水曜日, 1月 27, 2021
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《法律かけこみ寺》22 登記にかける症状

【コラム・浦本弘海】不動産の売買は多くの方にとって、あまり経験のない一大事ではないでしょうか。そして、不動産の売買に関して法的にトラブルになりやすいのが登記。そこで今回は不動産登記について取り上げます。

ところで、民法では「不動産」を「土地及びその定着物」とアバウトな定義をしていますが(民法86条1項)、不動産登記法は「不動産」を「土地又は建物をいう」(不動産登記法2条1号)と具体的に定義しています。不動産登記の文脈では、「不動産」とは土地か建物と考えてください(樹木は含みません)。

ちなみに、民法は「動産」を「不動産以外の物」と、これまた無味乾燥な定義をしています(民法86条2項)。日本語的には動産という概念が先にあって、動産以外の物が不動産のようにも思いますが、不動産を定義するほうが法的には簡単だったのでしょう。

不動産登記について、売買をするうえでどうしても欠かせない重要な知識が「不動産登記には公信力がない」ということです。

「あ、それ知ってる」という方は今回のコラムはパスで。

所有権者が真の所有者とは限らない

「不動産登記には公信力がない」というのは、別の言い方をしますと、登記簿上、所有権の権利者(所有権者)とされている者が(法律上の)真の所有者とは限らない、ということになります。

したがいまして、登記簿上の所有権者がAさんだとして、BさんがAさんから不動産を買ったとしても、不動産の真の所有者がCさんだった場合、Bさんはその不動産を自分の物にすることが(原則)できません。

「え? 登記を信じて買ったのに!?」

そうなんです。登記を信じても(必ずしも)法的な保護を受けられない、それが「公信力がない」という意味です。これがドイツであれば、ドイツでは登記に公信力がありますので、Bさんは不動産を自分の物にすることができます。

ここだけ見ますと、登記を信じた者が保護される法制度の方がよいようにも思えますが、一方でCさん側から見ると、自分の不動産が勝手に売られて、それを取り戻すことができない(たとえばAさんがCさん名義の土地を違法に自分名義に変えて売った場合)のも釈然としません。

BさんとCさん、どちらを保護するかという悩ましい二択で、日本はCさんを保護する制度を採用したということになります。

法に正義はないのか!

というわけで、不動産をご購入されるときは、登記簿上の所有権者から購入することは大前提としても、登記を絶対視せず、他に真の所有者らしき人がいないか現地をきちんと確認することも大切です。

「CとAがグルになっていた場合は? 法に正義はないのか!」

たしかにCとAがグルになって、Bさんに不動産は渡さず金は持ち逃げ…ひどい話です。このような場合、民法94条2項(虚偽表示)を類推適用して、Bさんが保護される場合があります。裁判所の目にも涙、といったところでしょうか。(弁護士)

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