットランドのグラスゴーに留学した。かつて工業地帯だった街だ。留学先で熱を出し病院で診察を待っていたとき、目の前に座っていた母親が、ぐずる娘を殴った。自分が殴られたようにショックを受けた。

当時大学で安全保障を学び外交官の仕事に引かれていた。「目の前にいる子供の安全が保障されていなかった。殴った母親も自分の安全が保障されてなかったからだと思う。目の前にいる1人の人間の安全を保障することが先だと思った」と当時の体験を振り返る。

「目の前にいる人に何ができるかを考える場所にいたい、そういう思いはグラスゴーのときと変わってないし、今の方が強くなっている」と話す。

つくばに戻り、志を遂げようと市議に挑戦した。市議の仕事と大学院の勉強をこなしながら、企業組織向けコーチング事業を展開する会社のプログラムを受けてコーチの資格をとり、2008年にコーチングオフィスを設立。2010年には障害のあるスタッフが働く農場を運営するNPO法人を設立した。

母親は元つくば市議。家族は、内閣府職員の妻と3男1女の6人。家事は、妻が料理、子供が皿洗い、自身は洗濯を担当しているという。

心を空っぽにするため毎朝15分程度、瞑想している。コロナで飲み会がなくなり6キロやせたと話す。

沿線開発見直し つくばの屋敷林守られた

酒井泉氏

【酒井泉氏】高エネルギー加速器研究機構の元研究者。TX沿線開発区域の地権者の1人としてまちづくりに関わり、中根・金田台地区で緑地と菜園と住宅が一体となった緑農住一体型住宅を提唱する。

研究者として、放射性廃棄物を無毒化する研究を行っていた。素粒子を使って核交換し短寿命化する方法だ。「ミューオンを使う核交換は将来有望で、原理的には可能。埋設処分は反対。何万年も地面に埋めるきれるものじゃない」という。

高エネ研では、2008年から稼働を開始した東海村の大強度陽子加速器J-PARC(ジェイパーク)の設計に、計画段階から中心メンバーの1人として関わった。陽子ビームを直線型加速器から円形型加速器に入れる装置は酒井さんの設計だ。独創的なアイデアで、当時は別の方法が検討されていたがひっくり返したという。

つくばのまちづくりには関わったのは、TX沿線開発がスタートする30年前から。バブル景気真っただ中だった1990年代始め、当初、県などから示されたつくば市の沿線開発区域は、集落も屋敷林も含めた計2000ヘクタールを開発するという計画だった。

つくばの屋敷林を全部つぶして何が残るのか。もう一回まちづくりを考え直そうと、「区画整理事業の改革について」という論文を書き、開発区域の見直しを提唱した。谷田部地区など他地区の地権者と協力し、開発区域は2000ヘクタールから1300ヘクタールに削減された。つくばの屋敷林がこうして守られた。

現在は中根・金田台地区の地権者らでつくる桜中部まちづくり協議会の副会長を務める。

家族は、97歳の母親と妻、長男夫婦の7人。趣味は剣道と山登り。剣道は6段の腕前だ。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

なんと、ホテルから花火を審査!《見上げてごらん!》40

【コラム・小泉裕司】毎年8月の最終土曜日に開催される大曲全国花火競技大会は、土浦全国花火競技大会とともに、国内最高峰の内閣総理大臣賞が授与される。会場となる秋田県大仙市大曲には内外から多くの観光客が訪れるが、市内のホテルや旅館は予約もままならず、全国から競技に参加する28花火業者、100人以上が滞在できる施設の確保は困難となっていた。 大曲に花火師専用の宿泊施設 この課題解決に向け、大曲商工会議所が建設したのが、花火師専用の宿泊施設「お宿Onn大曲の花火」。総工費は20億円余り。6階建てで客室は50室。最大156人が宿泊でき、8月の大会本番前後は花火師だけが宿泊できるとのこと。 この期間を除いては一般客も宿泊可能としており、筆者は4月24日オープンの翌日に宿泊した。きれいな部屋と気持ちよいおもてなし、郷土色豊かな朝食メニュー、宿泊料もオープン記念価格でかなりの割安感。ちなみに翌26日の「大曲春の章 新作花火コレクション2025」の予約は早期に完売となり、キャンセルも出ない状況。宿泊料も大会価格で多少高めの設定だったよう。 花火大会史上、画期的な事業 ホテルに隣接する鉄骨3階建ての管理棟(写真中央)は、夏の大会時に審査や大会本部が設けられるという。 これまでの大曲や土浦など競技大会の審査員席は、観客席後方に設置し、雨天時には頭上の単管パイプにシート掛けで対応するのが通例。筆者は、審査員係を担当した過去に、急な雨で集計用の高額なパソコンが故障した経験を持つ。 管理棟のこけら落としとなった26日、この建物で「春の章」の審査が行われ、打ち上げ終了後、最上階6階のレストラン(写真左上)に移動して審査会が行われたとのこと。 この日は、時折降る冷たい雨で、手元の濡れたパンフレットは凍えた指でめくれず、震えながらの花火鑑賞となった。早速、屋根付き審査員席の効果はてきめん。帰りを急ぐ観客の中を審査員席から遠く離れたホテルの審査会に急ぐストレスも解消したことだろう。 数あまたある国内の花火競技大会で、既設の建物から審査を行っている例を私は知らない。 ホテルとしての魅力づくり 部屋や最上階のレストランの窓には、雄物川河川敷や姫神火山群の主峰大平山など自然豊かな眺望が広がる。一方、日が落ちた後、雄物川の水面に映える光源が皆無で夜景の楽しみは少なめ。ホテルスタッフは「午後早めの到着」を推奨する。 ホテルからの徒歩圏内にスーパーやコンビニは皆無。アルコール類を含めたホテル内の飲食提供はメニュー少なめの自販機頼り。大浴場の計画も進められているようだが、ホテルとしての魅力づくりは道半ばのようだ。 ちなみに、筆者が宿泊した日はアルコール類の仕入れが間に合わなかったとのこと。久しぶりの休肝日で熟睡した。宿泊する方は、チェックイン前に、持ち込みの準備を忘れずにしたいものだ。 茨城の花火師が部門優勝 新作花火コレクション芯入り割物の部に出品した山﨑煙火製造所(つくば市)の石井花火師の作品「昇曲付 五重芯銀点滅」(YouTube動画)が、見事優勝に輝いた。昨年の準優勝の悔しさを晴らすかのごとく、見事な6つの真円と消え際の銀点滅は余韻を残しながらも一斉に消える完璧に近い完成度。他の作品を寄せ付けない「ぶっちぎり」の優勝は、我がことのようにうれしい。 夏の大曲、そして秋の土浦でのさらなる躍進に期待しながら、本日は、これにて打ち留めー。「ずどーーん キラキラキラ」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長) ※参考資料:大曲商工会議所News「おおまがり」321号(2024/7発行)

名称が決定 筑波大野球・ソフトボール室内練習場

9月1日開所予定 筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)と関彰商事(本社筑西市・つくば市、関正樹社長)が同大学内に整備を進めている野球・ソフトボール室内練習場について(24年10月18日付)、名称が「Invictus athlete Performance Center」(インヴィクタス・アスリート・パフォーマンス・センター)に決定した。 インヴィクタスはラテン語で無敵や逆境への抵抗を意味し、自らの力で運命を切り開くという意味が込められているという。 同施設はコーチング、バイオメカニクス、スポーツアナリティクスを融合したトレーニング・研究拠点で、今年9月1日開所予定。 平日昼間は大学の授業や部活動で使用され、夜間や週末は関彰商事が一般向けにスクールや動作分析プログラムを提供しタイムシェア方式で運用する。関彰商事が整備し、開所後は筑波大学に所有権が移転される。 名称について同大と同社は「スポーツを通じて自分自身の未来を切り拓く力を育んでほしいという思いから決定した」とし、「今後も教育、研究、地域連携を柱とした取り組みを推進し、スポーツを通じた社会貢献を継続したい」としている。

つくば市消防職員を懲戒処分 停職5カ月 酒気帯び運転の車に同乗 

つくば市は16日、市消防本部の20代男性消防職員を同日付けで停職5カ月の懲戒処分にしたと発表した。消防職員は、非番の日だった今年2月9日未明、水戸市内で、酒気を帯びた友人が運転する車に同乗して検挙された。運転者が酒気を帯びていることを知りながら同乗したなど、地方公務員にふさわしくない非行などがあったためとされる。停職5カ月は、酒気帯び運転の場合とほぼ同様の処分という。 市消防本部によると、消防職員は同日、友人と飲食し、ビールなどを飲んだ。友人が運転する車に同乗し、警察に車を止められ検挙されたという。検挙された当日、本人から上司に報告があった。5月14日に市職員分限懲戒審査委員会が開かれ、処分が決定した。消防本部の調べに対し本人は、酒気帯び運転と知りながら同乗したことを認めているという。 青木孝徳市消防長は「市民の皆様に多大なるご迷惑をお掛けし心から深くお詫びします。今後の再発防止に万全を期すと共に、市民の不信を招くような行為を厳に慎むよう、さらなる綱紀の保持を徹底します」などとするコメントを発表した。

つくばの県立高4校が魅力を紹介 18日、市民団体が「高校進学を考える集い」

学校選択テーマ 人口増加が続くつくば市で県立高校が不足している問題を県などに訴えてきた市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が18日、同市役所コミュニティ棟で「第6回つくばの高校進学を考える市民の集い」を開催する。今回は学校選択をテーマに、市内の県立高校4校の校長が各校の魅力をそれぞれ紹介するほか、片岡代表が今春の入試問題をもとに県立中学や県立高校入試にどう構えたらいいかなどを話す。 これまでの市民の集いとは趣向を変える。これまで年1回開催してきた集いは、県立高校の募集定員不足問題を考える場とし、参加者から出された意見などをもとに県教育庁に要望活動をしてきた。県議や市などと連携し牛久栄進高の学級増やつくばサイエンス高の普通科新設などを少しずつ実現してきた。一方生徒や保護者からは、募集定員不足の問題にとどまらず、「実際の高校の話を聞きたい」「中学受験をどう考えればいいのか」「通学の費用が大変」など幅広い声が出ているなどから、今回は学校選択を考える。 集いは2部構成で、第1部は高校進学説明会を開催する。筑波高、つくばサイエンス高、竹園高、茎崎高の市内4校の校長が一堂に会し、各校の魅力をぞれぞれ説明するほか、牛久栄進高が資料を配布する。 第2部は、伝統校が中高一貫校になり中学受験の波が押し寄せていることから、入試への構えのほか、伝統校の中高一貫校化によって学校選択に波紋の広がり、特に土浦一高の定数削減で受験生に何が起きているのかなどについて、元高校教員でもある片岡代表が話す。 片岡代表は「県立高校が不足しているところに土浦一高の定員削減という状況が起こり、(同校の)定員削減1年目に土浦二高と竹園高に、2年目に牛久栄進高に受験生の波が向かった。3年目の来年の入試でどこに向かうのが心配」だとし「つくばサイエンス高と筑波高校の魅力アップは地域の発展にとっても重要」とする。さらに「県は2019年の県立高校改革プランでつくばエリアの10校を26年までに2学級増やすと発表したが、実際は県立中が増えただけ。県平均の県立高校収容率で試算するとつくばエリアには30年までに12学級増が必要になり、いろいろな人の意見を出してもらって県と対話したい」と話し参加を呼び掛ける。 ◆つくば市の小中学生の高校進学を考える会は18日(日)午前10~12時、つくば市研究学園1-1-1、つくば市役所コミュニティ棟1階会議室1・2で開催。資料代300円。詳しくは電話029-852-4118(新日本婦人の会つくば支部内)へ。