土浦市沖宿町、霞ケ浦湖岸のハス田で、絶滅危惧種のサンカノゴイが、防鳥ネットにからまり死んでいるのが見つかった。個体数が少なく、これまで同市で確認されたこと自体なかった。
日本野鳥の会茨城支部会員で同市の金沢まち子さんが12日午後4時ごろ発見した。すでに死んでいたという。ネットに首がからまっていた。
サンカノゴイはサギの仲間で体長70㎝くらい、羽は薄茶色で、羽を広げると140㎝くらいの大きさになる。田んぼに入って水生昆虫や魚、小動物などを食べるという。留鳥で、県内では利根川下流の湿地などで確認されているほか、近くの千葉県印旛沼でも生息が確認されている。
県鳥獣保護員で野鳥の会茨城支部副会長の明日香治彦さん(77)は「防鳥ネットの側面の開いていたところから中に入って、驚いて飛び立ったときに首がひっかかったのではないか。大変悲しい現実」と話し、発見した金沢さんは「本物のサンカノゴイを見たのは初めてなので大変驚いている。防鳥ネットがきちんと張られていたら防げた惨事だと思う。貴重な鳥だけに悲しい」と話している。
県環境政策課は「防鳥ネットに隙間が空いているなど適切な管理がされてない場合、鳥が入って飛び立つときに引っかかるケースが多い。JAで適切な管理を指導していただいているが、行き届いてないところでこういう事案が発生してしまう。引っかかっている鳥を狙って猛きん類が引っかかる二次被害も起きている。保護する立場としてはひじょうに残念」とし、土浦市農林水産課は「防鳥ネットは農作物の被害防止につながるが、鳥獣が引っかからない形で耕作してもらうのが望ましい」と話している。
霞ケ浦・北浦はガン・カモ類が2万羽以上飛来するなど国内有数の水鳥の生息地。沿岸のハス田では野鳥によるレンコンの食害を防ぐため2002年ごろから、防鳥ネットが張られるようになった。ネットに引っかかり死ぬ野鳥も目立つようになり、野鳥の会茨城支部は霞ケ浦・北浦沿岸のハス田で毎年、防鳥ネットによる野鳥の被害状況を調査している。今年1月の調査では、19種類以上1570羽が防鳥ネットにかかっているのが確認された。県は防鳥ネットを開けたままにしないなど適切な管理を呼び掛けている。(鈴木宏子)