日曜日, 11月 16, 2025
ホームコラム《吾妻カガミ》89 つくば市議会の愚かな選択

《吾妻カガミ》89 つくば市議会の愚かな選択

【コラム・坂本栄】前回のコラム(8月17日掲載)では、4年前の市長選挙で五十嵐さんが掲げた看板公約「運動公園問題の完全解決」について検証しました。今回はその関連ということで、この問題のプロセスで節目になった市議会の動きを取り上げます。結論を先に言ってしまうと、議会は「愚かな選択をした」ということです。

運動公園問題を整理すると、市原前市長が計画(陸上競技場など3施設をUR都市機構から買った土地に305億円かけて建設)を発表多額の建設費に反対する市民運動(住民投票を求める署名活動)が活発化議会が住民投票実施とその要領を可決建設反対が多数を占め前市長は計画の推進を断念「運動公園問題の完全解決」を目玉公約に掲げた五十嵐市長が誕生それから4年経った今「問題の完全解決」は完全未解決―といった流れになります。

こういった経緯から、運動公園問題は、市民の反応に気落ちして4期目への出馬を断念した前市長にとっても、前回選挙で公約の目玉にして当選した現市長にとっても、とても重い案件であった(ある)ことが分かります。前市長は不出馬で失政の責任を取りましたが、看板公約を実現できなかった五十嵐さんはどうするのでしょうか?

現実策を封じた2択住民投票

話がそれましたので元に戻します。節目の動きは、2015年5月12日、「議会が住民投票実施とその要領を可決」した際に起きました。投票用紙の設問を、執行部が推す3択(計画に賛成、反対、見直し)にするか、市議側が提案した2択(賛成、反対)にするかで、議会が紛糾。採決の結果、2択方式が採用されました。これによって、当初の運動公園計画を見直すという、現実策を探る議論は封じられたわけです。

ところが今になって、公式競技ができる陸上競技場が欲しい、空き地になっている運動公園予定地に造ったらどうか―といった声が市議や市民の間から出ています。これは、当初計画(予定地に公認陸上競技場+サッカー兼ラクビー場+総合体育館を建設)のスケールダウン(予定地に陸上競技場だけを建設)ですから、3択の「見直し」そのものです。

もし住民投票が3択で実施されていれば、見直し+賛成が多数を占め、優先度が高かった陸上競技場はすでに完成、今ごろ利用されていたのではないでしょうか。5年前の議会は、スポーツ施設の是非という議会本来の仕事よりも、反市長会派(グループ)の政治的な思惑に支配され、賢さに欠ける選択をしたことになります。この愚かな行動により、市民の利益が大きく損なわれました。(経済ジャーナリスト)

<参考:市議の投票行動>

▼2択方式に賛成した現市議:久保谷孝夫(自民つくばクラブ・新しい風)、五頭泰誠(同)、小久保貴史(同)、神谷大蔵(同)、黒田健祐(同)、北口ひとみ(つくば・市民ネットワーク)、宇野信子(同)、皆川幸枝(同)、滝口隆一(日本共産党)、橋本佳子(同)、金子和雄(新社会党)、塩田尚(山中八策の会)=敬称略

▼3択方式に賛成した現市議:塚本洋二(つくば市政クラブ)、柳沢逸夫(同)、鈴木富士雄(同)、高野進(同)、須藤光明(同)、大久保勝弘(同)、小野泰宏(公明党)、浜中勝美(同)、山本美和(同)、木村清隆(つくば政清会)=同

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3S政策とマリリン・モンロー《映画探偵団》94

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自動運転中の低速車両が接触事故 つくば市が実証実験

運行中止、原因検証へ つくば駅周辺でつくば市が実証実験を実施中の低速自動運転モビリティ(車両)が12日午後2時30分ごろ、自動運転中、同市竹園1丁目のイベントホール、つくばカピオの敷地内に設置されているスロープを時速3キロで走行し方向転換したところ、スロープの手すりに接触する事故を起こした。同市が13日発表した。事故時、運転手と一般の乗客2人の計3人が乗車していたが、けが人は無かった。 事故を受けて同市は12日午後、運行を中止した。同市科学技術戦略課は、原因を検証し適切な対策が講じられるまで運行を取り止めるとし、再開は未定としている。 同課によると、12日正午ごろから自動運転に使用している人工衛星の信号受信が不安定になり、補正信号の切り替えを行うなどの対策をして運行していた。午後2時30分ごろ、スロープを走行し方向転換した際、軌道がやや内側に寄っており、内輪差により、車両右側の路面から高さ30センチ付近がスロープの手すりに接触し、車両に長さ40センチほどのこすった跡ができた。同乗して自動運転を監視していた運転手はスロープに接触しないと判断しブレーキを踏む対応をしなかった。 接触事故後、車両は乗客2人を乗せたまま、つくばセンター広場まで戻った。運行事業者はその後、同市に連絡。警察に通報し、物損事故として現場検証などが行われた。 モビリティは、ゴルフカートのような4人乗りの車両。つくば駅前のつくばセンター広場からカピオまで片道約400メートルのペデストリアンデッキを、時速3~10キロ、片道約10分間、一般の人を無料で乗せて往復していた。子育て世代向けの移動サービスとして「こどもMaas」と銘打ち、同市が車載機器専門商社の東海クラリオン(名古屋市)に委託して運行している。運行期間は11月5日から16日までの間の10日間と、来年1月15日から26日までの間の10日間の2回で、今年度の事業費は約1800万円。運行を始めた昨年度は事故は無かった。 自動運転は、GPSを補強・補完する高精度の日本の準天頂衛星システム「みちびき」からの情報と、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が開発したソフトを使って車両の位置や方位を求めて運行する仕組み。運転手が同乗し監視しながら運行するレベル2での実証実験で、建物や樹木があって衛星からの信号が届きにくい場所では車両に搭載したセンサーを使う。2回の運行期間のうち、11月は、人工衛星と地上の基地局の両方からの位置情報を受信し自動運転する実証実験で、来年1月は、地上の基地局からの情報を使わず、人工衛星と三次元の地図情報を使い自動運転する計画だった。 12日の接触事故は、地上の基地局からの情報を、別の基地局の情報に切り替えた直後に発生したという。事故を受けて市は、委託先の東海クラリオンに対し、運行取り止めを指示したほか、安全・安心な運行を徹底するよう強く申し入れたとしている。