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《邑から日本を見る》71 安倍政治を検証する(1) 許せない国家権力の私物化

【コラム・先崎千尋】安倍首相の退陣表明を聞いていて、本人には悪いが「神輿(みこし)は軽くて〇〇がいい」という政治の世界ではよく聞く言葉を思い出した。青木理『安倍三代』(朝日新聞出版)によれば、安倍晋三(以下敬称略)は「目立たない凡庸ないい子」で、これといったエピソードがなく、政治にほとんど関心を持たなかったという。その安倍の首相在任期間が最長となった。

その秘密を解き明かすキーワードが、「神輿」ではないのか。神輿が軽かったから、担ぎ手である周りの政治家や官僚、財界、うまい汁を吸おうとすり寄ってくる人たちにうまく利用されたのではないか。神輿である親分は軽い方が、部下は担ぎやすく動かしやすい。一連のコロナ騒ぎでそのことが証明されたではないか。

彼は「コロナに打ち勝って東京オリンピックを開く」と言ったが、コロナウイルスは人間相手とは勝手が違うので、コロナに打ち勝つことはできないし、制圧することもできない。

安倍は国会で何度も「悪夢のような民主党政権」という汚い言葉を使った。私も言おう。「悪夢のような安倍政権」と。自己利益のためだけに行動し、自分の支持者にしか便益をもたらさない。反対派には何もやらない。自分に異を唱える人を「左翼」と叫び、敵と味方に分けてしまい、分断をあおる。

何かあったときに「責任は私にある」と言い続けても、その責任を取ろうとしない。それだけではなく、「美しい」この国を、取り返しがつかないほどめちゃくちゃにしてしまった。「取り戻そう、日本」。

憲法無視、国会軽視

まず、安倍退陣表明を受けて、新聞はどう捉えたのかを社説で見てみよう。「讀賣」は「長期政権の功績大きい」と褒めたたえているが、「朝日」は「安倍政治の弊害清算の時。分断、忖度(そんたく)克服を」と安倍政権の功罪を検証することを提言している。「毎日」も「安倍支持の弊害 民主主義ゆがめた深い罪」と厳しい。

安倍政治の弊害、罪の最たるものは、憲法無視、国会軽視であろう。彼は「私は立法府の長」といみじくも言ったが、国会を内閣の下請け機関のようにしてしまった。モリカケ問題、「桜を見る会」の問題で野党が追及しても、首相や閣僚の答弁はのらりくらり。誠実に取り合おうとしなかった。「丁寧に説明する」と言いながら、一度も丁寧に説明しなかった。

憲法では、議員の4の1以上から請求があれば臨時国会を開かなければならないのに、野党から追及されるのを恐れてか開かなかった。考えが異なる内閣法制局長官の首をすげ替え、憲法解釈を自分の都合のいいように変えてしまった。集団的自衛権の容認も同じだった。結果として失敗したが、検事総長人事にまで手を出そうとし、法律を変えようとした。

令和という年号制定の時には自分の好みを入れさせ、天皇には発表直前に通知するだけ。日本の首相は、憲法や天皇の上にあるということを内外に知らしめたのだ。

公文書の改ざんや「桜を見る会」問題など、自分に都合の悪い資料を廃棄してしまったことも国政運営の根幹に関わることだ。隣の韓国では、前大統領が自分の親友に便宜を図ったということで大統領の座を追われ、逮捕されている。安倍は「この国はいい国だ」とうそぶいているのだろうか。恐ろしいことだ。(元瓜連町長)

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